映画レビュー0896 『ハンターキラー 潜航せよ』
いまだエンドゲームでワイワイやっている最中のGW中、ひっそりとレイトショーで観に行って参りました。
お客さんはかなり少なめで自分含めて6人ぐらいだったんですが、終わった後は他のスクリーンからかなりの人数がゾロゾロ出てきたのでやっぱりエンドゲーム観てるんでしょうね。興行成績が気になるところ。
ハンターキラー 潜航せよ
ドノヴァン・マーシュ
アーン・シュミット
ジェイミー・モス
『Firing Point』
ドン・キース
ジョージ・ウォレス
ジェラルド・バトラー
ゲイリー・オールドマン
コモン
ゼイン・ホルツ
キャロライン・グッドール
アレクサンドル・ディアチェンコ
ミカエル・ニクヴィスト
イリア・ヴォロック
ミハイル・ゴア
カーター・マッキンタイア
トビー・スティーブンス
2018年10月26日 アメリカ
122分
イギリス・中国・アメリカ
劇場(小さめスクリーン)

潜水艦映画らしい緊張感の連続で飽きないものの、最後はちょっとガッカリ。
- ロシア国内でクーデターが発生、阻止するためにはアメリカ海軍がロシア大統領を救出するしか無い…!
- 現場へ向かっている潜水艦と現地調査に駆り出された特殊部隊が成否の鍵を握る
- 潜水艦映画らしい緊張感と、それだけではない特殊部隊の二面作戦でテンポも速く飽きさせない
- わかりやすいザ・アメリカ映画
あらすじ
ロシアの潜水艦のすぐ後ろ、300m程度の位置にピタリと付いて監視していたアメリカ海軍の潜水艦。しかしその補足していたロシアの潜水艦は謎の攻撃によって沈没、救出する間もなくアメリカの潜水艦も攻撃を受けて沈没しちゃってさあ大変!
アメリカ海軍は現地へ別の潜水艦と監視の特殊部隊を派遣。調査の結果、どうやらロシア内部でクーデターが発生したようで、大統領は囚われの身となってしまいます。
政治状況を検討した結果、「アメリカ軍がロシアの大統領を救出するしか戦争を回避する手立てはない」という結論に至り、現場へ向かっていた潜水艦の艦長ジョー・グラスと、調査のため潜入した特殊部隊員たちにその命運は委ねられたわけでございます。あとは観てくれよな!
ストロングスタイルの懸念を払拭
一応予告編を観て「むっ、潜水艦映画か面白そうだぜ」と思ったのもつかの間、「ワイルド・スピードのスタッフが送る」の時点で少し嫌な予感になり、その後主役がジェラルド・バトラーとわかったところで「あーそういうんじゃないんだよ求めてるのはー」となって一旦は観に行くのをやめたんですが、割と評判が良いようなのでじゃあまあ観に行ってみるか、ってことで行ってきたわけですご説明終わり。
ただその後者の懸念の方、要は「ジェラルド・バトラー無双でストロングスタイル映画」なんじゃないかってところですが、その辺は割と杞憂に終わりまして、思ったよりちゃんとヒリつく潜水艦バトルをしてくれて結構満足でした。
上記の通り、メインとなるのはジェラルド・バトラー中心の潜水艦内のシーンと、別働隊として現地に派遣された特殊部隊の面々、そしてクーデターを起こしたロシア内部と司令を出すアメリカ軍上層部の4つが主な要素になってくるんですが、どちらかと言うと僕のイメージでは「現地の特殊部隊にジェラルド・バトラーが合流した挙げ句無双」的な嫌な予感だっただけに、そうじゃなかっただけでもラッキー感がありましたね。勝手にね。
というのも、やっぱり潜水艦映画と言えば僕の中では「クリムゾン・タイド」なんですよ。そのうちまた観てレビュー書きたいなと思ってるんですが。
あの映画は艦長と副艦長がそれぞれの正義によって対立し、世界大戦を引き起こすかもしれない緊張感がたまらない映画だったと記憶していますが、やっぱり潜水艦映画はその閉鎖的な環境で、通信も不自由さを強いられるような状況の中、全権を委ねられた艦長の選択によって世界が変わってしまう怖さみたいなのが良いじゃないですか。
その辺さすがによくわかっていらっしゃるようで、既視感があると言えば元も子もない話ではありますが、さすがに潜水艦映画らしい環境を活かした緊張感溢れる展開は、過不足もなく万人が楽しめる悪くない作りだったと思います。
しかし主人公補正強め
