映画レビュー0909 『マッキントッシュの男』

ここのところ少しネトフリが落ち着いているようなので、そろそろ古い映画が観たいぞというおなじみの展開によりBSプレミアムの録画から。

ちなみにタイトルの「マッキントッシュ」とはただの人名でAppleのパソコンとは無関係なんですが、そもそも今どきMacのことを「Macintosh」と言うと「ナンスカそれ昭和オリジナルッスかwwwww」とバカにされるらしいので気をつけましょう。

マッキントッシュの男

The Mackintosh Man
監督
脚本

ウォルター・ヒル
ウィリアム・フェアチャイルド

原作

『The Freedom Trap』
デズモンド・バグリィ

出演

ポール・ニューマン
ドミニク・サンダ
イアン・バネン
ジェームズ・メイソン
マイケル・ホーダーン
ハリー・アンドリュース

音楽
公開

1973年7月25日 アメリカ

上映時間

98分

製作国

イギリス・アメリカ

視聴環境

BSプレミアム録画(TV)

マッキントッシュの男

ニューシネマの香り漂うハードでボイルドなスパイサスペンス。

7.0
いきなり逮捕された主人公、脱獄の手引きから巻き込まれた陰謀とは
  • 凄腕の泥棒と思いきやいきなり逮捕される主人公
  • 脱獄を手助けした謎の組織からスパイの世界に巻き込まれ…?
  • ややわかりにくく説明不足な内容
  • いかにも70年代のほろ苦い雰囲気がたまらない

あらすじ

ネット上でも結構微妙な評価だったのであまり期待せずに観たんですが、実際わかりにくいもののそこまで悪くもなく、なんなら結構好きな雰囲気の映画でした。

ポール・ニューマン演じる主人公、ジョセフ・リアデンはプロの泥棒で、彼は「マッキントッシュ」というタイトルに出てくる名の男に仕事を依頼され、ドロボーしますよと。

どうもジョセフはこのマッキントッシュさんに何度も仕事を依頼されているらしく、「マッキントッシュの男」っていうのは…要は「マッキントッシュが信頼する腕の立つ男」的な意味合いのようです。

で、首尾よく(?)ダイヤモンドをゲットするも逃亡前にあっさり逮捕、さっさと裁判からの投獄ということで刑務所行き。

えーっ! サスペンスって聞いてたのに刑務所モノの映画なの!? と思っていたのも束の間、囚人仲間の一人から「確実に脱獄させてくれる組織があるんだが頼むか」と問われたジョセフは、高い報酬と引き換えに脱獄を依頼。

白昼堂々大胆な手口でまんまと脱獄したジョセフでしたが、同時に脱獄したロシアのスパイ・スレイドとともに謎の屋敷に軟禁状態にされ、やがて大きな陰謀に巻き込まれ…!

ところどころ説明不足でモヤモヤ進行

ただの泥棒が陰謀に…的な内容としてはクリント・イーストウッドの「目撃」辺りを思い出したわけですが、しかしああいう話でもなさそうでですね。いやこれネタバレにもなるしなかなか説明しづらいんですが。

ただ原作かいつまみ系っぽい映画なので、やっぱりところどころ説明不足感も強く、「これきっとこの人アレなんだろうけどそういう話ちゃんと出てきてないし」みたいな感じでちょっとモヤモヤしつつ観る感じにはなります。

主人公がいきなり投獄されーの脱獄しーのでなかなか「サスペンスです」的な雰囲気が無い中、いきなり大きなうねりの中に放り込まれる物語なので、振り幅は大きいもののその説明が足りていない分あまり入り込みづらい面はあるように思います。

丁寧な説明がないのでわかりにくいわけですが、ただ最後まで観た結果としてはタイトル通り「マッキントッシュの男」であることが重要だと思われるので、要は(ちょっとしか出てこない)“マッキントッシュ”さんの動向、セリフに目を光らせておくと良いでしょう、という安易なアドバイス。

ってか最初にチラッと出てきただけだから誰がマッキントッシュなのかもようわからんみたいな状態だったりするので、そもそもオープニングのマッキントッシュさんの顔自体しっかり覚えておきましょうねという小学生向けのようなご説明に終止してしまうわけですよ。

行動原理を知りたい

その(一番重要な情報なんだけど)「説明不足だな」と感じる部分をもうちょっとビビッと印象づけておいてくれると、こっちもスイッチが切り替わってグッと前のめりになれたんじゃないかなぁという気はするんですが、しかし中盤以降の展開はなかなかしっかりサスペンスっぽさがあったし、悪くないお話だったようには思います。

