映画レビュー1032 『キンダガートン・コップ』

先日映画好きの友人に「今までシュワちゃん的なマッチョ俳優が出てきた映画は全部通ってきてない」と話したところ、アクションじゃないしこれならほっこり観やすいよとオススメされたので、この日はこの映画を観ることに。

余談ですが、監督こそあの「ゴーストバスターズ」(とジェイソン・ライトマンの親父として)でおなじみのアイヴァン・ライトマンではありますが、出演者に至っては軒並みほぼ初鑑賞になりまして、やっぱり路線の違いと言うか…“こっち側”は観てきていないんだなぁと変なところで感心しました。

そんなわけでなんと初シュワちゃんです。そう、実は「ターミネーター」すら観てないんですよ。

キンダガートン・コップ

Kindergarten Cop
監督
脚本
原案

マーレイ・セーラム

出演

アーノルド・シュワルツェネッガー
ペネロープ・アン・ミラー
ジョセフ・カズンズ
クリスチャン・カズンズ
パメラ・リード
ボブ・ネルソン
リンダ・ハント
リチャード・タイソン
キャロル・ベイカー

音楽

ランディ・エデルマン

公開

1990年12月21日 アメリカ

上映時間

111分

製作国

アメリカ

視聴環境

Netflix(PS4・TV)

キンダガートン・コップ

今から観るにはシュワちゃんに思い入れがないと厳しいかも。

5.5
コワモテ刑事が幼稚園に潜入捜査
  • ストロングスタイルの刑事が捜査のために幼稚園の先生に
  • 翻弄されつつも徐々に“いい先生”になる彼の元に敵の手が迫る…!
  • シュワちゃんが子供に翻弄される(当時の)意外性がポイント
  • お決まりのように恋愛要素が邪魔

あらすじ

初シュワちゃんはシュワちゃんっぽくない映画となりましたが、しかし…まあこの頃この手の映画が多かったということもあるんですが、「別にシュワちゃんじゃなくてよくね?」感のある役でもあったし、逆に言えばそう感じるのは彼に対する思い入れのなさの裏付けでもあると思うので、まあやっぱり単純に僕には向いてない映画だったのかなと言う気がします。90年代にありがちな筋の読みやすさも気になるところ。

いかにもすぐ死にますでぇー的なモブ感たっぷりのチンピラが、ロン毛を後ろで縛った鼻につく雰囲気の野郎に金で情報提供を持ちかけたところ案の定殺されるところから物語はスタート。

そのロン毛野郎は名をクリスプ(リチャード・タイソン)と言い、とある麻薬密売組織のボスらしいんですが、どうも彼は息子に執着しているものの元妻が大金を奪った挙げ句息子を連れて逃げてしまったそうで、その妻子の行方を探しているところにその情報を持ちかけてきたチンピラがやってきてあえなくグッバイしましたよと。

事件当時、刑事のジョン・キンブル(アーノルド・シュワルツェネッガー)がクリスプを追走していたものの事件には間に合わず、チンピラ死亡後に追いついて逮捕。しかし現場にいたチンピラの知り合いガールが証言を拒否したためにクリスプは釈放される可能性が高く、このままではようやく捕まえた苦労も水の泡…ということでクリスプが麻薬密売をしていた証拠を得るため、逃げた元妻と息子を探しに向かうことに。

上司に強引に組まされた相棒の女刑事、フィービー(パメラ・リード)とともにオレゴン州の田舎へ向かったキンブル。現地では教師経験のあるフィービーが、キンブルの息子が通う幼稚園に保育士として潜入し、キンブルは町で情報収集の予定だったところが突如体調を崩したフィービーが動けず、やむなく代わりにクソマッチョかつ子ども嫌いなキンブルが保育士として潜入する羽目に。

まだ男性保育士が珍しい時代な上にクソマッチョ、「こいつマジでなんなん」的な目で見られつつも次第に適応し、園児たちからも慕われる良い先生となっていったキンブルですが…しかし目的はあくまでもクリスプの元妻探し。果たして彼の捜査はどうなるのでしょうか。

適応の仕方に難あり

ざっと調べたところ、「ターミネーター」でアクションスターとして確固たる地位を築いたシュワちゃん、この後「コマンドー」「プレデター」と言った有名所で着々とキャリアを築き、その後役の幅を広げましょう的にやってきたのがこの映画、と言ったところでしょうか。

