映画レビュー1141 『エクストリーム・ジョブ』
一部で話題沸騰だったこちらの映画、これもまたみんなで観たいぞとワガママを言って2日連続のウォッチパーティと相成りました。
エクストリーム・ジョブ

思ったよりチキン屋寄りで笑う。
- 犯罪組織アジト前のチキン屋が店じまい、捜査のために購入し営業
- 幸か不幸か味が評判を呼んでしまい大繁盛、捜査どころで無くなる刑事たち
- 本業は不振続きで居場所も無くなり、岐路に立つ刑事たちだが…!
- 最後はスッキリ、良コメディ
あらすじ
設定からして笑っちゃう、これまた設定勝利な映画ですが、中身もなかなかしっかりしていて予想通りに面白かったです。
とある警察に所属する、コ班長(リュ・スンリョン)率いる麻薬捜査班は肝心なところでパッとせず、実績ゼロで解体間近の窓際チーム。
後輩のチェ課長が先に出世し肩身の狭い状況の中、彼から新たな捜査情報が寄せられます。なんでも国際的な麻薬組織のボス、イ・ムベ(シン・ハギュン)が犯罪組織のアジトに出入りしている…とのことで、早速そのアジト前にあるチキン屋で張り込み捜査を開始。
捜査班にとっては好都合な「客の来ない店」だったそのチキン屋ですが、それ故か店主はお店を閉めて売りに出すとのこと。
ここが無くなると捜査に支障を来してしまい、おまけにアジトでは頻繁にチキンの出前を頼んでいることから、部下の「店を買い取って監視する」案を採用した班長、退職金を前借りして背水の陣で捜査に臨みます。
当然ながら捜査のためのお店ということは知らない世間の人たちは普通に来店してくるため、ごまかしきれなくなった捜査班の面々は「とりあえず」偽装でチキン屋を開始することに。
各人で試しに調理してみた結果、極上のチキンを作った“チーム1のトラブルメーカー”マ刑事を厨房長に任命、開店したところ評判が評判を呼んで大繁盛、もはや捜査そっちのけでチキン屋に精を出す始末。
挙句の果てにテレビの取材やらチェーン展開やらの話まで舞い込み、窓際“本業”との狭間で悩む捜査班メンバー。果たして彼らの「ダブルワーク」はどのような結末を迎えるのか…!
誰にでもオススメしやすい
上記あらすじは班長中心に書いていますが、実際は班長主役+4人のチームメンバーが準主役と言う感じ。例によってボケ・ツッコミも分担され、みんないいキャラしています。
オープニングで能力の低い窓際チームっぷりを晒しつつ、その後のチキン屋で敏腕ぶりを発揮するギャップが最高です。コメディとして定番の流れながら「いや本業どっちだよ」と誰もが突っ込みたくなるチキン屋適正の高さが単純に面白い。
さらに本業と副業の狭間で悩んだり、どんどん広がる副業に「これワンチャンでチキン屋エンドあるんじゃねぇか…?」と期待させるぐらいにチキン屋の売れっぷりが最高に笑えるし、思った以上に本業に戻らないコメディっぷりが本当に楽しい。
とは言え当然そのまま終わるわけがなく、どこかで本業との破局点(なのか)が発生してくるわけですが、その本業と副業の絡み具合もなかなかしっかりしたストーリー展開になっていて、コメディながら破綻のないとても良い作りのお話だと思います。
全体的にはまさに「ザ・エンタメ」だし、老若男女楽しめる、かなり間口の広い映画でしょう。いわゆる「映画趣味ではない人にオススメを聞かれて答えるのにちょうどいい」タイプの映画だし、「観やすい韓国映画」と言うのもメジャーなハリウッド映画をオススメするよりもなんとなく通ぶれて良いとか言う話もあるとか無いとかですよ。
また(一応は)刑事モノなだけにアクションもしっかりあって、ジャンル的にはアクションコメディと言っていいと思います。アクションが登場するのは終盤ではありますが、それだけにちゃんと盛り上がるしそれに合わせて曲もしっかりテンアゲさせてくれる作りなのがまたお見事。
エンディングもスパッと気持ちのいい終わり方をしてくれるし、コメディ故に軽く見られがちかもしれませんがその実意外としっかりした地力のある映画だと思います。
気楽に観てみても良し
ちなみに韓国では歴代興行収入1位と歴代観客動員数2位を記録したそうで、その事実一つを取ってもかなりの大物映画と言うことになりますが、さらにすでにハリウッドリメイクも決まっているとのことで、いかにこの映画のデキが良いのかがよくわかります。
まー本当に変なところに気を遣う必要のない、純粋に楽しめるエンタメ映画としてとても良く出来ているし、なにせコメディなだけに疲れてても大丈夫…と言うことで気楽にとりあえず観てみるのも良いと思います。
最近韓国映画を観る機会も増えてきたなーと思いますが、なんだかんだやっぱりすごいなと改めて思いますね。邦画も即座にハリウッドリメイクが決まるぐらいの良コメディを作って欲しいところです。
このシーンがイイ!
ラストシーンすごく好きですね。終わり方がすごく気持ちいい。
あとはその前のワチャワチャバトルシーンも。音楽が良い。
ココが○
誰も悪く言わない、グロくもないしエグくもない、至って平和で誰でも楽しめる映画である点。なかなかこれだけ欠点のない映画も珍しい。欧米コメディだと他人を貶める笑いも少なくないだけに、この平和な笑いはさり気ないですが見事だと思います。
ココが×
なにせコメディなのでパッと見すごさがわかりにくい面はあると思いますが、考えれば考えるほど「軽い映画だけど軽く作れない」内容だと感じられるのがある意味でもどかしいところですね。
ただ展開としてはやっぱりどうしても予定調和的にはなってしまうので、びっくりするような展開を期待すると肩透かしを食らうとは思います。
MVA
これはなかなか悩ましい…皆さんすごく良かったです。班長が「7番房の奇跡」と全然違うのも見どころですが、うーん…やっぱりこの人かな。
チン・ソンギュ(マ・ポンパル役)
チーム1のボンクラでトラブルメーカー。しかしチキン屋になって才能が開花、厨房長に。
この人絶対天職チキン屋だよね!? と思わざるを得ない刑事としてのポンコツっぷりとチキン屋での才能開花っぷりが最高なんですが、しかしどうして刑事としてもきちんと見どころがあるのがポイントです。髪型が漫画みたいだけど。
まあでもチームメンバーみんな良いですね。一番のイケメン兼ツッコミ担当のキム刑事が「ビューティー・インサイド」の親友役の人と知ってびっくりしました。全然違う!