映画レビュー0525 『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』

おまたせしまし…あ、待ってない。

公開から結構時間が経ってしまいましたが、ようやく本日鑑賞に行って参りました。

今回は近場になんとあの噂の4DXの劇場ができて、さらに今作を4DX2D(3Dじゃないのが大事)で上映する、ということで一回コレは観に行きたいぞ! と鼻息荒く行ってきた次第です。

4DXの感想も含みつつ、評価は映画自体の評価としてれびうしたいと思います。長いです。

ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション

Mission: Impossible – Rogue Nation
監督
脚本
音楽
ジョー・クレイマー
公開
2015年7月31日 アメリカ
上映時間
131分
製作国
アメリカ
視聴環境
劇場(4DX・通常スクリーン)

ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション

謎のシンジケートを追うイーサン・ハントは、ロンドンで指令を受け取る際に敵の罠にかかり、囚われの身となってしまう。その間、IMFはCIAのハンリー長官の進言により解体されることになり、孤立無援の中、シンジケートにいた謎の女性・イルサによって逃げることに成功したイーサンだが、CIAによって国際手配されてしまう。CIAとシンジケートから追われつつ、かつての仲間たちの協力を得ながら、果たしてイーサンはシンジケートを壊滅に追い込むことができるのか…!

相変わらずサービス満点。でも完成度は前作の方が上かな~。

8.5

ご存知「ミッション:インポッシブル」シリーズ第5弾。

不死身のサイキョースパイでお馴染みのイーサン・ハントが、組織のバックアップも無い状態で、2つの組織から追われつつ悪に立ち向かうスパイアクションでございます。

例の予告編でも話題になった「スタントナシの飛行機しがみつき」シーン、当然劇場で観ても大迫力で思わず笑っちゃうぐらいすごかったんですが、一番笑っちゃうのはこれがオープニングの前フリでしかない、という点。ピークで出てきそうな見所シーンが完全に前菜扱いという大胆さ、コリャやっぱりスゴイ。他に真似できる映画は無いでしょう。

そんなわけでオープニングからフルスロットル、テンションマックスでお送りする今作、当然期待値もバリ高なわけですが、その期待にがっぷり四つで応えてやんよ、と作り手も気合いバリバリ、やっぱりこのシリーズの「やりきってやる」感はお見事です。

当然、大人気シリーズものであるが故に、最終的にはイーサン・ハントの勝利は約束されているわけで、その答えがわかっている状態で、どれだけハラハラドキドキさせることができるか、いかに厳しい綱渡りミッションなのかを知らしめる必要があると思いますが、そのためのアレコレに全力を傾ける気持ちよさがやっぱりこのシリーズ最大の魅力なのかな、と思います。

オープニングの飛行機しがみつきから始まり、殺し屋3人相手のオペラバトルに水中無呼吸ミッション、そしてこれまたノースタントのカーチェイスにバイクチェイス、もう本当に次から次へとエンターテイメントしてくれます。

どれも紙一重で、作中のセリフにある通りある種「ギャンブル」であるスパイっぷりがやっぱり観客にとっては最高のエンターテイメントになるという。さすがによく出来ています。

とにかく2時間強があっという間でとても楽しめたんですが、ただラストはややカタルシスに欠ける気がしたのも事実で、全体の完成度、興奮具合は前作の方が上だったと思います。

とは言え、今回はやっぱりその前作ありきの期待度があったのも確かなので、先にこっちを観てたらこっちが上だったかもしれないし、その辺はなんとも言えないところではあります。

特に今作に関しては、敵か味方か謎の女・イルサの存在感が素晴らしく、また彼女のアクションがとてもかっこいいので、ヒロインの存在感という意味ではシリーズナンバーワンと言っていいでしょう。

みんな大好きベンジーの役どころであったり、前作より引き続き登場の仲間・ブラントであったり、しばらくチョイ役続きだったヴィング・レイムス演じる皆勤賞のルーサーであったり、チームの役割、存在感という意味では前作以上の部分もあって、前作・今作どっちがいいかは意見が分かれるところかもしれません。

IMF解体で敵からも味方(CIA)からも追われる主人公、手がかりを無くしては見つける綱渡りのストーリー、チームワークに友情、そして謎の女と、どれをとっても“どこかで観たことがあるような話”ではあるんですが、でもやっぱりまとめるとオンリーワン、このシリーズだけの作りになっているのがさすが。

相変わらずトム様無双のトム様映画ではありますが、絶妙なバランスで「トム様のみ映画」にしていないところがイイ。(2は「トム様のみ映画」になっていたような記憶がありますがイマイチ覚えていません)

某巨人関係の某プロデューサーが「結局お金をかけたハリウッド映画がいいってことか」的な悪態をついて話題になっていましたが、もうその発言をしちゃってる時点で映画(を好きな人たち)のことが何もわかってないのがバレバレですよね。

この映画は確かにめちゃくちゃお金のかかった「ザ・ハリウッド映画」の最たる例だと思いますが、ただこの映画が面白いのはお金をかけてるから、ではないんですよね。もちろんお金をかけてるからスゴイ部分も山ほどあるんですが、それ以前にやっぱりトム・クルーズ他スタッフ・キャスト陣がとにかく観客を楽しませようと策を練り、文字通り体を張っているところにお金云々を超えた引力があるわけで、コレを観て「金かけてるから面白いに決まってんじゃん」と受け取っちゃうとしたらそれはちょっと娯楽映画を作るにはさもしい感性ではないかと思います。(上記某プロデューサーが“この映画に対して”こういうことを言っていたわけではないのであしからず)

