映画レビュー1045 『フレンチ・コネクション2』
この日は限定加入中のアマプラで観たかった映画があったんですが調べたらいつの間にか観られなくなっていたため、「じゃあ古い映画観るわバーロー」と激怒しつつ久しぶりのBSプレミアムより。
せっかく1も観たことだし、いつか観ようと思っていた続編でございます。例によって前作のネタバレに触れる形になるので(ってもう50年近い前の映画のネタバレもヘッタクレもないですが)そこだけはご注意ください。
フレンチ・コネクション2
ロバート・ディロン
ローリー・ディロン
アレクサンダー・ジェイコブス
1975年5月18日 アメリカ
119分
アメリカ
BSプレミアム録画(TV)
ラストシーンがすべての映画。
点数
- 舞台はニューヨークからフランスへ。一人シャルニエを追うドイル
- ひたすら外様扱いで自由に動けず、我慢を強いられる展開
- アクションも無くとにかく地味な刑事もの
- ラストシーンが出色
あらすじ
ということで前作にて追い詰めながらも取り逃がしてしまった麻薬王・シャルニエを追って一人フランスにやってきたドイル刑事の姿を描く2作目です。監督は前作のウィリアム・フリードキンからジョン・フランケンハイマーに交代。なかなかの豪華リレーですね。
前作におけるカーチェイスのような目立ったウリになるシーンはあまり無く、ひたすら耐え忍ぶ展開が続く非常に地味な映画ではありますが、それだけに最終的な“オチ”が効いている面も確かにあって、「途中ちょっと退屈だったけど良かったな」ってな感じの映画でしょうか。
フランスに逃げたシャルニエを逮捕するべく、単身フランス・マルセイユへやってきたポパイことドイル刑事。彼はマルセイユ市警に“出向”のような形で窓際に席を借り、バルテルミー警部に協力を仰ぎながらシャルニエを追う…んですがマルセイユ市警はドイルなんぞ構ってられんとばかりにやや非協力的、さらにドイル自身の強引な性格も災いしてあまり“協力”もうまく行きません。
シャルニエの居場所も掴めないまま日々が過ぎ、あいも変わらず現地警察の面々に煙たがれるドイルですが、ある日偶然シャルニエが彼の姿を発見したことで事態は急転。シャルニエの方から先手を打ってくる形になりますが…あとはご覧くださいませ。
すべてはラストシーンのため
今作は舞台をフランスに移し、単身赴任のような形で一人“継続捜査”に臨むドイルの姿を描きます。よって前作の相棒であるロイ・シャイダー演じるルソーは出てきません。寂しい。
オープニングでこそにこやかに握手を交わすドイルと現地の責任者・バルテルミー警部ですが、そこから先はもうあからさまに「(呼んでもいない)お客さん」扱いで“捜査協力”とは名ばかりの、ただ「間借り」させてもらってるだけという状況のドイル刑事。
ドイルはドイルでご存知の通り血気盛んで突っ走りがちの刑事なので、「そう言うことなら好きなようにやらせてもらう」と独自捜査を展開。しかし有益な情報は得られず、捜査は完全に停滞します。
結局何をしに来たのかわかんねーな状態で飲んだくれるドイルですが、偶然彼を発見したシャルニエによって事態は急展開を見せ、それによってアレコレありつつ最終的にどうなるのか、っつーお話ですよ。
まあ本当にドイルの“外様”感が強く、かと言ってフランス側の捜査が何をしているのかもよくわからず、序盤〜中盤はひじょーに進みが遅い。もう本当にどうでもいいようなシーンが続き、今だったらもう少し詰めた話になるんじゃないのか…という気もします。ぶっちゃけ、割と観ていて飽きる面はありました。古い映画らしくシーンも長めに取ってるし。
特に…一応具体的な状況は伏せますが、中盤でドイルとバルテルミーが長く会話をするシーン(野球の話とか)がもう本当にやたらと長くて、いやそこまで詳しく聞いてないよ的なツッコミも入れたくなるような間延び感があってですね…。
長く見せるそのこと自体に意味があるのもわかるんですが、ただどうしてもそこまでも大して進捗せずに“核”に触れない内容が長く続いていたこともあって、さすがにちょっと2作目はイマイチだな、前作の方が良かったな…と思いたくもなるんですよ。実際。
ただ…それもすべて前フリだったんだぜと言わんばかりのラストシーンの強烈さ(ある意味では強引さ)に結構グチーンとやられちゃいまして、なるほどなかなか良かったぞと。
なにせ前作から引き続きで2作続けて一人の男を追う刑事のお話なので、その決着のさせ方としては非常に執念を感じる素晴らしいものだったと思います。
とは言えそこに至るまでは割とガバガバでもあるし、全体通せば決して「傑作だな!」と言えないのも残念なところ。
前作を観たなら今作もぜひ
総評としては…前作を観たなら今作も観ておいて良いと思います。
映画としては間違いなく前作の方が良く出来ていたと思いますが、とは言え結末が消化不良だったことも否めず、一人の刑事が執念を持って追う事件がどのような結末を迎えるのか、というところをしっかり見届けるのはなんだかんだ楽しいと言うか、両方観ることで気持ちよく「フレンチ・コネクション」を心の棚にしまえるのかなと。
やや冗長な面はありつつ、それでもやっぱりこの頃だから描けるような空気感は間違いなくあるし、古い映画好きなら一度は通っておきたいシリーズと言えるかもしれません。
ってこうして観たから上から言えるっていうね。マウントですよマウント。
このシーンがイイ!
やー、これはもう文句無しでラストシーンでしょう。この終わり方最高。
今じゃ絶対無いと思うんですよね。なんでかはわからないんですが。
あとどうでもいいシーンとしては、ドイルがバーに行って言葉の通じないバーテンダーとやり取りするシーンがなんか良かった。海外旅行に行くとこんな感じだよな〜みたいなリアルさと人情感が良くて。
ココが○
ある意味「ゴッドファーザー」を観たときのような、一人の人物を2作またいできっちり見せてもらった感じが良かったですね。ある程度ダラダラしつつも、あるべき続編の形ではあるような気がします。
ココが×
やっぱりちょっと中盤いろいろと長いのでダレてきちゃうのはあります。
要点を絞ればかなり短い映画になりそうなぐらい結構話が進まないので、どうしても途中飽きてきちゃうのはあるかなぁ、と。
MVA
それぞれ味がありましたが…やっぱりこの人でしょうね。
ジーン・ハックマン(“ポパイ”ジミー・ドイル役)
ご存知主人公。
ジーン・ハックマンらしい力強さがとても良い。間違いなく70年代アメリカ映画の顔の一人ですからね。
素じゃないか、ってぐらいこの役が似合うし、ガタイの良さも込みでドイルしてました。いやドイルの定義がわからないけど。