映画レビュー0498 『卒業』
いやー、年明け早々サボっちゃってスミマセン。映画を観てなかったわけじゃないんですよ。ジャケ絵を描くのがめんどくさくてめんどくさくて。言っちゃいますが。とりあえずまとめて描いたのでまた更新していきます。
で、本日。ご存知もはや古典と言っていい名作の一つ。いやホント、今さらで申し訳ないんですが、観たかったので。
卒業
今の恋愛映画のベースが見える。
あの超有名なマダムが足を上げたシーンと、これまた超有名な花嫁連れ出しエンディング。もはやネタバレどうこう言っても仕方のない、知らない人はほとんどいないでしょうあのシーンの元となった映画です。
大学を卒業して帰郷したベンジャミン。実家にプールとかありますからね。見るからにおぼっちゃま。そんな彼が昔から知っているマダムに誘惑され、それに抗えずにDTから“卒業”、その関係をダラダラと続けていたら幼なじみでマダムの娘であるエレインが帰郷、マダムとの関係を知らない旦那ロビンソン氏と自分の両親に急かされ、しぶしぶ彼女をデートに連れ出したところがマジボレしちゃってさてどーしたもんか、というお話。
これまたいつもの通り、僕は勝手にもっとエロティックで文学的な映画なのかと思ってたんですが、想像以上に笑えるシーンが多くて、良い意味で軽い。登場人物の心情が細かい部分で理解できない面はあったものの、その辺は時代性とかもあるのでまああんまり突っ込んでも仕方ないかなという気もしつつですね、結果的には純粋にすごく面白い映画でした。今観ても。
サイモンとガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」もこれまた超有名なこの映画の要素ですが、その他当時の洋楽もいくつか劇中で使用され、その「軽さ」と「洋楽の流し方」に、今もよく見る恋愛映画の“それっぽい”流れを感じました。もしかしたらこれがそういう作りのハシリだったのかもしれません。
そういう意味でも、今観ても色褪せてないし、とても50年も前の映画とは思えないほど素直に楽しめる映画でした。
男としてはですねー、やっぱり二十歳頃なんてまだ子供同然ですから、先のことなんて考えないで流されちゃう、ってすごくよくわかるんですよ。
そりゃーDTが誘惑されちゃったら抗えないでしょう、と。それが後々響いてきちゃう、なんてわかるわけないですからね。そんな(文字通り)男の性みたいなものもしみじみ考えさせられつつ、ところどころクスリと笑い、いやはや楽しませてもらいました。
古い名作は今観るといろいろアラが気になっちゃったり今を基準に観てると使い古されちゃってる部分が多くてダメだったり、って結構そういうイメージが強いんですが、この映画はそういう部分でネガティブに見える面がかなり少ないので、ぜひ最近の映画ファンにも観てみて欲しいね、と観たばっかりの野郎が先輩面して申し上げておきますよ、と。
このシーンがイイ!
やっぱりあの足上げシーンは「おお、これがあの」ってちょっと感慨深かったですね。
その他もちょこちょこと良いシーンがありました。エンディングの表情の捉え方もお見事。あえて「カット」の声を遅らせることで二人が不安になる表情を捉えたとか。その演出もお見事ですね。
ココが○
これはなんといっても、今観ても古くない部分でしょう。ノスタルジーで「良い映画」と言われてるわけじゃないぞ、と。
ココが×
上に書いたように、心情の部分でちょっと理解し難い面があったのは事実ですが、孤独死が約束されているような男が偉そうに恋愛の内面について「わからん!」なんて言っても説得力がないのでこれは無視してください。はい。
MVA
いやー、ダスティン・ホフマンが若い。
序盤のいかにもDTっぽい拙さと、後半のちょっと狂ってるような気の入り方はお見事でしたが、この映画はこの人のような気がします。
アン・バンクロフト(ミセス・ロビンソン役)
エロマダム。
少し老けては見えるものの、やっぱりエロく見えるのがスゴイ。怖い表情もホントに怖いし。いいキャスティングでした。
ちなみに当時ロバート・レッドフォードに主役のオファーがあったそうですが、「僕が女を知らない男に見えるかい?」と断ったそうです。が、それ以前に「ナチュラル」での高校球児のほうが見えねーよ、と文句を言っておきますね。