映画レビュー0526 『フライト』
更新作業の何がめんどくさい、ってやっぱりジャケ絵のイラストなんですよ。ド下手だし。絵描くの苦痛だし。「どうだヘタで面白いだろ?」って思いながらネタ的に描いてると思われるのが一番心外です。本当に嫌々やってます。
じゃあなんで描いとんねん、と言われれば、以前何度も書きましたが、一応著作権の問題を気にして、なんですよね。基本的に映画のパッケージ等は「宣伝になるから問題なし」が一応の共通認識っぽいですが、例え作品の紹介になるとは言え、時に酷評だってするわけだし、いつどこでケチ付けられても面倒じゃないですか。
だから描くようにしよう、と始めて、それがたまたま唯一のオリジナリティになったわけですが、ここまで読んで気が付きましたよね?
そうです。例のオリンピックエンブレム問題ですよ。
パクリなし! なんプロ!
ようやく時代がうちに追い付いてきたな…!!()
さて、更新時期はだいぶズレていますが、今年のお盆休みに合わせて久しぶりに観たい映画を数本レンタルしてきました。全部で4本、今回はその1本目。
この映画の公開当時、予告編は観たんですが「まあ普通の映画だろうな」とスルーしてました。が、意外とよく出来た面白い映画だぞ、という噂を耳にしたので借りてみたわけです。
フライト
優秀なダメ人間の決断とは。
昔、二十歳の頃にバイトしていたとあるお店は、「頭はいいんだけど中身がクズ」っていう連中が集まってましてね。早稲田の政経に現役合格したものの、麻雀にハマって最終的に8留した人とか。人間的にはみんな大好きなんですが。
多分、持ち得る能力を正しい方向に向ければ、それなりにいい人生を送れるであろう人たちばっかりだったんですが、いかんせんいろんな部分で簡単に言えば「ダメ人間」だったので、どうにも底辺でくすぶってたんですよ。多分今でも。この映画を観てまず彼らを思い出しました。
この映画の主人公・ウィップ機長は、大変な状況を冷静な判断と機転で乗り切り、事故の被害を最小限に抑えたことでもわかる通り、パイロットとしては優秀な人なのは間違いありません。
ですが、プライベートではアル中な上にヤク中でもあり、その素行故、偉業よりも「そのせいで墜落したんじゃね?」という疑惑を抱かれる、というお話です。
まあ、日本でも仮に車のエンジントラブルが原因で事故ったとしても、飲酒運転だったらおそらく車メーカーよりも運転手に責任が行くんでしょう。それはそれ、これはこれ…な気もしますが、まあ制度上仕方のないところです。
予告編では、飛行機事故についてのサスペンス的な雰囲気があった記憶がありますが、実際はそういうサスペンスを期待してたら肩透かしを食らう内容で、一人の優秀なダメ人間から「飛行機事故の責任」を追う人間ドラマという感じ。
正直なところ、結構地味な映画だなぁとは思いました。いつもは聖人君子のような佇まいが多いデンゼル・ワシントンが、まあとにかく自分に弱いダメ人間で、すぐ酒飲んじゃうんですよ。それが珍しいっちゃー珍しい気はしましたが、トータルで見ると地味です。
今の時代で言えば「ゴーン・ガール」のような、SNSから広がる騒ぎにつながりそうな話でもあるんですが、あくまでマスコミがちょっとウロウロする程度の前時代的な世間の姿はやっぱり既視感もあるし、あんまり「この映画だからこそ」な感じはなく。
ただ、思えば飛行機事故そのものを描いた映画はそれなりに観た記憶がありますが、「事故を救った機長の人間性と事故原因を探る動き」、要は飛行機事故の事後と周辺を描いた映画っていうのは(後に「ハドソン川の奇跡」なんかも作られますが)なかなか珍しいので、テーマの面白さでググっと観ちゃう感覚はありました。
上映時間としてはそこそこ長い方の映画になりますが、程よい緊張感とテンポがあって飽きずに観られたし、「意外と面白い」っていう評価はこの辺から伺えるような気もします。
大体「デンゼル・ワシントン主演の飛行機事故を描いた映画」ってなんとなく想像がつくような気がしないでもないんですが、そのキャラクターからちょっと外れた主人公を演じていることも手伝って、「意外と新鮮」な内容になっているのは面白いところです。
見どころは当然、ラストの公聴会。
果たして彼は嘘をつき続けて無事英雄として職に復帰できるのか、それとも刑務所行きになってしまうのか…。最後の最後までクズっぷりを見せ続けてくれた彼の決断をお楽しみに。
このシーンがイイ!
飛行機墜落シーンはさすがになかなかの迫力でしたが、肝心の着地シーンはコストの問題かあまり見せてくれず不満。
印象的だったのは、入院しているガン患者(なんと24シーズン3のチェイス役の人だった)のセリフかなぁ。あのシーンはいろいろ含んでいてよかったですね。
ココが○
目立ってここがいい、っていう見どころがある映画ではないと思いますが、その割に飽きないで観られるという不思議な魅力がありました。人間誰しも弱い部分がある、そのリアルさがいいんでしょうか。
ココが×
ちょっと偽善っぽくなりますが、文化の違いとは言えドラッグの扱いが軽すぎて、アメリカ社会の病みっぷりとレベルの低さに嫌気が差しましたね。
それと同時に信仰的な要素もそれなりに推してくるので、俯瞰してみると「アメリカ社会ってアホじゃねーの?」感がすごいです。
あとはこの手の映画を観ると当たり前なんですが、飛行機に乗るのが嫌になりますね。今のところ乗る機会ないけど。
MVA
ドン・チードルが真面目な弁護士、っていうのもなかなか珍しいわけですが、まあこの人かな。
デンゼル・ワシントン(ウィップ・ウィトカー機長役)
キリッとしてる時は相変わらずさすがなんですが、その実ダメ人間。
ダメ人間的にはもう少しひどい感じが観たかった気もしますが、でも今までとはまたちょっと違う感じが出ていてよかったかな、と。