全体的に展開もスピーディーだし、次から次へとピンチが訪れてハラハラさせてくれるし、何より状況的に込み入っていないわかりやすい内容なので、もう単純に誰もがハラハラ成り行きを見守るだけで良い、というある意味ラクに楽しめる娯楽映画としてきっちり成立していると思います。
まあね、多少はツッコミどころもありますけどね。「いやゲームじゃねぇんだしそんな動きで回避できねーだろ」とか。見せ場なのはわかるんだけど、いくらなんでも主人公補正がエグいんじゃないですかね的な。
もう見事なまでにギリギリ避けての連続なので、リアリティという意味では厳しい評価をつけざるを得ません。
加えてこのジェラルド・バトラー演じるグラス艦長、観ているとかなりのギャンブラーなんですよね。
他者を信じる選択肢はどれも尊いものではありましたが、しかし一歩間違えば沈没→全員即死という状況なので、いくらなんでも運ゲーすぎるしそれがまた見事に的中しすぎるしで、そこも含めて主人公補正がエグい話ではあると思います。この辺は結構好き嫌いがわかれそう。
最後は笑っちゃうぐらいの力技
ただまあそれでもフィクションだし潜水艦沈んじゃったら途中で話終わっちゃうし、その辺はマナーとして許容してあげるべきなのかなとも思うわけですよ。思うわけぇ。(大泉洋感)
それでもちょっと最後のラッキー感は思わず笑っちゃったぐらいにはなかなかの力技だったので、正直詰めの甘さは否めません。
最後の20分…いや15分ぐらいですかね。そこまではすごく良かったと思います。なかなかの緊張感が持続して、特に頭も使わず観ているだけでドキドキ楽しめる娯楽感、これはもしかすると今年公開映画の中でも結構上位に来るのでは…? と期待しつつ観ていました。
が、まあ最後の最後で力量不足が顔を出しちゃったかなと。偉そうに申し訳ないんですが。
ぶっちゃけ、やっぱり一流監督だったらこの終わり方って無いと思うんですよね。もうちょっと唸らせるか考えさせるようなエンディングになると思うんですよ。
そうじゃないから良い、っていうのも否定しませんが、まあこういう終わり方だと「そこそこ」止まりになっちゃうよなぁ…とちょっと残念な気持ちで帰路につきました。
そういうところも含めて「ザ・アメリカ」、良くも悪くも娯楽映画らしい内容でグサッと刺さるような部分はなかったかなと思います。
ただくどいようですが終盤まではかなり惹きつけられるものもあったし、さして期待をせずに観る分には「意外と良いやん」となるような映画でしょう。特に潜水艦映画好きであれば。
このシーンがイイ!
ロシア側の艦長とのアイコンタクトみたいなところはなかなかの胸熱ポイントだったと思います。漢だぜ。っていうか漢臭すぎるぜこの映画。
ココが○
ネタバレ項につらつら書いたように、最後の部分はいろいろ不満が噴出してきて残念だったものの、そこに至るまでは本当にかなりしっかり楽しませてもらったと思います。
時間にして8割は面白かったので、まあなんだかんだ言って満足はしましたよ。
ココが×
ネタバレ以外に一つ大きな不満として、アメリカ軍の司令部側の話がほぼ無駄だった点。
完全にただの観客としてしか機能していなかったので、だったらもうあのパートいらねーだろっていう。
ジャケットを見るとなんならジェラルド・バトラーとゲイリー・オールドマンの二大主演みたいになっていますが、もう完全にゲイリー・オールドマンの無駄遣いでしたね。超いらなかった。もったいなさすぎる。
もうちょっとあの司令部側が効果的に使われていたら…それこそもっと好戦的な指示を出したんだけど艦長が止めたとかその逆とか、艦長がよりシビアな選択を迫られるシチュエーションを作るのに適した存在だったと思うんですけどね。まったく活かされてなかったですね。
MVA
そんなわけで期待のゲイリー・オールドマンは無駄遣いされ、ジェラルド・バトラーも渋みを増して良かったものの主人公補正が強すぎてなんだかなーという感じ。
ってことで今回はこちらの方にしようと思います。
トビー・スティーブンス(ビル・ビーマン役)
現地潜入特殊部隊の隊長。
最も男臭く、そして最もかっこよかったと思います。
彼の立ち居振る舞いと価値観も、いかにも「ザ・アメリカ」的ではあるんですが、ただこっちはそれを期待して観ていた部分もあるし、いかにもな軍人感がとても良かったですね。
「一昔前ならトム・サイズモアがやってそうな役だなー」と思いながら観てました。まる。


