映画レビュー1044 『50年後のボクたちは』

〈本日よりおなじみの年末進行になります〉

おなじみネトフリ終了シリーズやで!

青春ロードムービーってことでね。こりゃ観なきゃいけませんねと。おまけに監督は「ソウル・キッチン」の監督ってことで自ずとハードルも上がるってもんですよ。

50年後のボクたちは

Tschick
監督
脚本

ラース・フープリヒト

原作

『14歳、ぼくらの疾走: マイクとチック』
ヴォルフガング・ヘルンドルフ

出演

トリスタン・ゲーベル
アナンド・バトビレグ
メルセデス・ミュラー
ウーヴェ・ボーム
アニャ・シュナイダー
ウド・ザメル
アレクサンダー・シェーア
マルク・ホーゼマン
フリーデリッケ・ケンプター

音楽

ヴィンス・ポープ

公開

2016年9月15日 ドイツ

上映時間

93分

製作国

ドイツ・フランス

視聴環境

Netflix(Oculus Quest2)

50年後のボクたちは

語りすぎない良さもありつつ、ほんのり物足りなさも。

7.5
14歳の少年二人の夏休み、盗んだ車で走り出す
  • 恋も破れクラスにも馴染めない少年、風変わりな転校生とひと夏の旅へ
  • 転校生がかなり“曰く付き”っぽいが故に普通じゃない旅で経験値爆上がり
  • ウェットすぎない、どちらかを言うとドライな人間関係に評価は分かれそう
  • やや消化不良なものの、物語のその後に思いを馳せたくなる見せ方の良さ

あらすじ

よくある“ひと夏の経験で成長しました”系の青春映画でございます。僕が最近観た中では「DJファントム・イン・ザ・ハウス」辺りと近いイメージでしょうか。

ただこちらはベースがロードムービーになっているのでよりセンチメンタル感がマシマシなのと、コメディ色があれほど強くないために比較的直球勝負な青春成長映画、という感じ。

主人公のマイク少年は同じクラスで学ぶ“学校のアイドル”、タチアナに絶賛片思い中なんですが、どうやら彼はクラスメイトに変人と見なされているようで、終業式の日に行われる彼女の誕生日パーティーに誘われずあっさり失恋、自暴自棄になります。

ちなみにこのパーティー、クラスで誘われなかったのはたったの二人であり、残るもう一人が「ロシアからやってきた謎の転校生」、チック。

転校初日から酒臭いチックに近寄りがたいものを感じていたマイクですが、彼はなぜか終業式の日にマイクの家にやってきて「一緒に出かけるぞ」とドライブに誘ってきます。盗んだオンボロ車で。

マイクはパーティーに誘われた時のためにタチアナの絵を用意していたんですが、それを見たチックが「渡しに行くぞ!」と強引に連れ出し、その彼の力技によって結果はどうあれ目標を達成することができたマイクはチックをいいヤツだと認定したんでしょう、退屈な家を抜け出して彼のアテのない旅についていくことにしたのでした。

かくして免許もない14歳の二人が車に乗って旅に出た夏休み。ロードムービーらしく行く先々でちょっとした出会いも体験しながら、この旅が終わる頃の二人はどうなっているんでしょうか。

チックとチックの影響がほぼすべて

原題は「チック」、つまり謎の転校生の名前そのものということもあって、タイトル通りチックのパワフルさが牽引する物語です。

とても14歳とは思えない落ち着きと破天荒さで「普通の多感な中学生」マイクを引っ張り、彼のその後(おそらくは人生そのもの)を変えていく存在になっていきます。

一応主人公はマイクですが、物語の中心は完全にチックであり、マイクから見たチックという人間を通してマイク自身がどう影響を受けていくのかを描く映画になっています。

ロードムービーらしく途中途中で何度か旅先での出会いは描かれるものの、そのどれもが割とサラッとしていて、やはりすべてはマイクから見たチックとチックに影響を受けていくマイクの描写がほとんど。そこが良いなと思いつつ、ただもう少し人情寄りの湿っぽい話もあった方がグッと来たような気もします。

とは言え邦題からもわかる通り、この映画は上映時間内で描かれる内容に留まらず、その後も含めた物語として余韻をもたせているお話でもあるので、ある意味では映画の描写以上に雄弁な物語とも言えるし、そう感じさせる雰囲気が「なんかイイな」と感じさせる上手さがあるように感じました。

青春映画は大人が観てこそ

この手のお話は観客が細かい機微を感じ取ってどう考えるかが大事なので、正直あとはもうあんまり書くこともなくてですね。例によって短めに終了という形になります。

ただ青春映画としてその経験にある程度羨ましさを感じつつ、とは言え果たして同年代〜二十歳前後の人が観てグッと来るものがあるのかと言うと割とそこは微妙な気もして、どちらかと言うと「大人が観て失った青春を羨む」感覚の方が強い映画のような気がします。

まあこの前「ブレックファスト・クラブ」のレビューでも書きましたが、そもそも青春映画自体、“当事者”が観て云々と言うよりももうそれが過去の失ったものになってしまった人たちが観て何かを感じるジャンルのような気がするので、ある意味では王道の青春映画なのかもしれないですね。そうだよな、こういう受け取り方をするのがこの時期の良さだよな、みたいな。

今自分が同じ経験をしていたら、おそらくもっと要領よく立ち回ってこんな話にはならないだろうし、なんなら入り口で「車盗んじゃダメでしょ返して来いよ」で旅すら始まらないという体たらくの可能性があります。

大人ってつまんないね。

このシーンがイイ!

ん〜、やっぱりマイクが「俺はつまらない男なんだ」って自らをさらけ出すところでしょうか。彼の成長面においては多分あのシーンが転機なんだろうと思います。

あとはエンドロールのイラストが良い。

ココが○

語りすぎないのはやっぱりヨーロッパ映画らしさなのかなと思います。わかりやすさよりも観客に判断を委ねようとする姿勢が感じられるような。

ココが×

そこが良いと言いつつ、ただちょっとだけエピローグでその後の(もっと先の)物語を語ってくれたりしたらなお良かったかなーと。青春映画ならなおさらよくあるやつだし。やっぱりどうなったのか気になるじゃん。

MVA

チックも良かったんですが、この人かなぁ。

メルセデス・ミュラー(イザ役)

二人が途中で出会う女性。やたら口が悪い。

なぜこの人なのかは観ればわかるかなーと思うのであんまり詳細は書きません。すごく印象的な女優さんだったなと。

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