映画レビュー1042 『7番房の奇跡』
結構前に友達が「最近観た中で一番良かった」と言っていたので観たかったんですが、この度例によってネトフリ終了がやってきましたということで。っていうか終了が来るまでネトフリにあることすら知らないことがザラです。
なおこの日は普通にTVで観ました。今のところどっちも一長一短あるかな〜という気がします。
7番房の奇跡

ズルい話かつエンタメ度高し。
- 娘を思う父と父を愛する娘のヒューマンドラマ
- 舞台はほぼ刑務所内なものの、過酷さよりコメディ感強く観やすい
- 泣かせどころはしっかり泣かせる“ズルい”作り
- 娘ちゃんかわいすぎ問題
あらすじ
一言で言うと「韓国版アイ・アム・サム」的なイメージでしょうか。知的障害者の父と、その父を純粋に愛する娘の感動的な物語、といったところ。
「セーラームーン」が大好きな6歳の娘・イェスン(カル・ソウォン)と二人暮らしのイ・ヨング(リュ・スンリョン)。彼は知的障害者なんですが、娘を世界一愛しているのでなんとかして彼女が欲しがっているセーラームーンのランドセルを買ってあげようと仕事に励む毎日です。
ある日、そのランドセルを売っているお店に行くと「最後の一個」がちょうど買われるタイミングに遭遇。彼はお金を払っていないにも関わらず「これは娘のものだ」とゴネて購入しようとした家族と揉めてしまいます。
しかし後日、その時ランドセルを買ってもらった女の子が「売っている店を教えてあげるよ」とヨングのもとにやってきたので、言われるがままに彼女についていったところ途中で何らかのアクシデントが発生、その子は死んでしまい、また現場にいたヨングを目撃した人からの通報によって彼は犯人として逮捕されてしまいます。
ヨング自身は自らが疑われていることすら把握していないような状況のまま、娘と引き離される形で収監。ここがどんな場所かもよくわかっていない様子でひたすら娘と会わせてくれと懇願しますが、待っているのは過酷な“しつけ”ばかりで絶望的な状況です。
しかしあるとき、刑務所内の勢力争い的な戦いに巻き込まれるようにして自分と同じ“7番房”のボスの身を守ったことで同じ房の面々から受け入れられ、またボスから恩返しの希望はあるかと聞かれ「娘と会いたい」と答えたヨングは、ついに“7番房”の仲間たちの尽力によってイェスンと再会します。
こうしてたまにこっそり刑務所にやってくるようになったイェスンは、さながら「みんなの娘」のように愛され、またヨングも(殺人犯という自らの置かれている立場を理解しないまま)刑務所での生活に馴染んでいくんですが…あとはご覧ください。
エンタメ度高い良作感
上記あらすじは(上映時間の上でも大半を占める)刑務所でのお話を中心に書いていますが、実際はこの刑務所での出来事は過去の話であり、これとは別に描かれる「現在」のフェーズと行き来しながらどんな話なのかを紡ぐ映画になっています。
その現在のフェーズの主人公は、若く美人で聡明な女性(パク・シネ)なんですが、彼女がその過去とどんな関わりを持っているのかは…一応伏せておきましょう。しかし一つだけ言わせてもらえればパク・シネ超かわいかった。もうそんだけ。そんだけは言いたい。
また過去フェーズの娘ちゃん、イェスンを演じるカル・ソウォンもめっちゃかわいく、なるほどこりゃあお父さんも溺愛するわな、という感じでキャスティングが見事です。ちなみに彼女ももう14歳となり、見事な美人になっていておっさんも安心しました。
正直お話としては「わかりやすく泣ける」話であり、ズルいっちゃーズルいです。そりゃ泣くよな、という感じ。
ただその“泣き所”のある種ベタな面は好みが分かれる気はしますが、それ以外の部分が意外とエンタメ度高く楽しませてくれるので、単なる「安易な泣かせストーリー」ではないところがとても良かったと思います。
