映画レビュー1365 『ザッハトルテ』

今回はウォッチパーティより。結構前から候補に上がっていたので気になっていた映画でしたが…。

ザッハトルテ

Sachertorte
監督

ティン・ロゴル

脚本

Robin Getrost
ウェンカ・フォン・ミクリチ
Stephanie Leitl

出演

マックス・フーバッヒャー
ミーブ・メテルカ
クリスタ・シュタートラー
カール・フィッシャー
ミカエラ・サバ
サミュエル・コッホ
サラ・コッホ
ルース・ブラウアークバン
ベネディクト・カルヒャー
ゼバスティアン・ヤーコプ・ドッペルバウアー
パスカル・ギーフィング
ポール・バソンガ

音楽

Matthias Petsche

公開

2022年11月18日 各国

上映時間

112分

製作国

ドイツ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ ウォッチパーティ(ウルトラワイドモニター)

ザッハトルテ

主人公よりも周りの人たちの優しさが染みる。

8.0
一目惚れした女性と再会するため、毎日カフェへ通う男
  • 一度だけ会った相手を運命の相手と確信した男、追いかけるも追いつけず
  • 「毎年カフェ・ザッハーで誕生日を祝う」情報だけを頼りに毎日通うことに
  • 周りの人たちのサポートもあって通い続けるが、しかし彼女とはなかなか会えない
  • とにかく周りの人たちが素敵でほっこり

あらすじ

ドイツ映画らしからぬ(?)なんてロマンチックな話なんでしょうか。素直に良い映画でした。

クイズ制作会社で働くカール(マックス・フーバッヒャー)は通勤途中にソーセージバー(そんなものが!)でウィーンから来たニニ(ミカエラ・サバ)と知り合い、これはもう運命の女性に間違いないと一目惚れ。

しかしなんやかんやあって連絡先が分からなくなってしまい、急いで追いかけてあと一歩に迫るも間に合わず、激沈です。

残された手がかりは、彼女が毎年誕生日の午後3時にウィーンにある「カフェ・ザッハー」でお祝いをする、という情報だけ。

時間も場所もわかってる、だったら通うだけでしょ? ってことで会社にウィーンでの活動を強引に許可してもらい、毎日3時にカフェ・ザッハーへ行っては“ザッハトルテ”を食べる日々。しかし彼女はやってきません。

次第に彼の行動は話題を呼び、カフェの店員たちや近くの別カフェ店員ミリアム(ミーブ・メテルカ)たちにも協力してもらいながらウェイティングし続けるカール。

徐々にウィーンの街にも馴染み、友達も増えていくカールですが…さてどうなるんでしょうか。

元祖のザッハトルテを食いまくる話

例によってラブコメなのである程度結末は見えてくるものではありますが、それでもなかなか見せ方上手で良い感じに気になる展開の良作でした。

タイトルの「ザッハトルテ」は言うまでもなくあちこちで目にするチョコケーキのことですが、彼が毎日待ち続ける「カフェ・ザッハー」はその名の通りザッハトルテの元祖のお店であり、それ故に観光客も多く、カフェ自体も予約しないと入れない的な話が序盤に出てくるぐらいの人気店のようです。確かにウィーンに行ったら行ってみたい感ある。“本物の”ザッハトルテ食べてみたい。

ただ見るからに格式高いカフェ…というかホテル内レストランみたいな感じなので、おそらく「毎日」は相当にお金がかかると思われます。実際そういうセリフもありました。おまけにコーヒーも飲んでますからね。バカにならない出費になりそう。

その上単純に太りそうという問題もあり、若い男はいいねと違う意味での羨ましさも感じるわけですよ。再会したら「太ったわねぇ〜!」って言われそう、とか笑えない。

ちなみにザッハトルテについてくる生クリームは甘くないもので、チョコが濃厚で甘いから“口休め”としてついてくるとのこと。口休めで生クリームってすごいな…!

