映画レビュー0718 『日本一のホラ吹き男』

一時期BSで植木大先生主演作を連続で放送していたので録画しましたそれを観ました。(普通)

ニッポン無責任時代」がむちゃくちゃ面白かったのでその流れで期待しつつ。

ちなみに英語のタイトルは調べても出てこなかったため、みんな大好きGoogle翻訳で直訳しただけのやつなので細かいことは気にしないでください。

日本一のホラ吹き男

Japan’s best horror blow man
監督
脚本
出演
浜美枝
飯田蝶子
曽我廼家明蝶
江川宇礼雄
音楽
宮川泰
公開
1964年6月11日 日本
上映時間
93分
製作国
日本

日本一のホラ吹き男

東京オリンピックの三段跳び選手候補だった大学生の初等だが、怪我でやむなく辞退を余儀なくされる。療養のために故郷に戻った等は、たまたま「ホラ吹き」と呼ばれた先祖・初等之助の自伝を発見、「ホラと思われるような大言を有言実行していった」先祖に感化され、自らも「日本一の企業で重役を勤める!」と周りに吹聴していく。

バイタリティで見せきるパワフル植木大先生。

7.0

てっきり僕は「ニッポン無責任時代」の次作なのかと思っていたんですが、実際は植木大先生主演の「日本一の男」シリーズの2作目にあたるそうです。

順番で行くと「ニッポン無責任時代」の後に「ニッポン無責任野郎」、その後に「日本一の色男」が来て今作、と。ちなみに「ニッポン無責任時代」と「ニッポン無責任野郎」の無責任シリーズもこの映画が含まれる日本一シリーズもクレイジーキャッツによるシリーズ映画ということで「クレージーシリーズ」という物騒なネーミングが与えられております。なんで表記が変わるのか謎ですが。これ以外にもいくつか録画したと思うので、また今後出てくる予定。

今作はオリンピック強化選手として世界記録すら期待されるという三段跳びの名選手・初等(はじめひとし)が主人公。ですがその三段跳びは早々にリタイアを余儀なくされ、その療養中にご先祖様の「ホラ吹きが事実になった」大物ぶりに感化された初等が、自らもホラを吹いて大物になってやるぞ、とホラ吹き野郎として生きていくことを決める、というお話。

今っぽく言うなら「超ポジティブシンキングでなれない自分はいない」というような、なんならちょっと怪しい自己啓発系の雰囲気漂う主人公ですが、そこは当然植木大先生ですからね。もう全然マネできないレベルでまたも“良いサイコパス”的に周りを巻き込み、とことん自分を信じてモチベーション高くあれよあれよと出世していく物語になっています。

ちょっと変わった部分としては、若干挟まるご先祖様のパートは時代劇になっていて、植木大先生の時代劇も同時に楽しめて一粒で二度美味しい的な映画になっている点でしょうか。さすがに殺陣もシュッとしていてカッコイイんですよね。いやほんとこの人はスターですね。

ただそのご先祖様パートはあんまり大きな意味もなく、結局は現代でどう出世していくのかという…やや「ニッポン無責任時代」に似た物語ではありました。

初等は「日本一の企業で重役になる」という目標を定めるんですが、大学の先生に「日本一の企業はどこだ」と訪ねたところ「増益電気か(確か)月立製作所」と言っていたので、モデルはおそらく松下電器産業(今のパナソニック)と日立製作所でしょう。他にもソニーらしき会社やプリンス自動車(後に日産と合併)ならぬプリンセス自動車が出てきたりと、この時代の日本社会が垣間見えるのが楽しいです。企業以外にも今は無き向ヶ丘遊園を始めとした失われたロケ地が登場したりして、当時の日本の社会・風俗を知るという意味でも今でも面白い映画になっていると思います。

さて、そんな増益電気の面接を受けるも不合格を食らう初等でしたが、当然そんな程度でへこたれるわけもなく、臨時雇いの守衛に始まり正社員に、そしてそこからも順調にステップアップしつつ、「増益電気一の美人」と言われる可那子嬢もゲットしてやんぜ、と公私両面に渡って充実してやんぜというお話。

