映画レビュー0517 『めまい』
今回も古い作品、もう60年近く前の映画ですか。合わない合わないと言いつつも懲りずにまたヒッチコックの映画です。これまた言わずと知れた名作ですね。
はてさて、今回はどうなのか…。今回もまた正直にレビューしましょう。
僕の映画観察眼のレベルは低いですが、クソみたいに宣伝臭い、なんでも褒めるだけの映画ブロガーよりはまともだと自負しておりますなんプロです。
めまい
二転三転に緊迫のラストシーン、なるほどこれは文句なしの名作。
過去のレビューを観ていただければわかる通り、僕はどうもヒッチコックの映画ってそんなに好きじゃないんですよね。サスペンス好きって言ってるくせにサスペンスの神様の映画はダメ、っていうアマちゃんなわけです。
「サイコ」は結構面白かった記憶がありますが、それ以外はいわゆる名作と言われている「裏窓」も「北北西に進路を取れ」もイマイチという感じで、映画ファン的に大変肩身の狭い思いをしていたわけですが、今回は本当に文句なしに面白かったです。
いつも気になる合成のアラもほとんどなかったし、最後まで「これどういうオチなのかな~」と気になる展開にはグイグイ引きこまれました。これねー、60年前にこの映画を作った、っていうのはとんでもないと思います。スゴイ。こりゃ確かに名作です。
「故人に憑かれた妻の調査」を依頼され、「そんなのバレないわけないだろ」的な拙い尾行も大目に見つつ、はてさて最終的にどんな物語になるのか、という映画。
もしやオカルトか…!? とかそんな話あり得ないだろ~とか突っ込みたいところも我慢して観ていたんですが、最終的には割としっかりきっちり納得できるお話に仕上がっていて大満足。
そんなに詳しいわけではないですが、(印象としては)ヒッチコック映画としては珍しく「愛」が大きな軸になっているのも結構新鮮で、それ故のストーリー展開も味があったな、と。
ただ単なる純愛物語というわけでもないし、不安と哀しさが存分に感じられつつ中身はしっかりサスペンスしている、という濃厚ストーリーが素晴らしい。
何度も書いているように、割とヒッチコックの映画は「名作」と言われているが故に後世の映画にマネをされる部分が多く、そのせいで(結果的に後から観てしまい)既視感を感じる、という今の時代の映画ファンから見るとなんとも酷なジレンマを抱えているように思うんですが、この映画はそういう既視感もなくとても新鮮に観られたのも良かったです。しかしヒッチコックご本人にとっては「失敗作」だったそうで、なんとも難しいもんですね。
ですが本当に今の時代から観ても文句なしに名作だと思えるので、「これからヒッチコックを観てみたい!」という方もぜひ一度観てみてはいかがでしょうか。
個人的にこれだけ古い映画でこの評価は相当です。その辺よく含み置き頂きたいぜ、というところ。
このシーンがイイ!
これはもうラストの10分ぐらいでしょう。緊張感がすごかった。
ココが○
「まあ古い映画だしこの辺は大目に見るか…」的に思っていた内容がしっかり後から回収される納得の展開、というのはさすがサスペンスの神様だな、と。何のことかサッパリでしょうが、きっとそう思う人、多いと思います。
ココが×
序盤は結構だらけ気味で「今だったらもっとテンポよく作って欲しいところだな~」という印象を持つ面があったのと、一点だけ、ジェームズ・ステュアートの生首合成シーンがあったんですが、あれはちょっと申し訳ないけど笑ってしまいまして。まあ、ご愛嬌ってところですが。
MVA
メイクのせいもあるんでしょうが、ヒロインのキム・ノヴァクが今観るとイマイチかわいくないのが残念。どちらかと言うとジョンの友人のミッジの方が、見た目どうこうより愛嬌があってよかったな、と思いますが、とは言えやっぱりこの映画はこの御方かな、と。
ジェームズ・ステュワート(ジョン・ファーガソン役)
ご存知“アメリカの良心”。
まあいつも通りだな(好きだけど)…と思って観てましたが、後半の演技は今まで観たことのない印象のもので、これがまたこの映画の良さを引き上げてくれた気がします。さすが偉大なる大スター。