映画レビュー1536 『レイジング・ブル』

配信終了系。たぶん。
とは言えこの映画は「デ・ニーロ・アプローチ」の最たるものと言われていた作品でお馴染みなので、これまたいつか観ないとと思っていたのでようやくです。

レイジング・ブル

Raging Bull
監督
脚本

ポール・シュレイダー
マーディク・マーティン

原作

ジェイク・ラモッタ

出演

ロバート・デ・ニーロ
キャシー・モリアーティ
ジョー・ペシ
フランク・ヴィンセント
ニコラス・コラサント
テレサ・サルダナ

音楽

レス・ラザロビッツ

公開

1980年11月14日 アメリカ

上映時間

129分

製作国

アメリカ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

レイジング・ブル

マフィア映画にしか見えないボクシング映画。

8.0
実在のプロボクサー、ジェイク・ラモッタの半生
  • まだ裏社会との繋がりも色濃い時代のプロボクサーの現役時代から引退後まで
  • パワーファイターらしい鍛え抜かれた身体から引退後のぽっちゃりまで、すべてリアル体作り
  • 面白いものの主人公の嫉妬深さが異常すぎてメンタルやられる
  • デ・ニーロをデ・ニーロたらしめた一本

あらすじ

面白かったんですが…主人公の性格に難ありすぎて…。

1941年、デビュー以来無敗を誇っていたジェイク・ラモッタ(ロバート・デ・ニーロ)は地元有利判定のあおりを受け、初の判定負けを喫し大荒れに荒れ、妻や弟のジョーイ・ラモッタ(ジョー・ペシ)に当たり散らしますが、その後兄弟で行った市営プールで見かけた15歳の少女・ビッキー(キャシー・モリアーティ)に一目惚れし、すべて(妻がいること含む)を忘れ彼女に没頭、あれよあれよと交際開始し、前妻と別れたような話も特にないまま結婚。
しかし例によって良かったのは最初だけ、次第に彼女への執着から喧嘩が絶えず、また彼に反発するビッキーの行動もあって夫婦は険悪な仲に。ジョーイは「ボクシングのためにも別れるべき」と進言しますが聞き入れられず、相も変わらぬ喧嘩の日々です。
一方ボクシングに関しては「もう戦ってくれる相手がいない」ぐらいの強さを誇っていたジェイクですが、当時界隈を仕切っていた地元の大物・トミー(ニコラス・コラサント)を嫌い、避けていたためにタイトルマッチを組ませてもらえずにいました。
ジョーイからも「トミーの言うことを聞け」と言われ続け、またどうしてもタイトルマッチを戦いたいジェイクは渋々トミーの「八百長試合をやれ」との誘いに乗ることにしますが…あとはご覧ください。

主人公が異常

1980年の映画ですがモノクロです。なので実際以上に古い映画に見えます。
ただなにせボクシングシーンがリアルで血が飛び交うだけに、モノクロは逆に痛々しさが和らいで良かったような気もします。それが狙いでモノクロにしたのか等は調べてないのでわかりませんが…。
しかしまーとにかくそのボクシングのファイトシーンがとにかくリアルですごかったですね。今と比べてもまったく遜色はない、むしろ僕が今まで観てきた(数少ない)ボクシング映画の中でも一番リアルでした。
本当にどうやって撮ってるんだろうと考えてしまうぐらいに生々しくて、絶対マジで殴り合ってるでしょっていう。いやすごい。デ・ニーロならやりかねない…気もしないでもないですがその辺どうだったんでしょうね。
そのデ・ニーロですが、最初に書いた通り「現役時代の鍛え抜かれた体つきから引退後のぽっちゃり体型まで」すべて体作りを行って実際にその体型になったとのことで、この手の激しい減量・増量のまさにパイオニアといったところでしょうか。今だとチャンベとかよく聞きますけども。
現役時代はまさにパワーファイターっぽいちょっと重みのある体型は、タイトル通り「レイジング・ブル(怒れる雄牛)」のイメージそのもの。本当に強そう。
一方で引退後、コメディアンとなった彼の体型は非常にシンパシーを感じるだらしなボディで、この状態のデ・ニーロの方がむしろレアな映像のような気がしないでもない。アル・カポネを演じた「アンタッチャブル」(ブルつながり)もこんな感じだったような記憶がありますが、あれはWikipediaによるとスケジュール的に身体を太らせる時間がなく顔だけ太らせたらしいです。顔だけ太らせるとかできるの!? ならこっちは顔だけでも痩せたいんだけど。

