映画レビュー1350 『30年後の同窓会』

ウォッチパーティを始めた最初の頃に候補に挙げられていてずっと観たかった一本、ようやく観ました。

30年後の同窓会

Last Flag Flying
監督
脚本

リチャード・リンクレイター
ダリル・ポニクサン

原作

『Last Flag Flying』
ダリル・ポニクサン

出演

スティーヴ・カレル
ブライアン・クランストン
ローレンス・フィッシュバーン
J・クイントン・ジョンソン
リチャード・ロビショー
リー・ハリントン
シシリー・タイソン
ユル・ヴァスケス

音楽

グレアム・レイノルズ

主題歌

『Not Dark Yet』
ボブ・ディラン

公開

2017年11月3日 アメリカ

上映時間

124分

製作国

アメリカ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

30年後の同窓会

意外と重めでスッキリしない。

7.0
30年ぶりに海軍の仲間たちに会いに行く男、その目的は
  • かつてベトナム戦争時に同じ軍に所属していた2人と会いに行く男
  • 再会を喜ぶ2人に目的を告げ、同行を願う
  • 終始悲しく重い雰囲気が漂う、悲しい同窓会
  • さらば冬のかもめ」の精神的続編

あらすじ

めちゃくちゃ良い3人が主演なので軽快なほっこりコメディを期待していたんですがこれが思いのほか重い映画でグッタリしてしまい、これはこれでいい映画なんですが「観たかったのはこれじゃない…」という感じでちょっと残念でした。

雨の中、とあるバーに訪れたドク(スティーヴ・カレル)。常連と無駄口を叩く店主らしき男、サル(ブライアン・クランストン)に「僕のこと忘れた?」とお久しぶり感を醸し出すと「お前か〜!」と再会を喜ぶ2人。

一晩飲みながら語り合った翌朝、ドクは「連れて行きたいところがある。絶対気にいるから」とサルの車でロングドライブし、とある教会へ。

「教会に興味はない」と言うサルを連れて行くと、中にいた牧師は2人の海軍時代の仲間で、神からはもっとも遠いと思われていたヤンチャ男・ミューラー(ローレンス・フィッシュバーン)でした。

彼の家に招かれ3人でまたも語り合いながら、やがて暗い表情のドクがなぜ2人を訪ねたのかその理由を明かし、そして2人にあるところへの同行を頼みます。

足がやや不自由で妻もいるミューラーは最後まで渋りますが、結局同行。その目的地とは…。

期待と違う方向性

序盤で明かされるので別に目的云々を隠す必要もないんですが、まあその辺は観て頂いて。

なにせ主演がスティーヴ・カレルなのでもうこっちは笑う気満々だった(しかもAmazonではジャンルがコメディになってた)んですが、近年稀に見るシリアスカレルの方でした。参った参った。めっちゃ真面目でシリアスなんだもん。それもきっちり演じている辺りさすがなんですが。

シリアスなのはその目的からして当然なんですが、しかし勝手ながらもっと軽い映画を期待していただけにそのギャップでこっちもかなり沈んでしまい、「ドウシテ…」と悲しみに包まれております。これは映画のせいではなく自分のせい。こういう映画だと思って観ればもっと全然違った感想になったかもしれません。

一方でどうしてもその「目的の重さ」に終始引きずられている感は否めず、わかるんだけどでも向き合うのもしんどい…みたいな映画になっている気もして、やっぱりどうしても乗り切れなさはありました。

鑑賞後に調べて知ったんですが、原作者で脚本にも関わっているダリル・ポニクサンは「さらば冬のかもめ」の原作も書いていて、この映画の原作はその続編らしいんですが、映画自体は続編の体を取っておらず、いわゆる“精神的な続編”という形。実際役名も変わっています。

ただどうしてもこのことを知ってしまうとあの映画の地続きに観てしまうのはやむを得ないところで、「そうかあの3人の未来がこれかぁ…」といろいろとしんみり考えてしまいました。それを踏まえるともう少し点数を上げてもいいかもしれない。

