映画レビュー0337 『未来世紀ブラジル』

本日クリスマスイブということで、まあいちいち書くまでもないんですが、犬の散歩以外は一歩も外に出ないぞ、と。何がクリスマスじゃい、と。

で、今日この映画を観たわけですが、設定がクリスマスだったので即アップしてみました。ただ内容的には別にクリスマスはどうでもいいほど関係ないんですが。

それと若干書き溜めてあるレビューが残っているので、年末に向けてちょこちょこアップしますよ、っと予告です。

未来世紀ブラジル

Brazil
監督
脚本
出演
マイケル・ペイリン
キム・グライスト
音楽
公開
1985年2月20日 フランス
上映時間
142分(20世紀フォックス版)
131分(ユニバーサル・ピクチャーズ版)
製作国
イギリス
視聴環境
TSUTAYA DISCASレンタル(ブルーレイ・TV)

未来世紀ブラジル

20世紀のどこかの国で、“情報省”のミスにより罪のない一般人が誤認逮捕されてしまう。この後始末を頼まれたサムは、ある日職場で「夢に出てくる美女」を発見、彼女を追ううちに、彼もまた追われる存在となり…。

ラストは好きだけど、見せ方がズレてる気がする。

6.5

友達に薦められて鑑賞。ちなみに僕が観たのは142分の20世紀フォックス版です。どうやらこれが「完全版」というか、監督の意図する作品だったようですが、まずは概要。

(公開当時から見て)近未来の、国家による統制が厳しい架空の国が舞台。いわゆる秘密警察的なポジションの“情報省”で働く主人公・サムは、最近頻繁に見る謎の美女の夢にうなされつつも、「出世の目がない」と言われる部署で出世を断りながらのほほんと生きています。

ある日、職場でその「夢に出てくる美女」を発見したサムは、彼女が国から追われる容疑者であることを知りますが、その彼女の情報を手に入れるためには出世する必要があることを知り、親のコネを利用してエリート集団の部署へ異動。そこから徐々に物語の歯車は動き出し、やがてサムも追われる立場となって…というお話。

割と概要を書くとシリアスな感じですが、全体的にはかなりB級感漂うテイストで、笑いも混じりつつ、なんとなく勢い任せなSF映画という感じで進んでいく印象。そもそも「こりゃー物語なんてあってないようなもんで、カルト的な雰囲気を楽しむ映画なんだな」と思ってダラダラ見てたところ、エンディングでまさかの「そっち方面の話だったのかよ!」という展開にビックリしまして。

んー、なんとも語るのが難しい映画ですが。前半は結構楽しめました。なんといっても美術(セット)が非常に印象的な映画で、方向性は違うものの、同じ近未来を描いた「ブレードランナー」と似たテイストというか、「80年代に描いた近未来」の独特な雰囲気が面白かったです。ダークで雑多な「ブレードランナー」に対して、こちらは(意図的にだと思いますが)チープでシュールな未来像、という感じ。今観ると非常に安っぽいんですが、それがまた味となっていて、これはなかなか「今でもカルトな人気がある」というのも頷けます。

そのチープな印象と相まって、コメディとまでは言いませんが序盤は少し軽めに展開するので、そういう映画なのねと観てたのになんか途中から「愛はすべて」的な急に熱の入った展開になり、最後はまったく期待していなかった方面で終了、ということで。

ご多分に漏れずネタバレナシで書くのが難しいところですが、基本的にこの話の“決着のさせ方”は好きなんです。僕は。こういう話自体、好きというか。ただ、そういう話にするなら、もうちょっと道中の描き方が違うんじゃないの、と。どんでん返しというか…観客を驚かせたかったんだろうと思いますが、個人的には逆にそのせいで「とってつけた感」を感じてしまい、一貫していないストーリー性に不満を感じた、というのが正直なところ。

んー、なんて言うんだろう…。「こういうオチにすればビックリするよな」っていう裏が見える感じというか。話は好きでも、その進め方がすごく嫌で。結果、僕はこの映画は好きじゃないぞ、と。印象には残ると思いますが。

繰り返しになりますが、描こうとしている「抑圧された世界」とか、エンディングの内容だとかはすごくいいと思うんですが、その方向に進むにはあまりにも(特に前半が)軽かったりシュールだったりして、物語そのものに、観客をグッと惹きつけるだけの引力に欠けている気がします。それこそ「ブレードランナー」みたいなシリアスな描き方をしていれば、ものすごく評価した映画になったかもしれない。「そうじゃないからいいんじゃないかバカ!」って言う人もいるのはわかるんですが、僕の個人的な好みで言えば、そうなります。

軽さの中に怖さを描いていたり、ところどころ他の映画とは違う匂いがあって、そこがよかったりもしたんですが、やっぱりなんとなく、エンディングの「意外感」で全体をコーティングしてごまかしている印象が拭えません。この内容なら、もっと重厚な映画にして欲しかった。

ただ、これまたこの映画が好きなカルトな人達からすれば、「そうなるとつまらねーんだよバカ!」っていうのもわかるので、結局は向き不向きなのかもしれません。ただ、万人受けする映画ではないでしょう。

んー、でもこれまた「ブレードランナー」は観終わった時はそこまでではなかったけど、後々振り返るとジワジワ煮込まれていくようなイメージというか、今になって思うと「アレすごかったな」って思うこともあるので、この映画も時間とともに煮込まれていくかもしれません。もう一回観てみるとまた印象が違うかもなぁ…。

現時点ではあんまり評価はしていませんが、でも他の人のレビューもちょっと読みたくなるような。不思議な映画ですね。

このシーンがイイ!

後半の「尋問場」というか、あのセットと遠くからやってくるアノ人のカットはなかなか印象的でよかったですね。

ココが○

美術面は本当に特徴的で面白かったですね。はっきりとチープなんですが、味があるんですよねぇ。いかにもB級映画っぽい感じが良かった。

ココが×

142分と結構長いこともあって、道中はかなりダレました。「夢」のシーンとか妙に長いし、もう完全に集中力を欠いちゃって。

MVA

不満点のもう一つとして、ロバート・デ・ニーロの登場シーンがまあ短い。出てくるとさすがの存在感だったんですが、ちょっと「主要キャスト」と言うにはいくらなんでも短すぎる気が。そんな中、選ぶなら…。

ジョナサン・プライス(サム・ラウリー役)

無難ですが主人公。印象的な顔つきで、演技も良かったと思います。

あとこれまた短かったですが、「サービス」のおじさんもすごい印象的でしたね。なんか存在感がスゴイというか。あの辺もまた個性的な、アクの強い映画な感じが出てた気がします。

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