映画レビュー1382 『ロイヤル・トランプ』
JAIHOより。ちょっと気になるチャウ・シンチーシリーズ。(謎シリーズ)
ロイヤル・トランプ
舞台に興味を持てないとちょっとしんどい。
- 成り行きで国を蝕む悪大臣を討つ任務を受けた男
- 宮中に潜り込むと今度はまた別のスパイとして取り立てられる
- トントン拍子に皇帝の部下となって…なサクセスストーリーコメディ
- 演舞の見事さとネタのくだらなさのギャップがポイント
あらすじ
非常に“らしい”コメディではあったんですが、舞台設定的にあんまり興味を惹かれなくてちょっと残念、という感じ。
遊女の館(妓楼と言うらしい)で働くワイ・シウポウ(チャウ・シンチー)は、おもしろ口上的なものが評判らしく謎に高く組んだ椅子に座って講談的なことをやって客を呼んでおりますよと。
ある日そこに居合わせた天地会の総帥・陳近南(ダミアン・ラウ)を成り行きで助けてしまったワイ・シウポウは、天地会の一員としてスカウトされます。
天地会というのは「反清復明」、つまり(この時代の)王朝である清を倒し、明王朝を復活させることを目的とする団体で、彼はこの時代の悪政の象徴とも言える大臣・オーバイ(チョイ・ガムコン)を討つために宮中へ潜り込むよう指令を受けます。
宮中には裏口入学的に入れるはずが間違って宦官試験の方に行ってしまい、結局偽の宦官として宦官のトップ・海大富(ン・マンタ)に仕えることに。
海大富は海大富で太后になんらかのきな臭さを感じているらしく、彼女の部屋からある書物を盗むように指示されたワイ・シウポウ、そこからまた今度は成り行きで皇帝とその妹の公主と知り合い、仲良くなってしまうのでした。
トントン拍子で宮中での身分を強固にしていき、ダブルスパイ(実際はトリプルスパイ)のような形で“暗躍”するワイ・シウポウですが、はたして。
下ネタ多めのコメディ宮廷劇
いくらなんでも知らない人間を重用しすぎじゃね? と思いますが、まあコメディだし時代もあるしでなんとかなっちゃうおもしろ宮廷劇。なのか?
皇帝や海大富、オーバイといった登場人物も実在の人物らしく、日本で言えば「コメディ時代劇」みたいな感じでしょうか。「お笑い忠臣蔵」みたいな。よくわからないけど。本人はいい加減なのにトントン拍子で飄々と“出世”してしまう辺りはちょっと「ニッポン無責任時代」みたいな感覚もあります。
ただ、いかんせんその大前提となる舞台が中国の清王朝なので、その辺に対する知識や興味がないと若干ノリづらいかな〜という気はしました。というか自分がそうでした。
一方で内容は本当にくだらないギャグが中心だったりするので、実はそれもあんまり関係がなく好きな人は好きな映画かなという気もします。とかく「宦官(去勢された官吏)」が多く登場する宮中の話なだけにまー下ネタが多めなんですが。
それと演舞にも力を入れた香港映画らしく、登場人物がどいつもこいつも謎に強いです。格ゲーのキャラみたいに必殺技持ってるし、どれも一撃必殺だし。この宮中で(物理的に)生き残るの大変じゃない?
その“強さ”の表現も十分にギャグとして成立しているので、そこも含めてまあくだらない。ただ動き自体は(ワイヤーが見えてたりもするんだけど)さすがにしっかり魅せてくれるので、ああ香港映画だなぁという謎の安心感がありました。
物足りなさも
鑑賞から結構経っていることもあり、あとは特に言うこともなくですね…申し訳ない限り。
正直そこまでハマる要素もなく、かと言ってまったく面白くなかったということもなく、なんとも微妙なポジションに落ち着きます。
なにせ舞台に興味が惹かれなかったがために途中で結構飽きてきてしまう面もあって、選ぶ映画を間違えたかなという元も子もない感想です。「少林サッカー」みたいな行ききった荒唐無稽さを求めるとちょっと物足りないかもしれません。
このシーンがイイ!
二人羽織でドラミングするシーンが一番笑いました。あんな血が出るんだったら絶対死ぬだろ。
ココが○
やっぱりなんだかんだアクションはしっかりしているところでしょうか。コメディでもそこは手を抜かない辺りが香港映画っぽいなと。
ココが×
おそらくはベースの歴史的な知識があってこそ楽しめる面があると思うので、それがない以上イマイチになってしまうのもやむを得ないのかもしれません。不勉強乙。
MVA
まあ誰でもいいっちゃいいんですが、となるとこの人かなと。
チンミー・ヤウ(プリンセス役)
皇帝の妹、プリンセス。
なぜか主人公を気に入っちゃう一時代前のヒロインって感じですが、まーかわいかったですね。自分が主人公だったらどう考えたって鼻息荒く迎え入れるのになんでだよ、って感じで。
立身出世的にも皇帝の弟になるんだから御の字すぎるし、嫌がってるのが本当に謎でした。なので容姿はもうちょっと微妙な女優さんでも良かったのかもしれないですね。逆に。