映画レビュー1395 『デッド寿司』
ウォチパあみだに当選したらこれを叩きつけて嫌がらせようと思っていたんですが定期開催が終わってしまったので、結局「やるから来てね」で自主開催しました。
しかし全然想定していなかったことにウォッチパーティは3月いっぱいで終了してしまい、結果これが最後のウォチパになりました。定期開催を終わらせた身とは言え寂しい限りです…。
とは言え一応Chromeの拡張で似たようなことはできるので、やろうと思えばやれます。ただやっぱり公式の使い勝手とは少し違うので、残念であることには変わりありませんね…。
デッド寿司
井口昇
井口昇
武田梨奈
松崎しげる
須賀貴匡
仁科貴
亜紗美
村田唯
ジジ・ぶぅ
島津健太郎
手塚とおる
津田寛治
福田裕彦
『Kill the virgin』
SCANDAL
2013年1月19日 日本
92分
アメリカ
Amazonプライム・ビデオ ウォッチパーティ(ウルトラワイドモニター)
日本にも世界に誇れるZ級映画、ありました。
- 父の指導に嫌気が差して寿司職人をやめた女子、寿司がウリの旅館で仲居として働く
- 旅館にやってきた企業に恨みを持つ元社員によって寿司が殺人寿司と化し阿鼻叫喚
- エログロなんでもござれの割り切り超Z級コメディホラー
- しかしバカに出来ないしっかりアクション
あらすじ
最高でしたね。もう。ザ・ウォチパ向き映画。めっちゃ笑った。
(多分)実家が回らない寿司屋のケイコ(武田梨奈)は父(ジジ・ぶぅ)の元で修行に励むも「女が顔を出してるからダメだ」的な謎の理由でダメ出しを食らい、もうやってられないと家を飛び出して田舎の寿司がウリの旅館で仲居として働き始めますが、しかし先輩仲居たちにはいじめられ、あまりうまく行っていない様子。
その旅館の外でカップルがいちゃついていたところに浮浪者(島津健太郎)がやってきて一悶着あった末、手に持ったイカを放ちカップルは死亡。なんかすごいイカでね。刺さって死亡です。
一方旅館にはいかにもクソっぽい社長(手塚とおる)率いる企業が慰安旅行にやってきて「楽しみにしていた」らしい寿司を提供されますが、ケイコは食べるマナーがなっていない企業連中にも握り方がなっていない旅館の料理長・土田(津田寛治)にもご立腹でついに怒りを爆発させてしまい、宴会場は大乱闘となります。
そこに例の浮浪者がやってきて「俺を忘れたのか…?」と社長たちの前に立ちふさがり、ついに解き放たれるイカ…! そしてそのイカのエキスだかなんだかで突如人を襲い始める寿司…! ここにデッド寿司、爆誕です。
次々と寿司に襲われ阿鼻叫喚の旅館、果たして生き残るのは誰だ…!
狙ったひどさのセンス
まあもうタイトルからしてB級感凄まじい映画なだけに、真面目に観たり語ったりするようなものではないのはハナからわかりきっていたので気楽に観ていたんですが、これが思っていた以上に「しっかりひどい」映画になっていて、井口監督作品は初めて観るんですがすげーなと感心してしまいました。ここまでやりきってくれると拍手しかありません。
いわゆる「恐竜神父」系と僕が勝手に脳内で呼んでいるんですが、「狙って作ったひどい映画」の一種で、これはやっぱり相当センスがないと作れない映画だと思います。あとプライドのなさ。
正直90点にしようか悩んだぐらいに笑ったし最高だったんですが、ギリギリ良心で踏みとどまって85点にしました。それでも高評価です。この映画「どうしようもない」って低評価しちゃう人とはちょっと仲良くなれない気がする。フィルマークスで3点切ってるけど。もっと評価してあげてよ…!
一方でエログロもしっかりいろいろ出てきてしまう(あからさまにサービスショット的なおっぱいが出てきてそこも笑うんですが)こともあり、そういうのが苦手な人は低評価しちゃうのも仕方がないのかなという気もします。僕もグロは苦手ですがコメディ仕立てだとあまり気にならないタイプなのでヨシ!
何がひどいとか面白いとか詳細を語るのは野暮だと思うので、あとは観てねでいいとも思うんですが…僕が観ていていい意味で気になったのは、やたら説明臭いセリフが出てくること。
細かい部分は忘れましたが、「寿司が襲ってきている…!」みたいな「いや観ればわかるだろ」みたいなことを逐一セリフにして言ってくるスタイルで、それがもう繰り返されるもんでいちいち笑いました。アレは間違いなく狙ってやってるんだろうしそこがすごいセンスだなと。
途中で社長秘書の人が寿司に襲われ、なぜか肌もあらわにした状態で立ち往生するシーンが長々と続くんですが、そこで同僚の社員が「どうせ死ぬんだからおっぱいを揉みたい!」みたいなことを脳内で繰り返し言ったりするんですよ。くどいぐらいに。それがもうくだらなすぎてダメでした。
なお余談ですがさすがにウォチパでは自重しましたが、秘書の方のブラが白で大変かわいくそれも良かったことは書いておきたいと思います。(白下着フェチ)
それとこのシーンでもそうなんですが、やたらキスにこだわるんですよね。「キスしたい」とかしょっちゅう出てきてそれもバカバカしくて笑っちゃうという。
料理長と不倫している旅館の女将がひどいキスをするシーンもあり、あれのせいで評価が下がっているのも否めないとは思いますが、僕はそこも含めてバカバカしくて笑いましたね。本人たちもつらそうなのを遠慮なく使ってて。ちょっとメタいんですがそれもわかってやってるっぽくて、ちょっとこれはその辺の「ちゃんとやってるけどひどい」映画とは一線を画す「狙ってひどい」良い映画だと思います。「恐怖人形」とはわけが違う。
ずっと上半身はだけた社員が妙に存在感を示しているのも密かなポイント。あとはイケメン枠の社員が「側近」って呼ばれてるのも笑う。呼称が側近て。
悩みが深いときに
ちなみに旅館に馴染めず苦労している主人公のケイコに唯一優しいのが学校で言うところの用務員的な存在の松崎しげるなんですが、彼は監督が「どうしても出てほしい」とオファーしたものの「脚本の意味がまったくわからない」と一旦断ったそうです。正しい。確かに意味がわからない。
それでも監督が熱烈にお願いしたところ「そこまで言うならなんでもやるよ!」と快諾、意味のわからない陽気さで映画を盛り上げてくれます。
まあそんな感じでいろいろ意味もわからないしひどい内容なんですが、あまりにも意味がわからない上に勢いがあるので結構自分の悩みが吹っ飛ぶような爽快さもあり、つらいときに観てどうでも良くなりたいときに良い映画なんじゃないかなと思います。なにげに。
心の味方、それがデッド寿司です。
このシーンがイイ!
一番笑ったのはどこだろう…山田(浮浪者)が進化(?)したところかな…「なんでだよwwww」って本当に笑いました。
ココが○
とにかくひどい、くだらない。それが最高オブ最高。めっちゃ笑うし元気になる。
ココが×
やっぱりエログロでしょうか。グロはもちろん安っぽいんですが、それでも嫌な人は嫌だと思います。
MVA
意外と良い役者さんが出てたりして「何しとんねん」とツッコミが飛んでおりました。
旅館の女将が結構な顔芸で名演技を見せてくれたのが好印象でしたが、調べたら元AV女優さんだそうで。なるほどなんとなくわかるかも。体を張ってる感じがリスペクト。
しかしこの映画はこの人かな!
武田梨奈(ケイコ役)
主人公の仲居さん。
彼女は初めて観たんですが、元々空手家らしくアクションは本当に上手でした。「すげー! なんでこの映画出てるんだよ」って疑問に感じるぐらいちゃんとしてたし、そのくだらなさがまた笑いを呼ぶしで良いキャスティング。
そして何よりかわいい。こんな良い女優さんいたのか…! と己の無知ぶりに嫌気が差すぐらい良かったです。他の(ちゃんとした)映画も観てみたいですね。