このシリーズは娯楽映画の頂点に君臨するモンスター映画だと思いますが、続けられる限りはこの路線で突っ走って頂きたいな、と思います。

裏切りのサーカス」的な地味スパイ映画も最高ですが、こういうエンターテイメントスパイ映画もまた、やっぱり面白いもんです。誰でも楽しめるという意味では一番ではないでしょうか。

オススメ。

【おまけ・4DXについて】

4DXとは、簡単に言えば「アトラクション的な座席で観られる映画」という感じで、水しぶきが飛んできたり、風が吹いたり、座席が揺れたり、匂いが出たり…とちょっとした仕掛けを楽しめるスクリーンのことで、鑑賞料金は通常料金+1000円。

この映画自体、あまり4DX向きな感じではないかなーという気はしましたが、率直に言って「まあ別に4DXじゃなくてよかったかな」という印象。おそらくこの映画に関しては、IMAX2Dで観るのが一番です。

4DXそのものに対して少し気になったのは、どうしてもシーンに連動して座席が動いたりする以上、シーンが切り替わると動きが止まったりするので、揺れる→止まる→揺れる、の繰り返しに少し違和感がありました。

例えばカーチェイスシーンであればずっと揺れてても構わないと思うんですが、車に乗ってない人のシーンになると揺れが止まる、っていうのはなんとなくつぎはぎ感が出てもったいない気がしますね。観客に意識させすぎちゃうというか。

「映画の中にいるみたい」という没頭感を演出するなら、もっと感情移入している登場人物のシチュエーションに沿った演出の方がより没頭感が高まったような気がします。この辺はプログラムを作る人もとても大事になってくるので、作り手の手腕にだいぶ影響されるな、と思います。

あとは水しぶきにしても「ここで来そうだな」と思いつつプシュッと申し訳程度に飛んできても「うーん」という感じだし、匂いは新鮮でしたが(今作に関しては)地味な感が否めないしで、なかなか全体としては微妙かな、と。

座席が揺れた時にどうしても視界にある客席の動きが目に入ってくるので、それが画面への集中力の妨げになるのも気になりました。やっぱりなんだかんだ言って、映画をしっかり集中して観たいなら、普通に(=IMAX2Dで)観るのが一番かな、と思います。

ただ、カーチェイスでの揺れとスピード感を演出する風に関しては面白かったし、カメラワークに合わせて微妙に座席が上下する感覚は良かったです。僕自身は中途半端に水とかやられても興を削ぐ感覚の方が強かった(一応スイッチでオフにできますがそういう問題じゃなくて)気がしたので、機能を絞って控えめにやってもらった方が映画が活きそうだな…と思いましたが、まあそうすると「+1000円は高い」とか「言うほどじゃない」とかいう評価に落ち着くので難しいところでしょう。

4DXに関しては、あくまで「娯楽色の強い映画」に絞って、デート的にライトな映画ファンとかが楽しむためのものなのかな、という気がします。やっぱり当たり前ですが、本当に映画が好きな人は普通に観るのが一番でしょう。それがわかっただけでも良かったんですが。

ということでご参考までに。

このシーンがイイ!

オープニングのテンションを上げる作り、素晴らしかったです。

それとオペラシーンも最高。やっぱり「ゴッドファーザー PART III」であったり「007 慰めの報酬」であったり、オペラをバックに裏でアレコレやるシーンって名場面が多い気がしますね。

ココが○

アクションは何から何まで素晴らしいの一言。カット割りのスピーディさもお見事で、トム様ノースタントという意味でもグレートです。

ココが×

やっぱり僕としてはラスト、決着の場面ですね。もっと“気持ちのいい”やり方があったんじゃないかなーと少し残念。

あとは毎度のことですが、やっぱり若干矛盾がありつつも勢いで乗り越えてる箇所があり、もう少し丁寧にしてもらえれば…という気もしました。

MVA

トム様は相変わらず、ジェレミー・レナーは今回ややおとなしめ、ヴィング・レイムスは登場シーンは増えたもののやっぱり端役感アリ。お気に入りのサイモン・ペグはやっぱり良かったんですが、んー、でもやっぱりこの映画はこの人でしょう。

レベッカ・ファーガソン(イルカ・ファウスト役)
敵か味方かカウボーイ的な謎の美女。特に美人! とかかわいい! ってわけではないんですが、すごく良かった。

スウェーデンの女優さんらしいですが、あんまり北欧っぽい雰囲気はなく、とにかく“カッコイイ”。特にジャンプを駆使したアクションがスーパーカッコイイ。カット割り他の演出の見事さでだいぶ魅力マシマシ感もありますが、それにしてもカッコイイ。

この人を観るだけでも価値がある気がします。役が似合いすぎ。特にオペラシーンでの艶めかしいドレスで銃を構える姿にしびれることウケアイです。

それとこれまた作り手の狙い通り、最初に指令を渡す女の子がかわいかった。彼女もこれからまたスターになっていくんでしょう。

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