ということで「運命の女性」と確信した人を待ち続ける、そのロマンチックな毎日が送れる環境にしても、そもそも「運命の女性と確信」できる出会いがあるのも羨ましいわけですが、それ以上にまあ彼を囲む人たちの優しさが本当に素晴らしくて羨ましくて、正直日本だとここまで親切にしてくれる人たちに囲まれる社会は無いんじゃないか…と思ったりもするわけです。

特に何も知らず予約無しで入ろうとした初回に出会った、ホテル・ザッハーで暮らす裕福なマダムが最高に素敵。素敵すぎてしびれた。

彼女との出会いが彼のその後のウィーンでの生活を導いてくれたことは疑いようがなく、こんな老人になれたら最高だな…と理想の人物像そのもの。

彼女はことあるごとにカールにヒントを与え、さらに一張羅をプレゼントしてくれたりもします。ちょっと“出来すぎた知り合い”だけどそこに救いがあるというか…単身乗り込んでいった先にも味方がいるんだぞ、という「渡る世間は鬼ばかりじゃないぞ」みたいなメッセージになっていて観客にも行動を起こす勇気を与えてくれるとかくれないとかいう噂です。

一方で主人公は少し「それは良くないぞ」と思わせる言動も垣間見えたりして、やや幼い男性という印象。

特に“ドライブ”した日の立ち居振る舞いは完全にアウトだと思うんですが、それもまた彼以外の人物の優しさによって許されてしまう…その環境が羨ましいけどそれでいいのかな? とも思います。

彼のお兄さんにしても優しいし、とにかく周りに生かされている…んだけど特段そのことも意識できていない主人公はちょっとモヤモヤ。

まあ彼には「運命の女性を毎日待つ」という金看板があるので、その一途さでいろいろと許されてしまう環境にあるのも事実でしょう。一途さ、度を超えたロマンチックさに弱い。それが人間ってもんです。

確かに自分も近くにいたら、きっと頭にくることがあってもその一途さに免じて応援しちゃう気がする。それぐらい彼の思いの強さは周りを惹き付けるものがあったんでしょう。

ラブコメとして普通によく出来てる

肝心の恋愛についてはあれこれ言うと面白くなくなると思うので書きません。

ラブコメとしては想像できる流れではあるものの、なかなか他にないフックで引っ張ってくれるので意外性もあって面白かったですね。やっぱりドイツ映画だからアメリカ映画とはちょっと違う感覚はありました。

やっぱりこの映画は周りの人たちが重要なんだと思います。いかに周りに生かされているのか、周りのおかげで自分があるのかを認識しなさいよ、というメッセージに感じられて。

僕もとかく図に乗りがちなので、改めて謙虚に生きなければと意を新たにし、まだ見ぬ運命の女性を待つべくカフェに通おうか…と思ったんですが、完全に「鑑定士と顔のない依頼人」のエンディングが浮かんだのでやめました。悲しみしかない。

このシーンがイイ!

確かサリー・ホーキンス似のウェイトレスさんだったか…「世界にはロマンチックな人が必要」って言うんですよ。それがね。もうくぅー! ってなりましたよね。確かにこんなバカにされそうなぐらいロマンチックな人、必要。

ココが○

あまり見慣れないウィーンの町並みが存分に味わえて、もう映像だけでも美味しかったです。やっぱり知らない土地の風景が見られるのはそれだけで嬉しい。

ココが×

上に書いたドライブの日もそうですが、イマイチ主人公に魅力を感じられないというか…アウトよりの行動もあってそこが難。ずっと良くしてもらってたのにブチギレちゃったりとか。気持ちはわかるんだけど…。

MVA

これはもう一択ですよ。誰が観ても一択。

クリスタ・シュタートラー(ファニー・サヴァリッシュ役)

カールが出会うホテル住まいのお婆ちゃん。お婆ちゃんというかおばあさま。

品と気骨と知性で満たされた女性、って感じでもう誰もが惚れるおばあさまだと思います。素敵すぎる。本当に素敵でかっこよくて一番のヒロインでした。

こんな大人になりてぇよ…余裕もあってさ…。

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