最初に配属された資料室的な部署では文字通りサービス残業で会社に寝泊まりしつつ仕事を片付けていくという電●もびっくりの社畜っぷりが凄まじいわけですが、これも初等なりの計算があっての行動で、また彼が狙った通りに舞台が回っていく気持ちよさはなかなかのもの。

もちろん現実には起こり得ないものだと思いますが、「ニッポン無責任時代」同様、ギリッギリのところで有り得そうな展開はやっぱり脚本のうまさも感じます。コメディなんだけどコメディすぎない、本当にギリギリありそうで無いラインなんですよね。なんか。

いや、無いんですけどね。無いんですけど、ありそうなんですよ。多分時代が変わった=昔ならあり得たみたいな見え方がするのもあるかと思います。

んで、まあきっと普通の人間なら「絶対ないわ」なんですが、これがもう植木大先生の手にかかるとですね。こんなバイタリティ溢れる人間にガガーっと攻め込まれたらみんなタジタジになって呑まれちゃうような気がしないでもないという。とにかくこの植木さんのバイタリティがものすごいんですよ。声もでかいし動きもキレッキレだし。ウワー!って走ってきてそのまま歌が始まっても息一つ乱れていない、という。もちろん歌は別で入れているとは思いますが、見た目にもまったく疲れた素振りを見せない。ものすごいですね。まじで。

最近ちょうどこの頃の植木さんを描いたドラマもやっていたようですが、間違いなくこの頃は多忙を極めていてろくに寝ていないはずなんですよ。それでもこんな一人元気玉みたいな動きを見せるっていう…やっぱりとんでもない人ですね植木さん。もちろん、編集のうまさや撮り方の工夫もあるんだとは思いますが、それにしても終始圧倒される植木大先生のバイタリティというのはやっぱりなかなか他では観られない唯一無二のものだと思います。

ストーリーとしては「ニッポン無責任時代」と似た「良いサイコパスの出世話」ではあるし、あの映画と比べるとやや我が強い主人公であるためか印象としては一歩落ちる気はしました。やっぱり一発目とは面白さが違うのも仕方がないところではありますからね。特にヒロインとのあれこれが結構急だったので、そこの辺りもやや残念。歌にしても、今でも馴染みのある名曲揃いだった「ニッポン無責任時代」と比べるとやや地味な感は否めず、これはこれで良いんですがやっぱりちょっと弱いかなとも思うし。

とは言え「植木等という人のすごさ」を知るには間違いなく良い教材の一つでしょう。いやもうね、ほんとすごいんですよ。全力で走り回って笑顔で歌って。今回もまた、植木等のエンターテイナーぶりをまざまざと見せつけられた鑑賞となりました。こんなはつらつとした人間っているんでしょうか。今の日本に。作り物でもここまでの人物像って作れない気がする。それぐらいにすごい、稀有な存在感。

間違いなく元気をもらえる一本だと思います。邦画のコメディなので気楽に観やすいし、元気のない現代人にも「クレージーシリーズ」はオススメです。

僕もまたちょっと気が重くなった時にでも、続きの何かを観ようと思います。

このシーンがイイ!

これはもうやっぱり由利徹大先生との絡みですよ。1シーンなのがもったいないレベルで最高の絡みでした。すげーなやっぱ昭和のコメディアンは…。

ココが○

もうとにかく溢れるバイタリティですよ! 圧倒されます。すごい。

ココが×

「ニッポン無責任時代」の主人公はひたすら前向きで結果良い方に進む、という大らかなサイコパス感が最高だったんですが、今作の主人公はやや計算高さが強調されている面があって、そこが少し愛しにくいのかなという気はします。

あとは上にも書きましたが、ヒロインの心情が急に変わるところがちょっと残念。

MVA

浜美枝に草笛光子がこんなに綺麗だったとは知らず…驚きましたが、当然ながら今回もこの人にせざるを得ません。

植木等(初等/初等之助役)

ここまで主役が主役として成立している映画というのもなかなか珍しいと言うか。

大スターで彼を中心にすれば売れるからこその主役としての使われ方ではあるんですが、しかしここまで一人で歌って踊って笑いを取って走って飛んで叫んで笑ってっていうのは…すごい。圧倒されます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA