映画レビュー0771 『コラテラル』
最近ちょっとサーバーが重いんですよね。来てくださる方には申し訳ないんですが…。
僕がここで契約している一番安いプランが少し前に無くなったらしくて、そのせいで露骨に最安プランの質を落としたのかなと勘ぐっちゃう感じですが…プラン上げてもいいんだけど重いままだったら嫌だしなぁ…と悩んでます。
さて、本日はBS録画より。なんかかっこいいタイトルだなぁと思っていたんですが直訳すると「巻き添え」らしいです。直訳邦題にならなくて良かったですね。
コラテラル

シブくかっこよく決めるトムクル殺し屋…と思いきやヌケヌケ野郎でストーリーは穴だらけ。
- いかにもな夜の映像をバックにマイケル・マンっぽさ全開
- ある意味では巻き込まれ型バディムービーのため一部女子大喜び
- ただ凄腕っぽい割に殺し屋がヌケヌケで詰め甘め
ということでタイトル通り、巻き込まれ系犯罪アクションサスペンス映画、ってところでしょうか。
主人公は二人、一人目はタクシー運転手のマックス。いつかリムジンを買って極上のサービスを提供する会社を興す…という夢を持った普通の男です。オープニングで検事のチャンネーを乗せてある賭けをするんですが、その賭けの経緯からも「自分の利害よりお客さんのことを考える」真っ当な人物という印象。ジェイミー・フォックスが演じていますが、彼にしては珍しく感じるほど普通の人。
二人目は殺し屋のヴィンセント。こちらはご存知トムクルさんが演じます。珍しくロマンスグレーでトムクルさんとしてはブイシーな印象。表向きは不動産業と嘘をついたものの、最初の目的地で殺した男がいきなりタクシーの上に落下するという想定外の事態に陥ってしまったため、「ああそうさ俺が殺ったんだ俺は殺し屋だバーロー」とばかりに開き直ってマックスを連れ回します。
次に向かった場所でもターゲットを殺した上に彼の荷物を奪ったヤンキー連中も即座に射殺、こりゃやべぇやつに目をつけられちまったもんだぜ…とチャンスを伺って逃げようとするマックスと、そうはさせまいと彼を連れ回しながらターゲットを仕留めていくヴィンセント、そして事件を知って彼らを追う警察という三つ巴の戦いはさてどういう結末を迎えるのか…というお話です。
舞台は夜のL.A.ということでいかにも「どうだスタイリッシュだろ」と言わんばかりのこれ見よがし感があったりしつつ、組織に雇われて5人のターゲットを仕留めようと行動する凄腕の殺し屋・ヴィンセントと、彼に振り回され逃げたくても逃げられないパンピーのマックスの二人が中心なんですが、観ようによっては一風変わったバディもののようでもあり、観ようによっては嫌がるマックスに攻め寄るヴィンセントというBL的絡みを見出すこともできなくもないという…なかなか珍しいタイプの男二人の物語かもしれません。
マックスは終始諦めずに逃げようとするし、ヴィンセントもほっときゃいいのに(まあ犯行を見られているから逃がすわけにもいかないんですが)なぜかマックスにこだわって連れ回すという…ちょっと文章で書くとなんならコメディっぽくもある関係性なんですが、至ってシリアスに展開していきます。
結論を言うと、僕が「どうせこうなるんでしょ、こういうエンディングなんでしょ」と思っていた展開とはまったく違った物語に帰結したこともあって、そういう意味では「ほおー、こういう話なのかー」と予想外な部分もあったりしたんですが、ただかと言ってすんなり受け入れられるほどしっかりした脚本と言う気もせず、いろいろモヤモヤする面はありました。
一番はやっぱり…ちょっとね、「凄腕の殺し屋」の割にトムクルさんが抜け過ぎてるのが気になりましたね。大事な資料が入ったバッグをタクシーに置きっぱなし、それが何かの伏線かはたまた罠なのか…と思いきやマジで大切なものでした的なびっくり展開を始め、プロが最も重視しているはずの「逃走」面にまったく気を遣っている素振りがないのがすごく気になって。
最初の犯行が発覚したのは(多分まだそんなに売れる前の)マーク・ラファロ演じるLAPDのファインプレーではあったんですが、その後も落ち着いた素振りを強調したいがためなのか…のんびり殺しを続けてはタクシーで人生訓を垂れるヴィンセントっていうのが…いやもうちょっと考えないと捕まるよ!? っていう。挙句の果てにマックスのお母さんのお見舞までしてますからね。「いつもと違う行動をするな」という原理はわかりますが、ただもうマックスの乗るタクシー自体が事件の俎上に乗せられちゃっているわけで、そんな悠長なことしてる暇無いでしょ、っていう。
ちらっと登場のハビエル・バルデムさんのエピソードにしても裏社会とは思えないほどかなりヌルい穴だらけの展開にちょっとこれはどうなんだと言わざるを得ません。厳しいよ。厳しい、これは。
そんなわけで物語としてはかなり残念な内容だったと思います。あくまで主眼はアクションであり、(何度も書いている通りこの表現嫌いだけど)“スタイリッシュ”な映像というところなんでしょう。それとトムクルさんの悪役ね。ただ一応悪役というくくりにはなるんでしょうが、「殺し」という事実を除けばそう悪と言い切れない面もある役なので、「トム・クルーズの悪役が見どころ!」と立ち位置をアピールするようなものでもないとも思います。ある意味で(ヌケヌケですが)ゴルゴ13的なプロフェッショナルであり、仕事として殺し屋をやっているだけなので、それを持って“悪役”と言うのは少し安直な気もする役ではありました。
いかにもマイケル・マン監督らしいハードボイルドタッチのクライムアクションとしてはまずまずの出来だとは思いますが、しかしそのハードボイルド感を話のヌケっぷりで潰しちゃうもったいなさ。主演二人の演技と存在感はすごく良かっただけに…もうちょっとなんとかならなかったんかいな、と思わざるを得ません。
このシーンがイイ!
トムクルさんの無双っぷりはやっぱりかっこいいんですよね。イーサン・ハントみたいでね。(台無し感想)
なので(物語上はかなり残念な内容ではあるんですが)コリアンバーでの無双シーンかな。
ココが○
映像は綺麗で良かったですね。いかにもマイケル・マン的な。よく知らないけど。
主演二人の掛け合いも良かったし、キャスト的には不満ありません。
ココが×
やっぱり「プロフェッショナルの一夜」という意味でヌケ過ぎてるのがどうにも解せない。だったらコメディにしてくれた方がよっぽど良かったよと。そもそもしょっぱなの「撃ったけど勝手に落ちた」的な話でもうプロとしてどうなのかなーと嫌な予感がしていたので、それがずっと続いちゃった感じがいかにも残念でした。
まあ、殺しの腕自体はすごくても、計画性の部分で二流のプロだったのかもしれないですね。ちょっといろいろひどかった。
MVA
ということでトムクルさんも良かったんですが、まあこの映画はこの人のものでしょう。
ジェイミー・フォックス(マックス役)
巻き込まれるタクシー運転手。
いつものジェイミー・フォックスのように軽かったりいかつかったりすることもなく、至って普通の常識人。意外と言ったら失礼ですが、弱気な感じもしっかりそう見える良い演技だったと思います。やっぱりこのクラスになるとそりゃーうまくやりますよねということで。さすがです。


