映画レビュー0910 『トリプル・フロンティア』

今回は特に配信終了もなく、オススメされていたこともあって久しぶりにネトフリオリジナル映画を観ることにしました。

ちなみに本当にどうでもいい話なんですが、PS5の噂が出回り始めた最近になってようやくPS4を購入、今回からPS4で鑑賞です。何も変わらないけど。

トリプル・フロンティア

Triple Frontier
監督

J・C・チャンダー

脚本

マーク・ボール
J・C・チャンダー

原案

マーク・ボール

出演
音楽

ディザスターピース

公開

2019年3月13日 各国

上映時間

125分

製作国

アメリカ

視聴環境

Netflix(PS4・TV)

トリプル・フロンティア

既視感のある展開や予想を少し裏切りつつ進む、なかなかの深み。

8.5
長年追っていた“麻薬王”の本拠地が判明、莫大なタンス預金を強奪しようと企む退役軍人たち
  • 正義のようでいて正義でない、結局は私腹を肥やそうとする男たちの犯罪ドラマ
  • 実行する計画もその後の展開も、善人過ぎないリアリティが今っぽい
  • 過去の映画とダブるありがちな内容ながら、観客の予想をかわしつつ進む巧みさ
  • エンディングは単純なようで実は…?

あらすじ

「過去の仲間を集めて現金強奪」って話なので、「おっ、オーシャンズ的な!?」と色めき立ちましたが全然そんな軽い雰囲気ではない、結構シリアスな犯罪ドラマでしたよと。

まーここ最近の流行りというか流れというか、やっぱり「被害者と加害者で善悪が綺麗に分かれてスッキリ」みたいなお話ではなくて、やはり主人公側もそれなりに人間臭い“悪さ”が垣間見える、よりリアル志向な映画なのかなと思います。

主人公はオスカー・アイザック演じるポープ。彼は退役軍人で傭兵として生活しているようですが、なかなかの凄腕として活躍していますよ的なエピソードがオープニングで描かれます。

「オーシャンズ」っぽいなと思ったから、ってわけでもないですが、最近のオスカー・アイザックはどことなくジョージ・クルーニーっぽいイケオジ感が漂ってきてますね。なかなかいい顔になってきたなと。

で、彼はずっと南米で傭兵兼軍事コンサル的な仕事をしていて、その最大の敵とも言える存在が麻薬カルテルを率いるロレアさんでございます。

彼は「銀行も信用しておらず、自宅が金庫だ」という御仁でして、稼いだ現金をすべてタンス預金しているよと。ただそこは麻薬王、当然ながらタンスに入るレベルじゃないほどの大金なわけですが。

彼はそのロレアの組織で経理を担当する女性(演じるのはアドリア・アルホナ。初めて観たけど美人!)と内通していて、彼女からロレアの自宅の位置を聞き出すことに成功、「いよいよ長年追ってきたやつの首根っこを押さえる時が来た」とある計画を立てます。

その計画のために集められたのが、彼とかつて軍でともに働いていた退役軍人4人。それぞれ作戦立案のエキスパートだったりヘリ操縦のエキスパートだったり、ポープが心から信頼を寄せる親友たちなんですが、あまり乗り気ではない彼らを「偵察だけの楽な任務だから」と連れ出し、現地で「金も奪おうぜ」と真の計画を提示、今さらウダウダ言ったって始まらないぜってことであーだこーだ言いつつ最終的には各人も賛成し、ロレアの家族がいなくなったスキを狙って潜入を試みるわけですが…あとはご覧くださいませ。

予想しやすい方に行かないのが良い

まあ成否のほどはショナイにしておきますが、実はこの「麻薬王の現金強奪作戦」自体は割と早々に終了します。本編はその後の方で、そこでまあ…想像できると思いますが、いろんなトラブルやら人間関係やらが顔を出し、その都度どういった選択を取るのか、果たして彼らは無事帰ることができるのか…というようなお話でございます。

大金絡みのいざこざとなると、僕の場合は「黄金」とか「シンプル・プラン」辺りが思い浮かぶんですが、その辺の「どうしても頭に浮かぶ過去の映画」の展開をいい感じに避けてくれてですね、観る前の「どうせこうなるんでしょ」というような安易な予想をかわしてくれる内容なのがまず良かったですね。

トラブルの予兆はところどころで描かれるんですが、そのどれもがそのまま「はいやっぱりアレのせいでこうなりましたー」的にわかりやすい方に転がらないしなやかさがあって、そこが僕は好きでした。

