映画レビュー1232 『クラッシュ/衝突』

今回もJAIHOから。

なかなか評価が高い映画なんですが、エジプト映画と言うと例のすごかったあの映画を思い出してしまうので不安もありつつ…。

クラッシュ/衝突(護送車の中で/クラッシュ)

Eshtebak
監督

モハメド・ディアブ

脚本

カリド・ディアブ
モハメド・ディアブ

出演

ネリー・カリム
ハニ・アデル
タレク・アブデル・アジズ
アフマド・マレク
アフマド・ダッシュ

音楽

ハーリッド・ダーゲル

公開

2016年7月27日 エジプト

上映時間

98分

製作国

エジプト・フランス・ドイツ・アラブ首長国連邦

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

クラッシュ/衝突

緊迫感もあって上出来なものの、正直飽きる。

7.5
大統領反対デモに参加していた人々が、続々と護送車の中に放り込まれる
  • 無人だった護送車に続々と運び込まれる人々
  • 移動する護送車内で完結するワンシチュエーションスリラー
  • 緊張感が続いて面白いものの、絵面としては地味
  • 社会風刺の色合いが強い

あらすじ

割と自分好みの「ワンシチュエーション社会派スリラー」なんですが、単純にアフリカ〜中東地域の政情に詳しくない無知さがモロに鑑賞意欲に影響した感があり、途中で結構飽きました。

舞台はムバラク政権が転覆した「エジプト革命」から2年後、空の護送車から始まります。

当時ムバラクの後任となるモルシに対する反対デモが加速化しており、デモの鎮圧にあたる警察の面々が護送車を取り囲む中、AP通信の記者とカメラマンがスパイ容疑で連行されてきます。

その後もデモ参加者や、そのデモを主導する組織に反抗する立場の人たちなどがひっきりなしに連行され、やがて護送車はいっぱいに。

それぞれ政治的立場も信仰も違う人たちがひと括りに連行され、車内も混乱。果たしてこの護送車はどのような結末を迎えるんでしょうか。

背景に興味を持てるか否か

この映画、JAIHOでは「クラッシュ/衝突」のタイトルで配信されていましたが、フィルマークスその他では「護送車の中で/クラッシュ」というタイトルになっています。ネトフリでも配信されていた時期があったようですね。

正直に言うと鑑賞から結構時間が経ってしまったこともあって、詳細は覚えていません。

覚えていない、イコールそこまで興味が持てなかったのも事実で、おそらくこの辺りの政治に詳しい、もしくは興味がある人であればもっと面白いと思います。

観る人の興味や知識が評価にダイレクトに影響する辺り、創作とは言えドキュメンタリーに近い映画と言っていいと思います。創作の力を借りた風刺の映画。

護送車というワンシチュエーション、しかもトイレにも行けない、いつ助かるのか(もしくは永遠に助からないのか)もわからない極限状態の中で、立場も思想も違う人たちが十把一絡げに扱われる先の読めないスリラー感はなかなかなんですが、流石にずっと同じ護送車内で、ある程度のまとまりとしての対立はありつつも個々にクローズアップされてもいない会話劇はバックボーンに詳しくないと飽きてしまうのも仕方がないような気がしました。まあ自分への言い訳です。

中では喧嘩が絶えず、外では「とりあえず反抗する人間はぶちこんどけ」ばかりに話の通じない警察が取り囲んでいる状態はまさしく「地獄」なんですが、個々のドラマが無いために舞台劇を観ているかのようにサラッと流し見してしまう感覚もあって、もう少し当事者性が欲しかったなと(自分の見方の悪さも込みで)思います。

逆に言えばこれはエジプトの人たちが観たら相当なリアリティを持って食い入るように観られる映画のはずなので、同じように日本でももっとリアルな政治風刺の映画が作られて欲しいもんだと思ったりもしました。

興味のレベルで観るか決めるべき

オチについてもすごく良い落としどころだとは思うんですが、ただもう少しガチッと終えてほしかった面もあって、状況はわかるもののフワッと終わっていく辺りが少し残念。

極限状態ではあるもののそこまで強烈に主張を押し通そうとする人間もおらず、それだけリアルとも言えるんですが、反面物語的には平坦になってしまった面も否めず「(公開当時の)今のエジプトはこんなにひどい」と世界に訴える力は見事だと思いますが、その社会的なメッセージを娯楽にまで昇華させるところには至っていない印象です。

もっともそれが必要かどうかも難しい問題なんですが、「ただの観客」としてはもう一歩何かが欲しかったなと。

まあでもやっぱり一般的な日本人としての“遠さ”がすべてかなという気もしますね。これがアメリカの話であればもっと感じ方が違ったと思います。良くも悪くも。

いつも以上に内容が薄くて申し訳ないですが、今回の学びとしては「社会派の側面が強い映画はその社会性に対する興味のレベルで面白いと思うかどうかが左右される」ことに気付いたという点でしょうか。本当にドキュメンタリーに対峙するときと似ているな、と。

比較的縁のない国に関しては社会派映画はある程度選ばないとダメなタイプのダメ人間だな、みたいな。

面白かったんですけどね。集中力の持続が難しく感じる内容でした。

このシーンがイイ!

AppleWatch的なもので撮影している辺りは時代だなぁと妙に感心してしまいました。こういう状況での隠し撮りを生かした話も今後出てきそう。

ココが○

とにかくリアルで、役者さんたちは当然誰一人知りませんが全員見事な演技でまったく芝居に見えませんでした。すごい。

ココが×

舞台が悲惨ではあるものの総じてそこまで大きな事件が起きるわけでもなく、「しんどいなぁ」が延々と続くので、やっぱりもうちょっと(物語としては)大きく動くものが欲しかったなと思います。

ただそうすると監督の意図するところとは違う方に行ってしまいかねないだけに難しいのもよくわかります。

MVA

申し訳ありませんがこれと言って特定の人物で良かった人が浮かばないのと、情報が少なくて誰が誰やらわからないのもあって該当なしとします。サーセン。

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