とは言えやっぱり繰り返しにはなっちゃうんですが、その肝心のこの映画で描かれる“陰謀”の部分が、なぜその陰謀なのか、なぜ黒幕はそういう行動をしたのかという動機の部分がほぼ皆無なので、そこがまたもったいない話ではあると思うんですよ。

物語の世界は悪くないんだけど、登場人物の行動原理がほとんど描かれないために狙いが見えてこないからノリにくい、というような。

ここがねー。とてももったいない気はしましたね。原作を脚本にしていく段階でそこが抜け落ちちゃっているような感覚がありました。

アメリカン・ニューシネマ漂う終わり方が良い

監督がジョン・ヒューストン、脚本にウォルター・ヒルで主演がポール・ニューマンというこの時代としてはなかなかヨダレも出かねない良いメンバーなだけに、もう一歩丁寧にやって欲しかったなと言う思いはあります。上映時間を考えれば、もうちょっと膨らませてそこで丁寧に語っての120分でも良かったような。

ただ結末の部分に関しては、いかにも70年代の映画らしいアメリカン・ニューシネマっぽいほろ苦さが漂っていて、そこの後味だけでもニューシネマ好きとしては結構たまらないものがありましたね。

そこに至るフリの部分でもう少し丁寧さがあれば…かなり好きな映画になったかもしれないなぁという印象。惜しい。

ただ好きか嫌いかで言えば結構好きな映画でした。雰囲気のおかげかな。

やっぱり70年代は70年代で他にない後味がある気がするので、この時期の映画もまたたまらないわけですよ。

ネタバレの男

結局主人公はイギリスの(優秀な)スパイだった、というお話っぽいんですが、それを明言するのって終盤ジョセフがマルタの警視総監(?)に言うところぐらいなんですよね。

ただあれって「脱獄した犯罪者がそう悟られないように嘘をついた」ようにも見えるし、それが事実かどうかというのはなかなか判断しかねるのが微妙だな、と思ったわけで。

んでそこに説得力をもたせるのが、マッキントッシュと黒幕が直接会話するシーンだったんですよね。「あの問題が片付くよ」的な。

あそこでマッキントッシュの手引きでジョセフが潜入捜査してるんだな、と気付ければ大枠が見えてくるんですが、ただそう気付かせるにはこれまたなかなか含みが強いセリフなだけに、結構この手の映画に慣れていないと難しいような気もします。

僕は「おそらくそういう話なんだろうな」とは思いましたが、しかし確証と思える情報はほぼなく、ただなんとなくジョセフの手口(トイレ入ってるフリして襲うとか)から「こいつ絶対ただの泥棒じゃねぇだろ」みたいな推理ありきだったので、彼の素性に関してはもう少しわかりやすく提示しても良かったんじゃないのかなと思います。そこを隠す意味ってあんまりないだろうし。

このシーンがイイ!

やっぱりラストでしょうか。詳細は書きませんが。ライティングもすごく良かったと思います。

あとちょっとしたカーチェイスのシーンはなかなか他に見ないような珍しいカーチェイスだったので、そこも良かったですね。

オンボロトラックとベンツが一本道の悪路でカーチェイス、っていう。

ココが○

非常にハードでボイルドな映画なんですが、この雰囲気自体今の時代なかなか出てこない感じがして、それだけでたまらんぞと。

ココが×

説明不足以外で言えば、割とアクションというか…ちょっとした肉弾戦があるんですがことごとくチープなんですよね。若干コメディ感を感じるぐらいに微妙で。

あそこはもうちょっとキレよく見せて欲しかったなぁ。

MVA

はっきり言ってポール・ニューマン一択で良いとは思うんですよ。やっぱりかっこいいし。

ただやたら印象に残ったこちらの方にしたいと思います。

ドミニク・サンダ(スミス夫人)

マッキントッシュの秘書的な存在で、ヒロイン。

演技としてはそこまでうまいな〜と言う感じでもなかったんですが、ただキリッとした美人っぷりとやや悲劇的な雰囲気を漂わせているところがすごく印象的でした。

ちょっとジュリア・ロバーツっぽいけど彼女よりも美人だと思います。

日本でも人気だったらしいんですがそれも納得の佇まいでしたね。

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