映画レビュー0466 『マイレージ、マイライフ』

いい加減いよいよレコーダーのHDDもいっぱいになってきまして、今までは順番に観るようにしてたんですが一向に進まないため「これは観たいな」というやつを率先して観るようにしました。(そうするとそれ以外を一生観なくなりそうでやってなかったんですが)

というどうでもいい内情から導かれた映画、第一弾。

マイレージ、マイライフ

Up in the Air
監督
脚本
ジェイソン・ライトマン
シェルドン・ターナー
音楽
公開
2009年12月4日 アメリカ
上映時間
109分
製作国
アメリカ

マイレージ、マイライフ

“解雇宣告人”として1年の大半を出張に費やし、全米を飛び回る男、ライアン・ビンガム。独身主義を貫き、肉親とも距離を置いて気楽な人生を送る彼の目標は、マイレージを1000万マイル貯めること。ある日、新入社員のナタリーが経費削減のための「ビデオチャット解雇通告」の導入を進言、猛反対するライアンに、上司のクレイグはナタリーの教育係として彼女を連れて解雇宣告の出張に行くように指示する。

さすがのリアル・ほろ苦映画。

9.0

好きな監督さんは数多くいますが、気付けば個人的期待ランクではクリストファー・ノーランダンカン・ジョーンズの次ぐらいに来るほど、かなり好きな監督さんとなったジェイソン・ライトマンの代表作。「ヤング≒アダルト」ではいかにもな痛い女性をリアルに描いてくれましたが、この映画もちょっと変わった主人公をリアルに描き、またも生々しいほろ苦さを味あわせてくれる、ジェイソン・ライトマンらしい独特の味を持った名作と言っていいでしょう。ものすごく良かったです。

結構さっぱりとしたラストではあるものの、色々自分に置き換えて考えてしまったせいかじんわりウルウルと来てしまったという。これまたなかなかの涙腺の弱さを久しぶりに発揮しました。

独身主義で今の生活に満足しているどころか誇りすらあるように見える主人公が、旅先で出会った一人の女性と大人の関係を持ち、それが徐々に心の中でくすぶり始め、少しずつ変わっていく成長物語…ではあるんですが、さすがに主人公も結構な歳だけあってそれだけで終わらず、そこに人生のほろ苦さが存分にブレンドされ、「映画らしい話でヨカッタネー」なんて言わせない、あまりにもリアルで媚びないイマドキ映画。

ある意味“敵”でもある新入社員・ナタリーの人間臭さや、後半に向けて仕込まれる妹の結婚式と肉親の存在、そういった諸々の要素を混ぜ込んで「そろそろ俺も変わる時か…」と変化の兆しの先に待つ人生とは…! 目が離せません。

ジェイソン・ライトマンらしいテンポの良さと劇伴の使い方、ジョージ・クルーニーらしい軽さと人間味のある演技、ヴェラ・ファーミガの完璧な“大人の女性”っぷり、アナ・ケンドリックの鼻につく新人っぷり、全部パーフェクトで、一見軽い映画ではあるんですがそのデキたるや相当なレベルの高さがありました。

ただ正直なところ、きっちりすっぱりバシッと終わる「納得のエンディング」というわけではないので、人によっては評価が分かれそうだなぁという気はしました。多分、向いていない人はとことん向いていない、「は?」で感想が終わるような映画でもあると思います。

が、金こそ無いものの「気楽な独り身」という立ち位置に他人事ならぬ身につまされ感を覚えつつの鑑賞となったこの映画、同じく“軽く観られる名作”と言っていい「ヤング≒アダルト」に比べるとより自分に身近なテーマだっただけに、こちらの方がいろいろ思わされることもあり、なんとも複雑な気持ちにもなった、心に近い映画でした。

同じ男として、男のある意味で子供っぽい純粋さに切なくなりながら、果たして自分はこんな風に心に火が灯る時が来るんだろうか…と考えつつ、自分の人生を省みたり、この先に不安を感じたり。軽くちょっとコメディタッチですらある映画ですが、受け取って考えることは山ほどありました。深いです。

実は「大人の恋愛で変わる男」程度の単純な恋愛映画なのかなーと思ってたので、かなり嬉しい誤算でした。それなりの年齢の、特に男性にオススメ。

このシーンがイイ!

良いシーンもたーくさんありましたが、さりげないながらグッと来たのは、姉さんの「ウェルカムホーム」というセリフ。あの一連のシーンはいろいろ良かった。

あとは地味ながらJ・K・シモンズが活躍する、解雇宣告のシーン。単純にライアンが先輩としてのスキルを見せつけるだけのシーンでしたが、J・K・シモンズが好きっていうこともあって印象に残りましたねぇ。

ココが○

やっぱりこういう一般人を主役にした映画を作らせたら本当に抜群にウマイです。ジェイソン・ライトマン監督。

あとは劇伴もこの監督の映画らしい使い方があってよかったし、キャスティングもパーフェクト。ちょい役のくせにやたら印象に残る、お馴染みザック・ガリフィアナキスも出てきます。

あとちょいネタバレ気味な話になりますが、新入社員と主人公が出張に行く時、「この二人がくっついて三角関係的にならないかな…」と嫌な予感がしたんですが、そういうベタながっかりモードは搭載されていませんでした。その辺のがっかり予想のかわし方もうまい。

ココが×

個人的にはゼロ。もっときっちりとエンディングを迎えて欲しい…気もしないでもないですが、この映画はこれでいいな、って納得できるし、いろいろ想像できる部分があるからこれはこれで良かった気がします。

ただ、上に書いたとおり、人によってはまったくピンと来ない可能性もあるし、「すげーつまんなかった」と言われても納得できる面もあります。なので、人を選ぶかも、というのは書いておきます。

MVA

もう中盤ぐらいから「いやーこれは誰にしよう」って悩みに悩むぐらい、主演の3人がそれぞれパーフェクトでした。

1・主人公ジョージ・クルーニー。

この人は良くも悪くも相変わらず、軽さと包容力が素晴らしく、さすがの安定感。声が良いのがね。やっぱり良いよねと。

2・ジョージ・クルーニーのお相手役、ヴェラ・ファーミガ。

割り切り関係に理解のある大人の女性。この人も完璧。ややスレつつも綺麗で、大人の落ち着きも感じさせる佇まい、ハマり役としか言い様がない感じ。

3・新入社員役のアナ・ケンドリック。

前半はこの子が全部持って行ってたと言っても過言ではない、フレッシュさといかにも若い子にありがちな現場を知らない自信過剰ぶり。同時にワンワン泣き崩れる(けどシリアスじゃない)感じもすごくお上手。

ということで悩みに悩んだ結果、この方に。

ヴェラ・ファーミガ(アレックス・ゴーラン役)

美人すぎないけど綺麗で、賢さも漂わせる大人女子、すごくいい。

そして本当のところは見せないミステリアスさ。パーフェクトな配役だと思います。文句なし。

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