映画レビュー1416 『DUNE/デューン 砂の惑星』

さすがにこれは観ないとと思いつつガイナーなので後回しにしていたところ、「今日何観るかな」とアマプラをチェックしていたら38時間以内に終了となっていたのでさすがに観ることにしました。さすがにね。

DUNE/デューン 砂の惑星

Dune
監督
脚本

エリック・ロス
ジョン・スペイツ
ドゥニ・ヴィルヌーヴ

原作

『デューン砂の惑星』
フランク・ハーバート

出演
音楽
公開

2021年9月15日 各国

上映時間

155分

製作国

アメリカ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

DUNE/デューン 砂の惑星

映画の出来と自己評価が一致しない。

7.5
「砂だらけだけど宇宙で最重要の星、管理していいよ」と言われて行ったら陰謀でした系
  • 宇宙で最も価値のある物質を供給する星の管理を命じられた名門領主
  • しかしそれは予想通りに罠だったために大変な事態を招く
  • ガジェットやテクノロジーの描写も素晴らしく、次なるスター・ウォーズっぽさを感じさせる
  • 規模感も映像もキャストの豪華さもストーリーも見事だが、重厚すぎて若干飽きる

あらすじ

非常によくできたレベルの高い映画なのは間違いないんですが、その表向きの評価に対して自己評価があまり高く感じられず、映画のレベルと自分のハマり具合にギャップを感じる映画、というのが正直なところ。

紀元120世紀末、惑星カラダンの領主レト・アトレイデス公爵(オスカー・アイザック)はバーディシャー皇帝によって宇宙で最も価値のある物質「メランジ」が唯一産出される惑星アラキス(通称デューン)を管理するよう命じられます。

「メランジ」は人間の寿命を伸ばしたり思考力を強化したり挙句の果てに超高速航行にも使えちゃうというチートスパイスなんですが、それが“唯一産出される”ような超重要惑星を任せられるということは単純に「お前は良き配下だから苦しゅうない」なんて話ではないわけで、裏には複雑な陰謀が渦巻いているんだろう…と予感しつつもかといって皇帝の臣下である以上断るわけにも行かず、宇宙で最も精鋭と言われる強力な軍隊と信頼できる配下たちを従え万全の体制でアラキスに赴任します。

しかしやはりというか、アラキスに残されたスパイス生産設備は色々と問題もあり、またそもそも惑星自体が常に超巨大サンドワームの脅威にさらされているという過酷な環境も手伝って、赴任早々不穏です。

それでもアトレイデス家の力を誇示すべく努力する公爵ですが…果たして。

重厚なのはいいものの

上記あらすじはアトレイデス公爵が中心になっていますが、実際の主人公は彼の息子である跡継ぎのポール(ティモシー・シャラメ)とその母で公爵の妾であるジェシカ(レベッカ・ファーガソン)です。ただ序盤の話の大筋はこんな感じです。

ポールについてはまだ子どもで能力的にももう一つ的な描写がなされていて、お目覚めになるのは後編で、という感じ。(2部作が確定してます)

一方母であるジェシカは「主人公の母」とか「公爵の妾」とかよくある脇役ポジションではなく、謎めいた組織の一員ということも手伝って最も興味を引く存在になっていて、彼女の立ち位置や能力が後編にも効いてくるんだろうな…と思わせる感じ。さすがレベッカ・ファーガソンが演じているだけあるね、という。

全体的にはいわゆるスペースオペラの系譜にある作品だと思いますが、ただスター・ウォーズのようなメロドラマ的要素はあまり無く、もっと重厚でシビアな雰囲気が強く感じられます。これは良し悪しではなく昨今の流行りも含めた時代の空気感も手伝ってこうなっていそうな気はしますが、それにしても非常に重々しい作りなのでなんならスター・ウォーズよりゴッドファーザーの方が近いんじゃねーのと思ったりもしましたが多分そんなことはないです。

もっとも「スター・ウォーズの焼き直し」レベルであれば実際スター・ウォーズでJJさんがやっちゃってることもありますが今さらそこに手を出しても意味がないのは明白なので、やはりこれはヴィルヌーヴさんが「スター・ウォーズを追いつけ追い越せ」で作り上げた意欲作ってところでしょう。

