映画レビュー1535 『ハリウッドを斬る! ~映画あるある大集合~』

この日はたまに出てくる配信終了じゃない系です。
なんか面白そうだな(短いし)という堕落した理由で選びました。

ハリウッドを斬る! ~映画あるある大集合~

Attack of the Hollywood Cliches!
監督

ショーン・ドハーティ
リッキー・ケレハール
アリス・マティアス

脚本

デイン・バプティスト
ショーン・ドハーティ
Erika Ehler

出演
公開

2021年9月28日 各国

上映時間

58分

製作国

アメリカ

視聴環境

Netflix(Fire TV Stick・TV)

ハリウッドを斬る! ~映画あるある大集合~

もっとじっくり見せてくれてもいいんですけど?

7.5
ハリウッド映画の“あるある”を立て続けにご紹介
  • ロブ・ロウを案内人に、タイトルそのままに「お約束」を列挙するドキュメンタリー
  • 実際の使用例を交えつつなのでいろんな映画が観られてお得
  • 同時にその性質上、若干のネタバレも入ってくるので気になる方は注意
  • やたらテンポがいい分もう少しじっくり観たい感も

あらすじ

映画好きであれば間違いなく面白いであろう内容、実際面白かったんですが若干の不満もあり、もう少し丁寧ならもっと良かったのになと思ったりしました。

もう本当にタイトルがそのまますぎるのであらすじも何もないんですが、俳優のロブ・ロウが案内人として登場し、ハリウッド映画でお決まりの様々なパターン…例えば「非現実的な出会いから恋に落ちるラブコメ」「大事なときに限って壊れる機械類」「ルールを守らない刑事」「遠くから葬儀を眺める主人公」「処女のファイナルガール」「白人の罪滅ぼしのために存在する黒人」「怒るとデスクのものを全部捨てる登場人物」「ウィルヘルムの叫び」等のお約束を、実際の映画の映像を流しながら教えてくれる超メタ映画です。

いろんな映画が観られてお得

これほど語る内容もなく「観てね」で終わる映画もないんですが…一応それなりに膨らませましょう。
上記の例で言うと、例えば「非現実的な出会いから恋に落ちるラブコメ」だったら我らがおヒュー主演の名作「ノッティングヒルの恋人」の出会いのシーンが出てきたりします。ジュリア・ロバーツに飲み物ぶちまけちゃうアレ。
「大事なときに限って壊れる機械類」は本当にもう超あるあるですが、ピンチになるとエンジンがかからない車とかそういうやつ。「ルールを守らない刑事」はダーティハリー。
「遠くから葬儀を眺める主人公」で出てきた「ワイルド・スピード」はめっちゃ笑いましたね。遠くから葬儀を眺めるポール・ウォーカー…のさらに遠くから眺めるヴィン・ディーゼルという二本立て。確かにこういうシーン、よく見る…!
そんな感じでいくつものあるあるネタを矢継ぎ早に提示し、「こういうシーンはこういう意図がある」とか「こういうシーンはこういう理由で入れられている」みたいな豆知識も込みで見せてくれる映画です。フラグに近いですがフラグそのものはあんまり無かった気がしますね。「おれ…この戦争が終わったら地元に帰って結婚するんだ…」みたいなやつは。一個ぐらいあったような気はするけど。(早々に忘れる)
すべて実例(実際の映画)を数本流しつつ解説してくれる上にめちゃくちゃテンポが速いので(字幕読みが追いつかないぐらい)、膨大な量の映画が観られる上に共感性も高く映画好きであれば間違いなく楽しめます。
特に僕はここ数年でハリウッド映画の定番の流れに嫌気が差してきているだけに、その鬱憤を晴らしてくれるような側面もあって大変楽しめました。
一方で本当にテンポが速く、解説もじっくりではなくかなりサラッと次々展開していくので「もうちょっと観たいんですけど」みたいな感じになったのも確か。
一つひとつの映画について説明してくれるわけではなく「この類型にハマるのはこの映画のこのシーン」を連続して見せる形なので、面白いものの印象に残らない、良くも悪くもバラエティのようなドキュメンタリーですね。学術的なものではなく娯楽に振り切っているというか。まあ当然なんですけど。

