映画レビュー0220 『ブラック・スワン』

さて、「これ観たかったんだよ」シリーズ第1弾。正直なところ、かなりハードルが上がった状態でしたが、さて…。

ブラック・スワン

Black Swan
監督
ダーレン・アロノフスキー
脚本
マーク・ヘイマン
アンドレス・ハインツ
ジョン・J・マクローリン
原案
アンドレス・ハインツ
音楽
公開
2010年12月3日 アメリカ
上映時間
108分
製作国
アメリカ

ブラック・スワン

念願のプリマに選ばれたニナだが、プレッシャーと周りの嫉妬、自分の成長への渇望から、次第に精神を病んでいく。

よくできてるけど言いたいことがある。

5.5

さすがにこれだけ話題になっていたこともあって、ナタリー・ポートマンをはじめとした役者陣の熱演と、「これはホラーだ」と言われるほどの展開、「プレッシャー」「嫉妬」の持つ怖さは存分と感じました。なるほどよくできてます。

確かにこれは完全に「映画」だし、テレビじゃできない世界でしょう。しっかり作っているとも思います。

「一流バレエ団のプリマのプレッシャー、そして周りの嫉妬はこれだけすごい」

ああなるほど、確かにそうなんだろうなぁ、と思いましたよ。実際。ベテランプリマが精神を病んでいる姿も、「成れの果て」のようですごくわかる。実際これだけ血を血で洗うような壮絶な闘いがあるんでしょう。それもわかる。

が、ちょっと過激なことを書きますよ。個人的な感想。

簡単に言えば、「ちょっとやりすぎ」。いや、やりすぎなのはいいんです。表現として。ただ、「本番の日」を観ていくにつれ、一つの思いを強くしました。

これは…(映画を観る)観客がバカになりすぎてるんじゃないのか? と。

主役のプリマ・ニナはすごく真面目な女性で、だからこそプレッシャーその他モロモロで精神を壊していく話なんですが、その精神性を表現する演出やシーンが結構刺激的に作られていて、それが「ホラーだ」と言わしめるこの映画の個性だったり、「よくできてる」と思わせる力強さだったりするんだと思いますが、はっきり言って「そこまでご丁寧に見せなくてもいいんじゃないの」と思ったわけです。僕は。

夢オチかよ、というような流れは、正直最後の方ではウンザリしてくるような気もしましたが、それは「夢オチかよ」だからではなく、「もっと想像させるように作れよ」という意味で。

僕を含めた世の中の「映画を観る人たち」が刺激慣れしすぎてて、これぐらい見せてくれないと脳に刺さって行かないという前提があって、それ故こういう映画になったのかな、という気がしたんですよねぇ。

ただ、例えば最近はゲームなんかでも思うことなんですが、それってちょっと「丁寧過ぎる」んですよね。なんでも「しっかり説明しないとお前らわからないだろ?」って感じがするんです。

特に日本人なんかは、歴史的にも「言わなくてもわかる」みたいな精神性があると思うんですが、そういうところが一切無いんですよね。

「全部映像化しました」「すごいでしょう、怖いでしょう、過激でしょう」

そういうメッセージが匂いすぎて、それに気付いた時点でどんどん醒めていく自分がいました。これはきっと僕が持つ個人的な地雷なんだと思います。制作者側の意図が見え過ぎると、醒めちゃうんですよね。

ただ、この映画は本当によくできていると思っただけに、その「意図」が、実は「今の客はこれぐらいやらないとわかんないでしょ」っていう、“お客バカ化”の弊害なのかな、という気がしたんですよね。

まあバカにされてるとまでは言いませんが、もっと「ここから想像してね」という作りのほうが、いろんな解釈もできるし、作り方によっては“より怖く”できたと思います。

直球で表現しすぎたせいで、安易な方に逃げているとも取れるし、大衆を相手にする以上、その方が「割がいい」と判断したのかもしれません。それはそれで間違いではないでしょう。

ただ、「後はあなたの脳内で補完してね」というのがうまい映画は、やっぱり後味も壮絶だし、圧倒されると思うんですが、なんか最近の傾向として「過激な映像を観せておけばお前たちはすごいと思うでしょ」みたいな単純化された演出が気になるんですよね。

この辺は「ドラゴン・タトゥーの女」でもちょっと思ったんですが。タブー化されたようなエロだとかグロだとかを直球で見せれば「すごい!」ってそりゃちょっと貧相すぎるでしょう、と。

そういう問題が今の観る側にあって、それに合わせて作られた映画だったのかな、という思いが強かったです。

題材も面白いし、もっと“含みをもたせた”ような作りだったら衝撃の一作なり得た気がするので、その辺がすごく残念。個人の好みの問題ではあるんですけどね…。

そんなわけで、映画としては8.0、好みとしては3.0で、間を取って5.5。

このシーンがイイ!

このシーンがいいな、っていうのは別に無かったかなぁ…。

ココが○

煽りすぎな感もありますが、まー不安を煽る音楽は良かったですね。この映画の「怖さ」をかなり助長してくれてます。

調べてみたら“あの”「月に囚われた男」でおなじみのクリント・マンセルだそうで。さすがやりよるぜクリント・マンセル。

ココが×

上に大体書いたので…。もうちょっと客を信じて欲しいなぁ。

あ、あともう一つ。そもそもが「ブラック・スワン」ってそれ自体結構ネタバレじゃね? という気が。まあ原題がそうなので、それは別に気にすることではないんでしょう。

MVA

いやー、役者陣は良かったですね~。

ヴァンサン・カッセルはあんまり好きじゃないんですが、この役はすごく合ってたし良かった。

ライバル役のミラ・クニスもすごくそれっぽくてよかったし。でもまあ、ご贔屓ということもあり。

ナタリー・ポートマン(ニナ・セイヤーズ役)

結構ありがたいシーンもありましたが、まあそれは置いといて。

まさに体当たりの演技。でも実際、可憐で真面目なバレリーナが変わっていく、その役を演じる人として、この人ほど似合ってる人はいないかもしれないなと思います。不安げな表情がスバラシイ。

ただ、胸はぺったんこでしたね。あの「マイティ・ソー」の時のナイスおっぱい(っぽく見えるTシャツ姿)はなんだったんだろう…。騙された!

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