映画レビュー1280 『シンプルメン』

ロードムービーとご紹介されている時点で自動的に観ることが決まります。JAIHOです。

シンプルメン

Simple Men
監督

ハル・ハートリー

脚本

ハル・ハートリー

出演

ロバート・ジョン・バーク
ビル・セイジ
エリナ・レーヴェンソン
マーティン・ドノヴァン
カレン・サイラス
マーク・チャンドラー・ベイリー

音楽

ネッド・ライフル

公開

1992年10月14日 アメリカ

上映時間

106分

製作国

アメリカ・イギリス・イタリア

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

シンプルメン

気取った時代感がイマイチハマらず。

5.5
しばらく会っていない過激派の父親に会うため旅に出る兄弟
  • 父親を探す兄弟のロードムービー
  • 途中で出会う女性たちとのいろいろが中心
  • 時代を感じる気取ったセリフで好みが分かれそう
  • 弟の雰囲気がおヒューっぽくて個人的にツボ

あらすじ

90年代のロードムービーと言われるとどうしてもハードルが上がっちゃうんですが、少々自分の好みとはズレた映画だったのでイマイチハマらず…。でも好きな人は好きだろうな、という感じの映画でした。

自身の恋人と仲間の男の3人で強盗したビル(ロバート・ジョン・バーク)はその2人による裏切りにあい、金を持ち逃げされた挙げ句犯罪者として追われる形に。

一方彼の弟デニス(ビル・セイジ)は兄とは違って真面目な学生をやっておりますが、かつて国防省爆破事件の犯人として一部から英雄扱いされている元プロ野球選手の父を探すため旅に出ると言い出します。

ビルは父親に興味はないものの、まだ学生の弟が一人で探しに行くことに気が引けるのか、また家にいても捕まるだけだから一緒に旅に出た方が得策と考えたのか、弟とともに父親探しの旅に出ることに。

金も無い、車も無い兄弟は行く先々でバイクを調達したり追われたりしながら父の足跡を探し、やがてたどり着いたところで出会った2人の女性と交流を深めていくんですが…あとはどうなるんでしょうね…!

どうにも気取った感が合わない

ワケアリ兄貴と真面目弟の父親探しロードムービー。

ただ「父親探し」はさほど重要でもなく、その過程で出会った女性たちとの人間ドラマが主、という感じ。

先に言ってしまえばエンディングで「これをやりたかった」みたいな面が伺えるんですが、そこがどうにも時代を感じる男像的なアレっぽいニュアンスのものだったので「ああそのパターンね…」とイマイチ乗れずに終わった感じです。

道中にしてもなんだか気取ったセリフが多く、一言で言えば「かっこつけてんな〜」ってな感じで好きになれない。全員そう。

みんな自分に酔ってるようなセリフが多く、そういうタイプが好きではない自分としては「はあそうですか」という感じでずっと観ていました。

なんかリアルじゃないんですよね。字幕の問題もあるんだろうとは思うんですが。直接こういう会話されたらしんどいな、という感じで。

もっともこういうのがかっこいい、粋と取られた時代だったのもあるとは思うので、今観るとちょっとしんどいかな、ということなんでしょう。性格的に僕が冷めてるタイプなのもあると思います。

世間的には評価が高い映画なので、きっと好きな人は好きなんでしょうね。それもわからなくはないです。

僕が今「時代的に厳しい」と感じるということは、なんとなくこの時代にしかない雰囲気が好きな人にはたまらないわけで、今ならきっと作られないであろうこの温度感がイイ、みたいなのもあるのかなと。

雰囲気としては「パリ、テキサス」に近いものがあり、あっちは結構好きだったので結局は描かれる物語、結末の部分で好みと違っただけなのかもしれません。

どちらも恋愛が重要で、なおかつどっちも古臭い男像なのでかなり似ていると言えば似ているんですが、こっちの方が想いの重さに真実味を感じられなかった気がしますね。振り返ると。

出会ってからの時間の長さの違い、つまりは物語の裏にある設定の深みが違うというか。

まあとかなんとか言ってますがひねり出してるだけで結局は「こっちは良し、お前はダメだ」という選り好みの問題でしか無い気がします。観客がダメ人間ですからね。致し方ない。

おヒューファンには観てほしい

一つ、僕だけのツボとして弟を演じるビル・セイジの演技がありました。

観ている途中で「なーんかこの人の動き、雰囲気好きだな…誰かに似てる…」とずーっと考えて観ていたんですが、中盤ぐらいになってやっと気付きました。おヒューですよ。あの。念のためまた言っておきますけどヒュー・グラントです。ヒュー・ジャックマンじゃないですよ。

気付いたあとによく見れば、見た目も若かりし頃のおヒューとなんとなく似ているような気がしてきたんですが、それ以上に表情の作り方やら振り向き方、間の取り方がすごく似ていて、ああだから好きなんだなと。

これはきっとおヒューファンじゃないとわからない話だと思うので、逆におヒューが好きな人は一度観てみてほしい映画ではありますね。確実にそこが主軸ではないんですが。

あの「イタリアは呼んでいる」でロブ・ブライドンが見せたおヒューのモノマネに次ぐ「おヒューファン向けコンテンツ」と言えるでしょう。

そういやあの映画もそこが面白いだけで映画自体はイマイチだったな…。

このシーンがイイ!

一晩中酒飲んでグダるところは結構好きでした。最近ああやって飲んでないので、ずーっと飲んでる感じが懐かしくて。

ココが○

主人公たちが不器用なのは嫌いじゃないです。その辺の人が主人公、って感じで。

ココが×

やっぱりなーんか気取ってるのが…。「こういうのかっこいいだろ?」って同意を求められる感じが好きじゃない。

MVA

上に書いた通り、推し(の演技)に似ていたということで。

ビル・セイジ(デニス役)

学生の弟。真面目メガネ。

佇まいがとても良かった。兄貴ほど気取ってもいないし。

あとは若い頃のエリナ・レーヴェンソンもすごく魅力的でしたね。不思議ちゃんっぽさがよく出てました。

それとガソリンスタンドの兄ちゃんも好き。

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