映画レビュー0854 『フェリスはある朝突然に』
今回はBS録画から。1980年代の映画ってだけでもうちょっと期待しちゃう。
フェリスはある朝突然に

永遠に忘れられない青春の一日を軽快に。
- 誰からも慕われるモテモテ高校生が学校をサボって遊ぶ一日を描く青春コメディ
- なんでもうまく行っちゃう主人公は最初から最後まで変わらず、変わるのは周りという珍しいパターン
- コメディ故にかなりのご都合主義的展開ながら、割り切っちゃってる分気にならない
- 歳を取ると羨ましさから喪失感を覚える謎の良作感
なんでもアメリカでは根強い人気がある映画らしく、あの「デッドプール」でもこの映画のエンドロール後のシーンをパロってたりします。
基本的には「昔流行った青春コメディ」感のある映画で、特に毒にも薬にもならないお話ではあるんですが…これがなかなか、ありがちだけど良いメッセージを伝えてくれてたりして僕は好きですね。
主人公のフェリスはある日、「こんな天気のいい日に学校なんて行ってられないよね」ってことで「熱はないけどヤバイ」的な演技で両親を騙し、めでたくサボることに成功。
親友のキャメロンに電話したところ、彼はマジで調子が悪く休んでいたんですがなんやかんやで彼も巻き込み、お出かけすることに。
ここで…キャメロンは「見せたらアカンやつやん」感丸出しの“親父が乗りもせずに超大事にしている世界で(確か)100台しかないフェラーリ”をフェリスにお披露目してしまい、当然のようにフェリスは「よしじゃあコレに乗って出かけるぞ!!」ってことで強引にフェラーリを乗り回します。
その頃フェリスの彼女であるスローンは普通に学校に行っていたんですが、フェリスが彼女も連れ出したいがために身内の不幸話をでっち上げ、早退。
一方フェリスの仮病に気付いているルーニー校長(字幕では教務主任的な感じだった気がしますが校長説が多いのでそれに倣います)は彼の尻尾をつかもうと独自に調査を開始、さらに朝から仮病だと知っているフェリスの妹も巻き込んで…何やらいろいろ起こるで!
ってな感じで3人でフェラーリに乗ってスタジアムへ行き、美術館へ行き、高級レストランにも行って…と好き勝手遊びまくる青春の一日、そんな物語でございます。
まず主人公・フェリスを演じているのが当時23歳のマシュー・ブロデリックなんですが…最近のマシューを知る人間からすると驚くほど整った美少年感で驚きました。(そのまま)
整いつつもかわいい雰囲気は、ちょっと同時期にBTTFで世界を席巻したマイケル・J・フォックスっぽい感じもあって、この頃のイケメン俳優はこういう雰囲気が売れてたのかもしれませんね。今観ても「このマシュー最高!」って人多そう。
そのマシュー演じるフェリスが…まあ本当に「何をやっても結果うまくいく」キャラクターで、とにかくチート感がすごいんですよ。
おまけに当時としてはかなり珍しいんじゃないかと適当に書きますが、いわゆる第四の壁を乗り越えたシーンが最初と最後に出てきます。要は観客に対してカメラ目線で語りかけるんですよ。
そこがデッドプールとの共通点でもあるし、だからこそのエンドロール後のパロディにつながるんだろうと思いますが、そのエンドロール自体も左側に映像、右側に文字が流れる形式になっていて、それもまたこの頃は結構珍しかったんじゃないかなと思うんですよね。
映画自体はよくある青春コメディではあるんですが、そういうちょっとしたところで少し「(この当時としては)新しい」作りが目につく辺り、「昔のコメディ」では済ませられないちょっとしたセンスのようなものは感じました。だからこそ今でも根強い人気があるのかな、と。
フェリスは仮病で休んだら「フェリスを助けよう!」とカンパが始まっちゃうぐらいに大変な人気者で、また機転が利くのでその時々の判断力も申し分ないものがあり、とにかくトラブルだろうが簡単に乗り越えちゃうチートキャラです。
そんな人なので、ぶっちゃけ最後まで成長したりしないし変わらないんですよね。青春コメディでこれはなかなか珍しいと思うんですよ。挫折しない主人公。
一方、彼が連れ回すことになる親友のキャメロンは、半ば無理矢理連れ回される形になり、さらに支配されている父親が大切にしていたフェラーリをフェリスに使われたことで変わらざるを得ない状況になっていきます。
そう、この映画の影の主人公というか、成長物語的な視点に立てば、実はキャメロンの方が見どころがあるキャラクターと言うか、彼の変化を通してフェリスの人間性をより際立たせる形になっていて、その辺もまた若干ですが変化球なのかもしれません。
彼を追う校長先生(とニアミスする父親)については、ほぼコメディのスパイス的な役割以上のものはなく、やっぱりフェリスのチートっぷりとそれに感化されるキャメロンの物語なのかなと思います。
この二人は高校3年生、つまり一緒にいるのもこの1年で終わり、なわけです。
「ファンダンゴ」よろしく、終わりが見えているからこそ今を楽しもうぜ的な、ほんのちょっとだけ切なさを感じさせる面もあって、その隠し味がまた結構好きでした。全然そういう感じには見せないんですけどね。
この日の出来事は、おそらく3人とも一生忘れないと思うんですよ。高級車に乗って遊び回った一日。
怖いものがなかった若い頃に作った「一生忘れない一日」の思い出、その意味するところはおそらく歳を取れば取るほど重みを増していくのがわかるわけで、「自分はこんな一日過ごしてないなぁ」と気付いたときのやるせなさもまたこの手の映画を観る醍醐味なのかもしれないですね。すごく切ないけど、その切なさが味になるような。
フェリスが劇中、カメラに向かって言うんですよ。「人生は短い。たまには立ち止まって楽しめ」って。
ホントそうだよな、と思いました。「楽しむ」にも能動的に意志を持って楽しみを取りに行かないといけないわけで、受動的に日々過ごしている自分としてはなかなかキツイ一言をもらった気がします。
日々仕事に追われて疲れている、そんな人こそ観て欲しい。なかなか「ただの古い青春コメディ」とはバカに出来ない何かがある映画…かもしれません。
このシーンがイイ!
上記の「たまには立ち止まって楽しめ」のシーンかな〜。あそこは本当にハッとさせられましたね。あれがこの映画が伝えたいメッセージのすべてなんじゃないかな…。
ココが○
ジャンル故に気楽に観られるし、特に頭も使いません。
年代の割には古さも感じにくい気がするし、今でも十分オススメ。
ココが×
ぶっちゃけ描かれる一日の内容は本当にしょうもないし、主人公のチートっぷりも相まってリアリティはゼロ。
そこをどう取るかはその人次第だとは思いますが、ここまでやってくれれば「こういう一日を過ごしたかった」憧れとして成立する分、良いのかなと言う気も。
MVA
妹ちゃんがなかなか良いなぁと思ったんですが、やっぱりこの映画はこの人なんでしょう。
マシュー・ブロデリック(フェリス・ビューラー役)
本当に見た目の良さにはびっくり。当時めっちゃ人気あったんだろうな〜。この人にそんなイメージが無かったので意外でした。
おまけにかなり生意気そうな雰囲気があって、そこがまた良いんですよね。そうじゃないと成立しない役だと思うし。
何も怖くない若者感が存分に出ていてお見事でした。


