映画レビュー1368 『Sharper:騙す人』

いろいろ探しても特に観るもんねーなとなったのでAppleTV+を開いてじゃあこれにするか、と選びました。

Sharper:騙す人

Sharper
監督

ベンジャミン・カロン

脚本

ブライアン・ゲイトウッド
アレッサンドロ・タナカ

出演
音楽
公開

2023年2月17日 各国

上映時間

116分

製作国

アメリカ

視聴環境

Apple TV+(Fire TV Stick・TV)

Sharper:騙す人

リレー形式で詐欺が楽しめます。

8.5
騙したやつを騙したやつが騙される。最後に笑うのは誰だ!?
  • オムニバス的に「ある1人の視点」をリレー形式で見せる詐欺映画
  • 主要人物が絞られ、この手の映画にしてはわかりやすい
  • 細かく区切りが入るので飽きずにスピード感もなかなか
  • ただどれも流れが一緒なのがネック

あらすじ

邦題がクソ安っぽいので観ようか迷ったんですが、いやこれは普通に面白くて良かったです。結構満足。

ニューヨークで小さな書店を経営するトム(ジャスティス・スミス)は、たまたまお店にやってきた女性・サンドラ(ブリアナ・ミドルトン)に惹かれ、思わずデートに誘ったら上手いこと行きまして、怪しげな日本料理屋(物語的に怪しいわけではなくいかにもアメリカにありそうなという意味で怪しい)でのディナーが大盛りあがり、めでたくお付き合いが始まります。

その後結構長いことイチャイチャフェーズが挟まりまして「もうこれいらなくない?」と思っていたところにサンドラの兄が借金取りに追われている話がご登場、トムが「俺が代わりに払うから」と35万ドルもの大金を肩代わり。

サンドラは必ず返すと言いつつ姿を消し、「出たよ出たよ」と思っていたら今度はそのサンドラの過去から現在を振り返り…ってな感じで各話主人公を変えての“騙し合い”をお送りします。

人間コワイ

最終的には5人のフェーズからなる「騙す人」の映画。騙す人、ってそのまますぎやしませんかね…。

まー各人さすがに演技がお上手で、「全然違う人じゃん!」と驚かされることウケアイ。「人間、シンジラレナイ…!」とバカみたいに影響を受けるわけですが、しかしどれも実はよく見ると「痴情のもつれ」がきっかけになっているお話ばかりなので、女性関係にまるで無縁な僕としてはあんまり関係ねーなとハナクソほじりながら安心して観ることが出来ました。

初っ端の35万ドルにしてもそうなんですがまー額がデカく、そうそうそんな詐欺なんて無くね…? と思うんですがただそこにもそれなりに説得力をもたせる話になっていて、それ故ニューヨークのハイクラスな人々が登場したりして余計に自分とは無縁感が出てくるのが逆に良い。無縁すぎて明日からも安心して生きていけます。

ただまあロジック的にはこういう話があっても全然おかしくない感じでもあるし、決して「額がでかすぎて嘘くさい」とか「そんな簡単に騙されねーだろ」とか文句を言いたくなることもなく、割と騙し合い映画としてはよく出来ているのではないかなと思いました。

一方でどの話も大体流れが一緒なので、「最終的に誰が得をするのか、誰がどう騙すのか」という部分については結構わかりやすく想像できてしまうので、そこがもう一歩惜しいなと思います。

最後の最後でものすごい驚かされたらウヒョウヒョ言って満点近い映画になったかもしれない。予想できたからと言って決してつまらないわけではないんですが、やはり意外性という意味では少し期待外れな感じはありました。

それとジャケットからしてもメインと思しき存在のジュリアン・ムーア、とてもいい演技ではありましたが彼女のキャラクターだけ少し掘り下げ不足な感があり、そこがまたもったいない気も。

もうちょっと彼女がどうしてああいう存在になったのか、なぜ周りとこういう関係に至ったのかが掘り下げられるとより面白かったのかなと思います。

ただその辺描くと冗長になりそうな気もするし、テンポの良さを取ったんだろうと思えばそれもまた納得。序盤のイチャイチャフェーズだけやけに長いなとうんざりしましたが、そこを除けば全編展開も早くわかりやすく、総じてよく出来た映画だと思います。

クズセバスタを観たければこれ

ものすごいどんでん返しを期待してしまうと多分期待外れに終わるので、「まあちょっと気軽に詐欺師観たいわね」ぐらいの気分で観ると吉。そんな気分があるのかわからないけど。

やっぱりこの映画のポイントとしては主要人物皆さんの演技力だと思うので、その意味ではとてもいいものが観られます。

特にファンも多いであろうセバスタなんて「クズセバスタが観たければこれ」ぐらいにいい塩梅のクズっぷりを見せてくれるので、セバスタファンは必見と言っていいのではないでしょうか。

クズっていうのは実際クズでもあるんだけど立場上「クズを演じる」必要性もあって、二重の意味でクズなのがポイント高いです。根クズが違った立場のクズを演じているという。

ジュリアン・ムーアも僕はあんまり観たことがない役柄だったし、そういう意味でも楽しめて良かったですね。

ネタバレする人

最終的には絶対(最初に損をさせられたから)トムが美味しい思いをするんだろうなと思って観ていたので、銃が出てきた時点で「ああ撃たれた演技で死んだフリから全額頂戴か」とわかっちゃったのが残念。これは特段僕が鋭いわけではなく、きっとそれなりにこの手の話を観ている人であればすぐそう思うことでしょう。

ただ「予想通り」とドヤっといてなんですが、トムの仲間がティプシーの言ってた「ひと噛みしたい白人」だとは思ってませんでした。あそこが一番ビックリしたかも。

それにしても最後にサンドラが誘うのはどうなの!? 「一人が好き」って意趣返しさせたいのはわかるけど、あれは全部飲み込んだトムが誘うべきなのでは…。

そうじゃないと「こいつまた騙して金取るつもりじゃねーか…」って疑ってもおかしくないと思うんですけど。なんかハッピーにまた日本料理屋行っちゃったけどさ。トムもお人好し過ぎでしょ。

このシーンがイイ!

どのシーンを挙げても軽いネタバレになりそうなので挙げづらいですね…。

シーンと言うか、差し障りないところで言うと2番目のフェーズが一番「うわーそうなのー!」ってなったのであそこが一番盛り上がったと思います。良い意味で嫌なものを観させられた嬉しさ、みたいな。

ココが○

詐欺の話の割には込み入っておらず、誰でもわかりやすいのが密かに他にないレベルの高さな気がします。これ観て「え? どういうこと??」って人は多分ほとんどいないんじゃないでしょうか。それぐらいしっかりネタバラシもしてくれます。

ココが×

やっぱり上に書いた通り、展開が似通ってくる以上結末も想像しやすいのが惜しい。最後の最後でガチの裏切りがほしかったな〜。

MVA

ということで皆さん良かったんですが、一番印象的だったこの人に。

ブリアナ・ミドルトン(サンドラ役)

トムといい感じになる女子。だけど持ち逃げして…?

主要キャラの中では一番名前が売れていない気がしますが、なんのなんの一番「印象の振れ幅が大きい」人でした。

バタフライ・エフェクト」のヒロイン思い出したな〜。こういうの見ちゃうと恋愛怖いって思っちゃいますね。おっさんが言うセリフじゃないけど。

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