特に同じ“7番房”の面々の悲喜こもごもが(殺人犯として裁かれることになるヨングの)深刻なはずの現状からうまい具合に目を逸らせてくれる役割を担っていて、連中と一緒になってキャッキャ笑ってたらいつの間にか事態は進行していてのっぴきならない状況になり「ヤバいじゃねぇかよ」と観客も7番房のメンバーと同じような感情に至れる辺りがとても上手いと思います。つまりは観客もまた7番房の一人となるような感覚。
当然ながらヨングの人のよさと責任能力の無さから間違いとしか思えない“殺人”の疑いをそのままにしておけないと観客も思うわけですが、しかし一方で描かれる“現在”のフェーズには彼は出てきません。
その事実に嫌な結末を予感しながら、終盤に向けて感情を高ぶらせてくる物語と演出に…見事にやられましたよ。そりゃあ。そりゃあ泣いたさ。
軽く検索すると(何かと因縁のある韓国だから、というのもあるんでしょうが)話がチープすぎるだのご都合主義だのなんだの文句を言っているレビューも結構見るし、もちろんそう言いたくなる気持ちもわかるぐらいには“よくできすぎている”話ではあるんですが、一方でこの話を素直に受け止めて泣ける自分で良かったな、とも改めて思いましたね。スレ過ぎてなくてよかったなと。
ただこの話自体はフィクションということもあってか、ザルな刑務所だったりその他諸々かなりファンタジックな話でもあるので、その辺りもう少し緻密な話にすればもっと感動を誘う傑作足り得たような気もして、若干の惜しさを感じる映画だったのも確か。すごく良い映画なんですけどね。“ケチをつける隙きがある”惜しさというか。
まあ完璧な映画なんて(個人の思い入れを除けば)まず無い話なので、そこを突っ込むのも野暮なんでしょう。ただそんなわけである程度隙きがある部分は事実なだけに、あんまり重箱の隅をつつくような観方はせず、半分コメディだと思って寛容に観るのが正解なのかな、と思います。
誰もが観やすい良い映画
僕の中で韓国映画は「面白いけどグロい」イメージが強いので、評判が良くてもまず観るのをためらっちゃう部分があるんですが、さすがにこの映画はグロが介在する余地もないのでその面でも安心だし誰もが観やすい良い映画だと思います。
これが実話だったらかなり強いなと思うんですが、残念ながらそうではないので少々気になる点を受け入れられるかどうかが評価の分かれ目になりそう。ぜひあまり堅いこと言わずに気楽に受け入れながら観て欲しい一本ですね。
このシーンがイイ!
うーんやっぱり…一番の泣かせどころですかね…。ネタバレ的にどこって書けませんが。あの映画(これもネタバレになるので書けないけどシチュエーション的にかなり近いアレ)を思い出したなぁ。
ココが○
真っ直ぐなストーリーなので、素直に観られれば間違いなく良い映画と思えるのではないかと。変にひねらず、涙もろい人間はちゃんと泣くよねっていう。この辺も「アイ・アム・サム」と似てるかも。
ココが×
僕が一番引っかかったのはやっぱりちょっとファンタジックな点でしょうか。そんなカンタンに子供を刑務所に連れてこられるかいな、とかそういう部分。
あとは…おっとこれはネタバレだから書けないぜ。(詳しくはネタバレ項に)
MVA
当然のように皆さん良く、特に主人公のヨングを演じたリュ・スンリョンは高い評価を受けたようですが、ただやっぱりこの手の役は…なんというか若干のあざとさみたいなものもあるので、僕としては他の方のほうが良かったかなと思いつつ。
娘ちゃんもめっちゃ良かったけど…この人に。
チョン・ジニョン(刑務所課長役)
ヨングが収監された刑務所の課長で、まあ早い話がいい役ですよ。
ちょっと渡辺いっけいがシャキッとした感じの男前感も良かったし、役が美味しいので選ぶのもやむなしかなと。
あとはやっぱり7番房の面々が皆さん良くて。特に“ボス”のオ・ダルスが好きでした。米米CLUBのリーダー(ボン)かな? って思ったけど。


