映画レビュー0351 『イン・ハー・シューズ』

これもお友達に薦められた作品。女性向けかなと思いつつ、でもあの「L.A.コンフィデンシャル」の監督、カーティス・ハンソンの映画だということで観てみました。

イン・ハー・シューズ

In Her Shoes
監督
脚本
原作
『In Her Shoes』
ジェニファー・ウェイナー
音楽
公開
2005年9月24日 アメリカ
上映時間
131分
製作国
アメリカ
視聴環境
TSUTAYA DISCASレンタル(DVD・TV)

イン・ハー・シューズ

無職で奔放な女性・マギーは、弁護士として忙しい日々を送るローズの家に居候として転がり込む。ある日、ローズが残業から帰ると、惚れていた同僚がマギーを抱いている場面に遭遇。何もかもが嫌になったローズは仕事を辞めようと決意、マギーを「二度と私の人生に現れないで!」と追い出してしまう。

人生が凝縮されたハートフルな良作!

8.5

「女性向けなんじゃないか」という予想もそうなんですが、「もしや恋愛系か?」と疑いたくなるような序盤戦の流れもあり、どうなのかなーと半信半疑で観ていた結果、かなり良かったです。

主人公は二人の姉妹。姉のローズは、弁護士としてバリバリ働いているものの自分の容姿に自信を持てないという、いわゆるオーソドックスなキャリアウーマン的キャラクター。上司と思しき同僚に抱かれたのがものすごく久しぶりだったらしく、彼にお熱をあげていくわけですが、ある日自分の留守中に家にやってきた彼が妹のYシャツ下着姿に欲情、イチャイチャしているところに運悪くローズご帰宅→激怒→姉妹喧嘩。

妹のマギーは上記逸話からもわかる通り、いわゆる性に開放的な女性で、スタイルと容姿には絶対の自信を持つものの、難読症のハンデキャップを持っていることに加え、過去やってきた仕事がどれも長続きしなかったという隠れトラウマみたいなものがあり、「このままじゃダメだ」とわかりつつもうまくいかない苛立ちを内包しているような女性です。上に書いたようにお姉ちゃんの男を寝取ったり、お金を盗んだりと結構ヒドイ女。コッケードイヒーナオン。

居候していた姉の家を追い出されたマギーは、実家で毎年祖父祖母が自分たち姉妹に手紙を送り続けていたことを知り、行くアテが無くなったこともあって祖母の家へ行くことにしますが、突如やってきた孫に喜んでいた祖母も、毎日「お姫様のような生活」で特に何もしないマギーを見て、「私が給料を払うから施設で働きなさい」と自分が働く老人ホーム的施設で働かせることに。

ここに病気がちだった故人である姉妹の母親と、父の再婚相手の嫌なBBA、老人ホームの老人たち、そしてローズの元同僚といろんな人たちが関わってきて物語に厚みを加え、自ずと姉妹の方向も定まってくる、と。正反対な姉妹がそれぞれの人生を見つけ、成長しながら自分の道を見つけていくお話です。

いわゆるハートフルヒューマンドラマという感じの映画ですが、女性二人が主人公の割には男の僕が観ても素直に受け入れられたのは、やっぱり根っこにあるテーマが「コンプレックス」だからなのかな、と。

姉妹どっちもそれぞれ魅力があるけど、どっちも自分に自信が無い部分はあるし、それがわかってるから触れられたくない感じもある、と。

おまけにお互いがそのコンプレックスを解消してやろうと余計な世話を焼くもんだから反発もするし、仲がいいはずなのに仲違いしちゃう。その仲違いが原因でそれぞれが自分の環境を変えていったことで、今までに無かった自分を見つけて成長する、その物語の巧みさが素直にいいな、と思いました。

普通の人たちの人生を描いた映画なので、当然ながら派手さも無いんですが、ただホッコリする犬が出てきたり、老人たちの粋なセリフがあったりと要素の使い方がウマイ映画という感じで、観客に話を受け入れやすくする、武装解除のうまさみたいなものも感じました。

嘘くさくないんですよね。これって単純ですが、すごく大事なことかなと。

リアルな話になっているおかげで、またも「生きてんなぁ…」とグッと来ちゃうという。ありがちな表現ですが「等身大」な感じが良かった。

あとはもうやっぱりベタですがジジババの使い方が絶妙。密かに爺さん婆さん好きにはたまらない映画の一つでしょう。オススメです。

このシーンがイイ!

「読み聞かせ」のシーンでグッと来たんですが、それを踏まえてのラストの「サプライズ」、これはもうズルいですね。泣きました。

あと結婚式のシーンも単純に「こういう結婚式いいなぁ」と憧れちゃうような良さがあったんですが、そもそも(早めの自粛)

ココが○

派手さは無いものの、丁寧な映画だと思います。説明臭すぎずに心情を理解できる展開の仕方は、さりげないもののすごくウマイ、監督の技量を感じる映画だと思います。さすがカーティス・ハンソン

あとは男子的にはキャメロン・ディアスのサービスシーンが結構多いところでしょうか。いや、そういう目的で観てないですが。なんというか、役に似合ってるエロルーズな感じがいいなと。

ココが×

特に無いかなぁ。きっと女性の方がシンパシーを感じると思うんですが、男の僕でもすごく良かったので、やっぱりうまい映画なんだと思います。

MVA

妹役のキャメロン・ディアスはいかにも彼女らしい感じで、綺麗でエロくておまけに奔放、でも繊細な感じがなかなか良かったですね。対して姉役のトニ・コレットもこれまた“それっぽい”、くたびれた感じだけどしっかりすると綺麗、っていうのが◎。でも、選ぶならこの人にします。

シャーリー・マクレーン(エラ・ハーシュ役)

姉妹の祖母。

達観した飄々さも、肉親らしい愛情表現もすごくよくて、その存在感からいい意味での軽さと味わいを見せてくれたと思います。やっぱり爺さん婆さんが良い映画はイイ。間違いないです。

ちなみに余談ですが、見終わった後に知ってびっくりしたのが、なんと姉妹役の二人、同い年だとか。おまけに言えばキャメロン・ディアスの方が若干早く生まれているという。ウーン、女優だ。

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