もっともこれの前年にコメディの「ツインズ」もあるので、それと合わせて「ただの筋肉アクションスターじゃないぜ」と見せ方を変えようとしていた時期の映画なのかもしれません。(ちなみに「ツインズ」は未見ですが、なにせ相棒があの名優ダニー・デヴィートなのでぜひいつか観たいと思ってます)

実際、この映画でもオープニングこそ「あれ? ターミネーター観てるんだっけ?」と思えるぐらいにおなじみのグラサン姿でストロングスタイル感丸出しでしたが、幼稚園潜入捜査以降は「子ども相手は勝手が違う」困惑っぷりがよくわかるギャップ感で過去のイメージとは少し違う役を手堅く演じていたように見えました。

正直、シュワちゃん自体には特に不満もなく、安心して観ていられるものではありました。ただ残念ながら(役柄上の)彼が子どもたちを“手懐ける”ための方法が軍隊まがいのもので(しかも割と頻繁に出てくる)、今の時代からするとちょっと引いちゃうようなものだったんですが、それが周りには「すごい!」と評価されちゃう辺りに結構なギャップを感じ、今観るのは少々厳しいのかもなと思います。

大した話ではないように思えますが、ただキンブルが“保育士として”評価されるきっかけであり、その後もドヤ顔をかまして誇示する「保育士としての優秀さ」を表す象徴的な部分がそれなので、時代錯誤感が強い故に「シュワちゃんがこんな役を」というギャップよりかは「シュワちゃんらしいやり方で子どもたちを“統制”している」ように見えて、そもそもこの映画の狙いと思われる“ギャップ”の面が感じづらい映画になってしまっていたのは辛いところだなと思います。

時間が経ってしまったが故に一周回って「普通にやりそうだし時代に合ってないから評価できない」形になってしまうという皮肉。

もちろんそれだけがすべてではないものの、その他もお決まりのように挿入される恋愛要素がいらねーな案件だったり、やっぱりちょっと時代的にこなれてきた感じの“映画作りのフォーマット”をそのまま引きずるようなストーリー展開はがっかり感が強めで、本来の見どころ外でも気になる点が多々あったのが今の時代から観る分には損している映画だと思います。

思い入れが無いとつらい

結局、元からずっとシュワちゃんが好きだったりとか、ひたすらかっこいいアクションスターとしてリアルタイムで追っていた人たちからすれば、意外性もありつつ決めるところは決める感じで「最高」と思ってもおかしくないのかなとは思うものの、(勧めてくれた人には申し訳ないんですが)僕のようにかなりの周回遅れかつ他の映画は割と観ているタイプの人間が、初めてシュワちゃんを観る映画としてこれは…残念ながら逆に向いてないんじゃないかと言う気がしましたね。むしろ王道から行くべきだったかなと反省。

まあシュワちゃん基本でいろいろ語ったものの、一番は「よく観るあの展開とよく観る恋愛を絡ませたよく観る映画のパターン」というのが一番大きくて、やっぱり今から観ると濫造された大衆向け映画感が少々しんどい。

これは別にこの映画自体が悪いわけでもなく、早い話が「この頃はこういう映画が流行った」というだけの話で、もしかしたら今から30年後に今の時代の映画を観る人たちが「なんかヒーローものばっかでどれも一緒だな」と飽き飽きしちゃうかもしれないのと問題としては同じようなものなんだろうと思います。

ということで結論としては、決して悪くはないものの…よほどの思い入れが無い限りは今観るほどの映画ではないかな、と思います。

このシーンがイイ!

ちょっと鑑賞から時間が経ってしまったこともあり、あまり思いつかず…無しで。スマヌ。

ココが○

お決まりのパターンということはイコール安心して観られる内容でもあるので、こういう定番路線が好きな人は間違いなくいるだろうし、そういう人たちにとっては良い映画になり得るものなんでしょう。僕はちょっとひねくれちゃってるのでね…。

ココが×

改めて言うまでもなく、お決まりのパターンでお決まりの恋愛。これ恋愛なければまただいぶ違った気がするんですが、ただそうすると落とし所が難しそうでもあるし、悩ましいところでしょうね。

MVA

シュワちゃんも悪くなかったんですが…この人かな。

パメラ・リード(フィービー・オハラ役)

キンブルの相棒の女刑事。

彼氏共々コメディ的にもストーリー的にも美味しい役どころで、“女の魅力”勝負ではない女優さんっぽさが良かったですね。いかにも脇役としてきっちりしたキャスティングだなという感じで。

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