まったく監督インタビュー等調べてはいませんが、宇宙船同士のスペースバトル的なものはないにせよさすがにこの内容でスター・ウォーズを意識していないはずもなく、あっちが過去の焼き直しでお茶を濁すんだったらこっちで新たな世界を作ってやるぜ的な意欲が伺え、そこはとても評価ができるし続編も楽しみなところです。

一方であまりにも重厚に作りすぎているせいか、1シーン1シーンの間もたっぷり取ってじっくり見せてくれるもんで次第に飽きてきてしまい、めちゃくちゃ良く出来てるんだけどなかなか進まねーな感も強くて「間違いなく良く出来てるんだけど評価しづらい」という脳と感情が不一致する、みたいなバグが発生しております。

重厚でじっくり間を取っているからこそビジュアルの良さもよくわかるし、それだけがっぷり四つで期待に応えるべく作られた意欲を感じるのも確かなんですが、しかしどうしても「余韻長くない?」みたいなシーンが続くので結構しんどい。もしや倍速視聴対応なのか!?

一方でやっぱりこれだけじっくり見せるからこその格式みたいなものも間違いなくあるだけに悩ましいところ。それでも各シーン数秒でも削って結果上映時間が20分減りました、ぐらいだとちょうどいい塩梅になりそうな気がするんだよなぁ…とド素人目線で思った次第です。

それと圧倒的なビジュアルも素晴らしいんですが、同じく素晴らしいのがキャスティング

上記あらすじに出てこない人で他に挙げれば、ジョシュブにジェイソン・モモア、ゼンデイヤにハビエル・バルデムにデイヴ・バウティスタとまー豪華なメンバー。なんならちょっとMCUっぽさもあるメンツですね。

今作で一番の敵役と言えるクソデブ男爵は「この人絶対どっかで見たことある…うーん誰だ…」と観ながらしばらく考えていたところ、終盤になってようやく「この目は…! ステランさんだ!」と気付きました。

(そんなに出てこないとは言え)ステランさんとわかるまで2時間近くかかっておりますが、それぐらい極度の肥満体で全然わからないんですよ。でも絶対重要な役だし大物だろうと思っていたらやっとわかった、その瞬間がこの映画を観ていて一番嬉しかった可能性もあります。

うっかりしてるとすぐ脱ぐ二大巨頭でおなじみのステランさんですが、今作でもしっかり脱いでいて笑いました。ちなみにもう一人はトム・ウィルキンソンです。(僕が勝手に言ってるだけですが)

余談ですが今調べたらトム・ウィルキンソンは去年末に亡くなってたんですね…好きだったからショック。残されたすぐ脱ぐ巨頭はステランさんだけとなってしまいました…。

続編に期待

だいぶ話が逸れましたが。

すでに続編も公開されていますが、世間的な評判は上々のようで楽しみですね。

今作はちょっと仰々しすぎて飽きちゃう悪い観客になってしまったがために気合いの入った大作の割に低めの評価になってしまいましたが、良作であることは間違いないと思います。

当然2部作の1作目である以上、続編ありきで途中終了感は拭えないのは確かですが、それでもビジュアル面でも観るべきところは多いし、この物語における常識を学ぶ意味でもしっかり観て続編に備えるのが良いのではないでしょうか。

このシーンがイイ!

謎のババア()が出てくるシーンがなんか底知れぬ強さがあって好きでした。あの音声エフェクトもすごく良い。

ココが○

まー本当に「大作だぞこのやろう!」と思いっきり殴ってくるような気合いの入った映像は素晴らしいの一言。これは映画館で観るべき映画だっただろうなと思います。スケールが素晴らしい。

ココが×

やっぱりちょっと間を取りすぎて間延びしてしまっている感が気になります。ある程度話は読めるだけに余計そう感じるんでしょう。

MVA

上記の通り非常に豪華なキャスティングで皆さん当然良かったんですが、ご贔屓ということもあってこちらの方に。

レベッカ・ファーガソン(レディ・ジェシカ・アトレイデス役)

主人公ポールの母。しかし母ポジとは思えない重要キャラっぽさがあり、その設定も相まって続編でもメインを張ると思われます。一応ヒロインポジらしい。

彼女らしくアクションで魅せるシーンもちょっとあり、さすがのレベッカ・ファーガソンだなと。

一方で序盤から良さげだな! と期待していたジョシュブは出番も少なく結構がっかり。続編に期待…していいのか!?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です