そんなデ・ニーロの役作りも見事な映画ではありますが、しかし演じるジェイク・ラモッタその人の性格がまあひどくて観てられない。
本当に異常なほどに嫉妬深いんですよ。とにかくめんどくさすぎる。
妻がちょっと男と会話しただけで「今のは何だ?」と激詰め時間が始まります。これがもう一度や二度ではないんですよ。体感的に15分に1回レベルでそういった嫉妬シーンが入ってきます。本当にもうそれがうんざりで…。
時代や荒っぽい環境に身を置く必要があるボクサーという事情があるのもわかってはいるんですが、それにしても本当に異常で、またそれを何度も見せられるのでかなり滅入りました。デ・ニーロが嫌いになりそうなぐらい。
試合→嫉妬→兄弟喧嘩→試合→嫉妬→兄弟喧嘩→試合…の繰り返しを観させられる…と言うと大げさですが、イメージとしてはそんな感じでした。
なので意外と観ていてしんどい映画だなと。もちろん最初からコメディ的に楽しめるなんてことは一切思っていませんでしたが、それにしたって異常だよって感じで。
男の僕ですらそうなので、これは女性が観るのはよりしんどいのではないかと思います。
さすがにプロボクサーなので手を出したりはないんですが、精神的なしんどさが強いので観る状況を選びそうな映画かなと。

共感出来ないけど良作

しかしそんな不快感がありつつも、当然そこから凋落していくこともあって最終的には妙にしみじみしてしまうという。良い映画であることは間違いありません。
主人公には一切共感出来ない良作というか。
基本的に主人公に共感出来ないと相当デキが良くない限りあんまりグッと来ないと思っているんですが、そこを乗り越えてくるのはさすがに歴史に名を残す作品だなと改めて感じました。
やっぱりなんか…不器用な人間の悲しい生き様というのは感化されてしまうものがあるのかな、と。
間違いなくもう一度観ようと思うような映画ではないんですが、ただやっぱりスコセッシとデ・ニーロの映画っぽい空気感も相まって問答無用で「良い映画だろ!?」とねじ伏せられたような、そんな気のした一本でしたとさ。

このシーンがイイ!

やっぱりラストシーンかなぁ。それまでの彼の姿を観ていくといろいろ感じてしまういいラストシーンだなとしみじみ。
あと試合のシーンの迫力は本当に今観てもまったく遜色がない素晴らしい出来でした。

ココが○

何と言ってもボクシングの試合のシーンが素晴らしい。スローとかで誤魔化してもいない、ガチのボクシングっぽさがすごい。

ココが×

とにかく主人公がしつこい。嫉妬深すぎる。
ご本人の自伝を元にしているらしいんですが、自分自身で本にもこの嫉妬深さを書いていたんでしょうかね…だとしたらそれはそれですごすぎるんだけど。

MVA

まあこれはもう誰が観てもこの人でしょう。

ロバート・デ・ニーロ(ジェイク・ラモッタ役)

主人公。上に書いた通りです。
肉体改造は当然すごすぎるんですが、それ以上に“ロバート・デ・ニーロ”なので当然演技も見事なわけで、こりゃ勝てないわねと。
やっぱり若い頃のデ・ニーロはギラギラした何かがあっていいですね。性格は最悪の役だったけど。
ジョー・ペシとのコンビもたまりません。

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