あとはもう観てね…でいいんですが、これを観て少し考えさせられた点があったのでそれについて。
映画でも触れられているんですが、この手の「ハリウッド映画あるある」は価値観の固定化や「ステレオタイプの生成」に寄与している側面が少なからずあり、思春期の頃からハリウッド映画を観てきた僕のような人間は自分が気付かない間に「こういう人はこういうタイプ」とレッテルを貼ってしまっている部分があるな、と気付かされました。
この映画では「敵は醜い人物が多い=顔に傷がある人への偏見につながる」みたいな話をしていましたが、そういった先入観を結構植え付けられているなと。
ハリウッドは(特に僕が観てきた時代は)男性上位の業界なので、善悪関係なく「それが普通」として刷り込まれた価値観ってすごく多いと思うんですよ。
これまた劇中で語られていた、「男性は自分を今の環境から救ってくれる女性が1人現れる妄想を持っている」とか、なんかすごいわかる気がして苦笑しました。
昔はよく「ハリウッド映画はアメリカ政府のプロパガンダだ」とか半分陰謀論じみた言説を見た記憶がありますが、それぐらい世界的に影響力がある産業が(特に意図もなく)「話の進行上そうするのが楽」だったり「その方がウケが良い」だったりの理由でフォーマット化した“あるある”によってステレオタイプを増産した結果、一般的な人々に今となっては疑問視される価値観を植え付けていた事実というのはなかなか罪深いものもあるな…とそんな説教臭い映画ではないのに妙に考えさせられてしまい、そこが逆に良かった点でもありました。
考えればごく当たり前の話なんですが、ハリウッド映画の社会とのつながりをより強く意識させられたというか。
意外とここは気付いてなかったなと反省しつつ、その意味でも観て良かったなと思います。

物足りない

上に「(ハリウッド)映画好きであれば間違いなく楽しめる」と書きましたが、同時にそういう人たちであれば物足りなさも感じるんじゃないかと思うんですよ。「もっと観たいぞ」と。
本当にポンポンサクサクと進んであっという間に終わるので、こんな短くしなくてももうちょっとしっかり解説して1時間半にしてくれていいよ、みたいな。
なんかすごく慌てて見せられてる感じがしちゃったんですよね。
例えば日常でエロいシーンに出くわしたとき、できれば長めに観たいじゃないですか。でもそれを許してくれない感じなんですよ。(最低の例え)
深堀りするわけでもなくあくまで類型の提示にとどまっているのでかなりあっさりしてるし、もうちょっと解説含めてじっくり見せてくれてもいいのでは…という(面白かったが故の)不満もありました。
ただ観て損は無いと思います。
短いのがもったいないと言いつつも1時間で終わるのは観やすさにつながってもいるだけに、とりあえず気になったら観てみるといいのではないでしょうか。

このシーンがイイ!

この映画でこのシーンがいい、っていうのもなんかメタい気がしますが…一番笑ったのはやっぱり「ワイルド・スピード」の部分でしょうか。
あとフローレンス・ピューが何回か証言するのに出てくるんですが、言ってる内容がかっこよくてしびれました。「ブラを着けたセックスは(リアルじゃないから)断る!」とか。確かに「オッペンハイマー」では堂々と脱いでたしね。

ココが○

「映画あるある」の時点でつまらないはずがないので、こういうドキュメンタリーを作れるネトフリすげーなと感心しました。権利とかどうしたんだろ…。
あと欲を言えば「ボリウッドあるある」も観たい。超面白そう。

ココが×

実際の映画の映像をいっぱい提示する関係上、どうしてもネタバレが含まれることは注意です。
ただその映画の根幹に関わるネタでもないし、一瞬なのでぶっちゃけその映画をすぐ観ない限りはあんまり影響なさそうな気はするけど。そのシーンが出てきたら思い出すのはありそう。

MVA

出ずっぱりなのはロブ・ロウなのでロブ・ロウ…と言いたいところですがドキュメンタリーだし該当者無しで。
というかロブ・ロウはなんなら若干やっつけ感があったのでダメです。チラッとカンペ読んでなかった? 気のせい?

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