が、裏を返せばその分いまひとつ盛り上がりに欠ける面はあるかもしれません。「絶対これピンチだろ…!」的なフリもあっさり切り抜けたりするし、ある意味(脚本的な意味での)詰めの甘さのようなものもあるのは事実でしょう。

ただピンチがなさすぎたらやっぱり面白くないし、かと言ってピンチがそのまま致命傷になっちゃうのもひねりがないしで、過去にいろいろ作られたが故の工夫というか、少し変わった景色を見せようとする意欲は良かったように思います。

最後の展開は意見が割れているご様子

この映画は割と素直に観てると「まあそうだよね」とありがち展開にも見えるし、最後は最後で「ちょっとそれなー」と言いたいことが出てきちゃうような映画だと思うんですが、ただそこの意味をしっかり考えていくと…なかなか味わい深い話じゃないかなーと思うんですよね。その辺ここで書いちゃうとモロネタバレになっちゃうので書けないんですが。

最後の展開については、たまたまだとは思いますが僕が読んだ感想では否定的なご意見が多いような気はしました。いわゆるガッカリエンド的な。

でも僕はそこが逆に良いなと思ったんですよね。そこがすごい人間臭くて。で、その辺細かいことは書けないわけですが。ネタバレ項に譲ります。

そこが気に入らない、っていうのもよーくわかるんですが、この辺は映画に求めるものとかそこまでこの映画を観てきた印象に左右されるような気もするし、どっちが正解とも言えないような微妙な問題なんじゃないかなぁといい加減な感想を叩きつけておきましょう。要は好き嫌いの範疇なのかもしれません。

ネトフリオリジナルすげぇ

そんなわけでやや盛り上がりに欠ける面はあるかもしれませんが、逆に盛り上げようとしすぎてただのアクション映画になっちゃうようじゃガッカリだし、この映画はこれでよかったんだろうと思います。

僕としては普遍的なテーマかつどこかで観たような内容でありながら、ちょっと変わった印象が残る面白い映画だと思いました。

とりあえず言えることとしては、もう完全に「ネトフリオリジナルってちゃんと映画してんの?」みたいな疑いはまったく意味がない、本当に普通に劇場上映しててもおかしくないレベルの良く出来た映画になってるね、という点でしょうか。

キャストも普通に一線級の人たちだし、こりゃー今後もしばらくネトフリやめらんねーなーという思いを新たにしましたよ。あたしゃー。

ネタバレ・フロンティア

まずエンディングについて。

僕が見た中では「自分の取り分をもわらず遺族へ渡すように口火を切ったウィリアム(アイアンヘッド)が、最後に大金を隠した座標を見せたのにはガッカリ」ってご意見が多かったんですが、僕はそこが「なるほどやるねぇ〜!」ってたまらなかったんですよね。

あの時点でその“保険”があるのは彼だけで、つまり彼が口火を切らなければそのままみんなでざっくり100万ドル程度お持ち帰りでおしまいだったわけじゃないですか。

きっとウィリアム以外の4人は、「仕方なく」トムの家族に回したと思うんですよ。ここで自分だけもらうわけにはいかないし、ウィリアムがそう言うんじゃもらうのもかっこ悪いじゃんっていう。

男ってこういうところで変にプライドが高いので、半分開き直って「もういいよ、あんな大金を得たのにたったこれだけ(それでも1億円ぐらいありますが)もらってもしょうがない」って半ば投げやりにサインしたような面もあったと思うんですよね。

ところがそこで一計を案じたのがウィリアムなわけで、もっともらうことができるであろう保証=座標があるだけに、せめて今持ち帰れた分はトムの家族に残してあげようぜ、ってそれはそれですごく男気溢れる判断じゃないですか。

はっきり言って黙ってもらっちゃっても誰に文句を言われるわけでもない状況で、それでもトムの家族に残すように仕向けた彼はなんだかんだ言って偉いと思うんだよなー。

もう一点、あの最後に「実は座標控えてありまっせ」がいいなと思ったのは、あのまま終わってたらすーごい陳腐なアメリカ的キレイゴト価値観で“ただのいい話エンド”になってたと思うんですよ。

みんな頑張ったけど、結局一人死んで彼のためにお金残して徒労感だけもらって帰る、みたいな。いやそういう話もいいけどさ、そんな綺麗事もういいよって思いながら観ていたので、そこでもう一回「ただの綺麗事エンドじゃないよ」と用意してくれてたのが映画的な意味ですごく好きでした。

