映画レビュー0108 『ア・フュー・グッドメン』
「スタンド・バイ・ミー」観賞後、同じ監督の別の作品を探した結果、たどり着いたのがコチラ。
ア・フュー・グッドメン
キャスティングと脚本が光る、法廷劇の名作!
監督目当てで借りたので、キャスティングは全然見てなかったんですが、これがなかなか今観ると非常に豪華キャスト。
主人公の弁護人はトム・クルーズ。いつもの「トム様一人無双」は鳴りを潜め、経験不足の弁護人役を熱演。
お仲間にデミ・ムーア。もう一人のお仲間に味のあるケヴィン・ポラック、検事役はケヴィン・ベーコン、軍人役にキーファー・サザーランド&ジャック・ニコルソン。
さらにオマケで「いつも役的にはエライ人なんだけどちょっとしか出てこない」のでおなじみのザンダー・バークレーとそうそうたる面々。
「とりあえず今旬だし使っとくか」的なデミ・ムーアだけイマイチパッとしなかった気がしますが、その他の人々はそれぞれがそれぞれの役をしっかり演じていて、見応えありましたね。被疑者の二人も、青臭い下級兵士っぽいまなざしがそれっぽくてよかった。
さて、本編。
事前情報無しで観たため、最初はもっと軍内部のしがらみ話が主体なのかと思ってたんですが、実は法廷サスペンスとも言うべき内容。
もちろん、「軍だからこそ」のいろいろが話の上で重要な要素になってくるんですが、全体のテイストとしてはいわゆる法廷モノの範疇でしょう。
当然ながら法廷モノというのはセットも決まり切っているので、脚本と演出、そして演技の質がすべてです。その辺、この映画はどれもよくできていたので、その分グイグイ引き込まれる魅力がありました。
特筆すべきは、ジャック・ニコルソン。
グアンタナモ海軍基地の司令官であり、軍上層部の超ハイクラス将校といった役柄ですが、その存在感や男臭さ、高慢な雰囲気がまさにピッタリ。
「証人として法廷に呼ぶのもおこがましい」彼が法廷にやってきた時、「トップガン」で一気にスターとなったトム・クルーズを一瞥しながら、「俺はまだまだ役者としてお前なんかには負けねぇぜ」という威圧感を振りまいているような、現実と創作が入り交じった雰囲気に圧倒されました。あのキャスティング、そして演技は本当に見事。
そこに検事として一歩引いた立場でいるのがケヴィン・ベーコンというのも、「俺は個性派だから関係ないしー」とちょっとポジションが違いまっせ感があってまた面白かった。
のかどうかはわかりませんが。話自体も、主人公側…つまり被疑者の方が終始劣勢で、どうそれを挽回するのか、という話なわけですが、一気に興醒めするような「新証拠を発見しました!」みたいなこともなく、法廷モノのお手本のような心理戦を演技力で巧みに見せているので、本当に飽きずにじっくり観られます。
あんまりトム・クルーズにこういうイメージは無かったんですが、硬軟織り交ぜて陪審員を納得させていく演技もなかなか。そこに(役柄上)経験不足の青臭さも隠し味で加えられていて、人間模様や性格が透けて見える内容に大満足。
久々に良いサスペンスを観たなーと満腹感がありました。
オススメ!
このシーンがイイ!
上にも書きましたが、ジャック・ニコルソンが法廷に入ってきて、トム・クルーズを一瞥するシーン。 僕ならチビってましたね。あの眼力。
ココが○
法廷モノではありますが、トリックがどうだとか真犯人は誰だとか、そういう部分が主眼では無く、また事実も最初からオープンになっている割に「どうなるんだろう」と惹き付ける脚本は素晴らしいの一言。
ココが×
どうでもいいことなんですが、「野球大好き」な役柄のトム・クルーズのバッティングフォームがどう見ても野球やってる感じじゃない。
MVA
最初は相方のケヴィン・ポラックにしようかなぁと思ってました。コメディアン出身らしいんですが、“らしい”味わいがあって、優しいまなざしとか非常に自分好みの役者さんだなーと思って観てました。
が、やっぱり途中でこの人が全部さらって行きましたね…。
ジャック・ニコルソン(ネイサン・R・ジェセップ大佐役)
そんなに好きだー! ってわけでもないんですが、どう考えてもこの人抜きには語れない映画でした。こういう役、似合いすぎる。
「うまい」というより「恐ろしい」。かなりキてましたね。