ちなみに今作はスティーヴ・カレル演じる“ドク”が主人公になりますが、彼は「さらば冬のかもめ」では刑務所に護送される一番年下のメドウズ(ランディ・クエイド)にあたり、ブライアン・クランストンが演じるサルは「さらば冬のかもめ」の主人公、ジャック・ニコルソンが演じたバダスキーになります。確かにそう言われて観ると性格もそのままおっさんになった感じでそれっぽい。

ローレンス・フィッシュバーンが演じるミューラーは残る一人、オーティス・ヤングが演じるミュールになるんですが、この人はあんまり記憶に残ってないのでふーんという感じ。(ダメな感想)

「さらば冬のかもめ」は自分にとっては鑑賞直後より時間が経つほど「あの映画良かったよな…」としんみり考えてしまう映画になっていて、それ故この映画に対しても「そうかぁ…あの3人かぁ…」とこれまたしんみりしてしまうんですが、映画の内容もそれ以上にしんみりする内容だったので浮かびどころがなくしんどいというか、もうちょっといい話を聞きたかったな…と悲しさがあり、「すごく良い映画なんだけどそっちに行ってほしくなかった」みたいなわがままが表に出てしまいました。

そんな感じで全体的に暗いんですが、ところどころやっぱり昔を懐かしんでバカみたいに笑ったりしていいなぁ、というシーンもあるし、いかにも男友達らしい良い意味での子どもっぽさみたいなものを感じられる良いところもあるしで、なおさらもっとそっちを掘り下げてよ! みたいな気分にもなりました。まあ僕のわがままですよ。

あと意外と反政府的な価値観が色濃く感じられるので、その辺りはその価値観自体の良し悪しは別として、少し気になる面もあります。

多分「さらば冬のかもめ」がアメリカン・ニューシネマだったからその延長線上としてこうなったんだろうと思いますが、価値観そのものは納得できてもちょっとくどいなと感じる面もあり、その辺りももう少しだけスマートに描いた方が良かったような気がしないでもない。

両方観るといいのでは

観ていて考えてしまうところはいろいろあるんですが、ただレビューするとなるとあんまりアレコレ言うような映画でもない気がするので、この辺でお茶を濁して終わりにしましょう。

単品でもいい映画だとは思いますが、間違いなく「さらば冬のかもめ」も観ておいた方が受け取るものも多いのではないかと思います。が、残念ながら「さらば冬のかもめ」の方が名作なんだよな…。

ただ若かった頃を描いたあの映画と、歳を取って立場が変わってからの姿を描くこの映画とではまた語るべきメッセージが変わってくるのも当然で、どっちが良い悪いではないんでしょうね、きっと。これが人生なんだよ、みたいな。

いずれにしてもいい映画なので、ある程度観るタイミングは選ぶとは思いますが、「さらば冬のかもめ」が良かったという人は観てみると良いのではないかなと思います。

このシーンがイイ!

ベタではありますが、携帯買うか買わないかで揉める辺りは好きですね〜。ああいうシーンがもっと観たかった。あと貨物車両みたいなところで過去話するところとか。

ココが○

歳を取って変わったことを否応なしに考えさせられる面があり、そこはやっぱり良く出来てるなと思います。完全におっさん向けの映画。

ココが×

やっぱりちょっと重いのと、あんまりビシッと決めてくる映画でもないのでそこがどうか、というところでしょうか。ただこれはこれで良いんだろうと思います。

MVA

主演3人それぞれ良かったんですが、この人かなぁ。

ブライアン・クランストン(サル・ニーロン役)

バーのオーナー。昔と変わらず乱暴なタイプ。

でも人一倍優しさも持っている感じがすごく上手い。そして何より「ジャック・ニコルソンが(演じた彼が)歳をとった」雰囲気も感じられるという。見事だと思います。かなり役作りしたんじゃないかなぁ…。

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