多分実話だったら「えー」って言うのもわかるんですが、創作だし映画だし、使い古された「金と欲と仲間」の話だし、最後にもう一段用意して「ちゃっかりしてました」っていう終わり方の方が、僕はニンマリとして好きだなと。だからこのエンディングは評価したいと思います。

他の部分としては、裏切るかもと思わせといて裏切らない真面目ガール・イヴァンナに始まり、ありきたりに「どうせ仲違いするんでしょ」と思って観てたけど喧嘩はしてもしっかり仲直りして結局最後まで仲違いはなかった点とか、「どうせ大半死んで帰ってくるのは主人公だけでしょ」と思ってたら死んだのは一人だけとか、しかもその死んだのが準主役のベンアフだったとか、その辺しっかりと予想を裏切ってくれた点が良かったですね。

またベンアフが死んだのもちゃんとエンディングにつながる意味があるものだったし、「ベンアフなのに割と早めに死んだよ!?」みたいな意外性もあったしで、その辺細々といい線ついてきてくれてたと感じたのもまた嬉しかった点でした。

開幕は「視察だけで大金がもらえる」と思っていた彼らも、途中で2億ドルもの大金をゲットしたせいで最終的には“最初に大金だと思っていた以上の額”でもいらねーよ、となったのはなかなか興味深い良い価値観の表現だと思います。確か視察でもらえる額って10万ドルぐらいだったような気がするんですが、100万ドルだったとしても「いらねーよ」ってことで「お金はその時によって価値が変わる」ことをまざまざと感じさせてくれましたね…。

途中、大金をゲットしつつも欲張りすぎたせいでヘリが墜落し、“状況によってお金なんて何の価値も無くなる”ことを思い知らせるかのように歩いての逃走を余儀なくされる展開も良かったと思います。その意味を込めた焚き火のシーンの皮肉さったらないですよ。あれだけ欲しかったお金なのに。

僕はねぇ、この映画を観て、万が一こういう「大金がゲットできるけど欲張りすぎると危険」な状況に直面したとき、自分がどういう行動を取るのかずっと考えてましたよ。

昔友達に「石橋を叩いて渡らない人間」と言われたぐらいなので、間違いなく「持って帰れなかったら意味無いからね!?」とヘリに積みすぎないように提案すると思うんですが、おそらく他のメンバーはこの映画のように「金を捨てて行くのか!?」って欲張っちゃうと思うんですよ。

果たしてそのときに周りを説得できるのか…ちょっと考えちゃいましたね。「トリプル・フロンティア観ただろ!?」って言って相手が観てくれていればやりやすいんですけど。

そもそも強奪の時点であんなに粘らないだろうな…とか。人間欲張り過ぎは危険ですよ、ホント。

このシーンがイイ!

ガッカリした人も多いようですが、僕はやっぱりエンディングですね。「ほほー」ってなりましたよ。

詳しい話はネタバレ項に書いたので、観た人はどうぞ。

ココが○

使い古されたテーマなだけに、そこをきちんと踏まえて予想通りにいかないように作られている脚本だと思います。

ベタなテーマだけど内容はベタになりすぎないようにした、そこが一番良い点でしょう。

ココが×

ちょっと中だるみはするし、上に書いた通り中盤以降は緊張感も無くなってくるので少し退屈な面はあると思います。

あとは最後が好きかどうか、でしょうね。

MVA

ずっと「チャニング・テイタムなんかキリッとかっこよくなったねぇ」と思ってたらチャーリー・ハナムだった、っていう節穴っぷりをさらけ出しつつですね、今回はこの人かなー。

オスカー・アイザック(サンティアゴ・“ポープ”・ガルシア役)

まあ結局主人公なんですけど。

この人そんなに好きでは無いタイプなんですが、今回やたらいい感じにイケオジ感漂いだしたなーと。年下だけど。ふざけんなよ。

その上リーダーらしい善良さも垣間見えつつ、弱さも見える役どころがなかなかお似合いでした。とても良かったです。

ベンアフも優秀なんだろうけど人間的な弱さがある部分が彼らしくて良かったですね。「超優秀」は似合わないけど「優秀だけど脆い」人間は途端に似合うという。

あとはやっぱり“スパイ”イヴァンナを演じたアドリア・アルホナ。美人だし健気だしかっこいいしでなかなかいい人発見したなと言う気がしました。良かったで!

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