映画レビュー1275 『マガディーラ 勇者転生』
「RRR」が非常に観たいんですが骨折しているので以下略2度目、同じS・S・ラージャマウリ監督の作品を以下略2度目です。
なお今回はJAIHOが配信していた関係でオリジナル版の鑑賞になります。
マガディーラ 勇者転生
S・S・ラージャマウリ
M・ラトナム
2009年7月31日 インド
166分(オリジナル版)
139分(日本公開版)
インド
JAIHO(Fire TV Stick・TV)

いろんな意味でまさにバーフバリの源流的映画。
- 手だけ触れて雷に打たれた的な衝撃を受けた女子を追い求めるワイルド青年
- 彼女と青年は前世で愛し合うも悲恋に終わった恋仲だった
- 後半は前世を描く二部構成
- いろいろぶっ飛んでて“それ”っぽい
あらすじ
まー相変わらずすごいですね。笑っちゃうすごさ。
バーフバリを観た後では一回り小さく感じられる“プロトタイプ”感があるんですが、それでもやっぱり面白いし思い切ってて気持ちがいい。このセンスは他の国に無いなぁと改めて思います。
主人公の青年・ハルシャ(ラーム・チャラン)は各地を転々とするバイクレーサーですが、そんなのはどうでもいいです。(どうでもいい)
早速最初の勝負でひと笑いご提供したあとに賭金を持ち逃げしようとした胴元の女性を追いかけつつワンダンス、謎のおっさんとの対決も経て次のレースへ向かいます。ちなみにこの最初のシークエンスは本筋にまったく関係ありません。笑う。
移動中のバスに座りつつ窓から外に手を出していた態度の悪いハルシャは、たまたま近くのバス停で待っていた女子・インドゥ(カージャル・アグルワール)の手に触れ電撃が走るような感覚を覚え、同時に前世での悲恋の記憶がよぎります。
「彼女こそが探し求めていた姫だ!」と本能で理解した的なハルシャはレースそっちのけで彼女を探すべくバスを降り、彼女本人に尋ねますが訝しげな彼女は自分が該当する人物だと名乗らずに「友達だ」と言い、会わせるフリをして彼を翻弄。
その後なぜか唐突にスイスロケに移行し、白人女子たちに「インドゥを知らないか」と聞いて回るも当然誰も知らないしなんで急にスイスにいるんだよと突っ込む間もなくハルシャとインドゥのスイスダンスシーンを挟んだりしながら徐々にお近付きになる二人。意味がわかりません。
一方でインドゥパパは「本来自分が主であるはずの城」を姉夫婦から取り戻そうと訴訟を起こすんですが、義理の兄はカタギではない感満載のためいろいろバイヤーです。
しかもそこに姉夫婦の息子(つまりインドゥの従兄弟)ラグヴィール(デヴ・ギル)が大人になったインドゥに一目惚れしてしまい、彼女を手に入れるべくなんと父親を殺害、「うちが間違ってました」と偽りの謝罪によってインドゥパパにお城を明け渡す誠実さを見せてインドゥにお近付きになろうと画策します。
しかしラグヴィールもまた前世で因縁のある人物であり、三角関係も同様に前世から引き継がれたものだったのでした。
果たして彼らの因縁は…そして過去何があったのか…刮目して見よ! 的なアレ!
単純な物語でも面白くなっている
鑑賞からそこそこ間が空いてしまったのと、連続してラージャマウリ作品を観てしまったためにいろいろごっちゃになってるかもしれない恐怖と戦いつつ書きますが、いやしかしいろいろおかしくて笑いました。最高。
JAIHOご紹介ページの画像はいかにもバーフバリっぽい昔の甲冑みたいな時代を感じる格好だったのでてっきりああいう中世を描いた映画なんだろうと観始めたら完全に現代劇で、「あーこれ現代劇なんだへぇ〜」と思っていたらちょうど半分ぐらいから過去(前世)の描写が始まり、一粒で二度美味しい的な映画になっております。
なおいきなりコロシアム的なところに馬に乗ったまま滝をぶち破って登場する主人公から始まる過去シーンは爆笑からスタートと言っていいでしょう。なんであんな入り口なんだよ。
さすがに2作で親父バーフと息子バーフを描いたバーフバリとは違い、1作で現代と過去を描くだけに特に過去の内容は比較的あっさり目ではありますが、それでも作りとしてはバーフバリに近いものを感じます。
前半で幾度となく繰り返される「過去の悲恋」、そして「過去の因縁」もどんなものだったのかをお知らせしてくれたのち、現代に戻ってどうなんねやというパターンですが、過去シーンで初登場した人物が後半の現代で生きてくる辺りもなかなかニクい作りでございます。
「勇者転生」のタイトルからも分かる通り、話としては「転生」がキーワードなんでしょう。インドの宗教観もすごく関わってきてそうな感じで。
内容は単純で、前世で両想いながら悲恋の結末を辿った二人が現世で出会い、同時にライバルだった人物との因縁にも決着をつけてやるという王道なもの。
はっきり言ってこんな物語、フツーに観たって面白くなりようがない陳腐な物語だと思うんですが、そこはインドパワーですよ。全然面白いという。
この辺が本当に不思議な力強さを感じますね。インド映画。ラージャマウリパワーかもしれませんが。
例によって歌とダンスも登場しますがそこまで頻度は高くなく、逆に物足りないぐらいですがこれぐらいが丁度いいような気もします。物語を邪魔しない程度の踊り要素で。
不思議なもんでインド映画も見慣れてきちゃっただけに急に踊りだしても全然違和感がないのが我ながら驚きです。成長しました。なんなら「おっ、この辺りで来るか?」と予想できたりもしちゃうという。
それでも突然のスイスロケは衝撃でした。なんでだよ。なんで急にスイス行って人探してんだよ。スイス人にインドローカル女子のこと聞いたってわかるわけねーだろ。
まあそれもまたお楽しみですわね。本当に。ノーランとはベクトルの違う変態な気がしてきましたラージャマウリ。
バーフバリ好きならぜひ
JAIHOでも「バーフバリの原点」と紹介されていましたが、本当にそんな感じであの映画を楽しめた人はそのまま楽しめる映画ではないかと思います。
もちろん“バージョンアップ”版とも言えるあちらと比べるとだいぶ小さくまとまってるし豪快さも物足りないことは否めませんが、とは言えこれはこれで全然面白いと思うので迷わず観ましょう。
やっぱり僕としては急に挟まる笑いどころが大好きなんですが、そういうポイントもそこそこあって満足しました。やっぱりラージャマウリ作品も追い続けないとダメですねこれは。
このシーンがイイ!
アスファルト蹴っ飛ばして漏れ出したガソリンに火を付けるシーンは爆笑しました。すごすぎる。
あとラストの見せ場もバカバカしく振り切ってて最高。こうでないと。
ココが○
(良い意味で)あちこちひどいのがやっぱり最高ですね。インド映画。「いや〜インド映画観てるな〜〜」って感じます。
ココが×
話としては本当にベタだし見るべきところもないのでそこは期待しないほうが良いでしょう。収まるべきところに収まるし、倫理観も結構ひどいし。
MVA
主役のラーム・チャランもさすがに主役だけあってアクションも良かったんですが、後半全部持ってったこの人にしましょう。
シュリハリ(シェール・カーン/ソロモン役)
観ればなぜこの人が良いのかは誰でもわかると思いますが、過去のキャラからしてまさか現代に出てきてこんなに美味しいところを持っていくとは想像もしませんでした。この人ズルい。


