映画レビュー1553 『JUNK WORLD』

通常営業1本目、今年はこちらの映画から。
ちなみに実はまだ去年のなんプロアワードもまったく手を付けていません。大丈夫なのか…!(その後やった)
なおストックが増えるまでの当面の間は週1更新になります。よろしくどうぞ。

JUNK WORLD

Junk World
監督
脚本

堀貴秀

出演

堀貴秀
三宅敦子
松岡草子
杉山雄治

音楽

堀貴秀

公開

2025年6月13日 日本

上映時間

105分

製作国

日本

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

JUNK WORLD

相変わらず変態映画すぎる。

8.5
地下世界の異変を探る人間・マリガン合同チームによる調査隊がいきなり襲われ…
  • 地下世界で異変が起きたため、人間とマリガンの合同チームによる調査隊が組まれる
  • しかし調査開始直前に謎の勢力に襲われ、生き残った数名が地下世界を調査することに
  • 前作同様にストップモーションアニメによる気の遠くなるような作業を経て誕生した続編
  • JUNKシリーズ2作目、前作より過去の話

あらすじ

前作同様オンリーワン、面白くないはずがないんですが好みとしては前作の方が好みかなと。

前作でも語られた部分と被りますが、人類が労働力として人工生命体「マリガン」を創造した世界の話。
数を増やしたマリガンは人類に反乱を起こし、やがて人類とマリガンの戦争が勃発。
100年以上にも渡る戦争を経て停戦協定を結び、そこからまた数百年が経過した後に地下世界に異変が起きまして、調査のために人間とマリガンの合同チームが調査に乗り出すこととなりました。
しかしまさに最初の顔合わせのタイミングで謎の勢力に拠点が襲われ、人間側もマリガン側も被害者を多数出しつつ命からがら脱出。
結局人間側はリーダーのトリスと彼女の護衛であるロボットのロビン、マリガンは“オリジナル”であるダンテとその部下1人、そして(表向き)中立的に統括する立場である人間のお偉いさんの大使とその腰巾着的な小役人1人の総勢6名のみが生き残り、地下世界に降り立ちます。
この調査はイメージ的には放射線みたいな感じの悪影響を避けるべく6日交代の調査になっているんですが、結局「調査目的地で次の調査隊を待って帰るしかない」との判断で歩いて調査目的地に向かうことにする6名。
ですが襲ってきた連中は当然再度の襲撃を狙っており、無事にたどり着けるのかわかりません。
果たしてこの調査、どうなる…!

続編故のジレンマ(?)

前作同様、独特の世界観をストップモーションアニメで作り上げた狂気の一作。三部作の2作目になります。
1作目は7年かかったそうですが、あれから4年程度で次がリリースされたのはすごいの一言。
ただこの作品が完成した後にスタッフが全員辞めるというとんでもない事態に陥ったらしく、最終作がいつになるのかは現状見通せない状況のようです。本当に10年単位で待たされるかもしれません。
全員辞めた経緯については当然部外者にはよくわからないのであまり勝手なことは言えませんが、これだけものすごい作品に携われる機会を放棄してまで「全員が」辞めるというのはやっぱり監督に結構なワンマン体質(ソフトな物言い)のようなものがあるのでは…と勘繰ってしまいますが単なる素人の想像でしかないので実際のところはわかりません。いずれにしてもあんまり印象は良くないですが…。

それはさておき、今作の話。
さすがに前作は初見ということもあって相当な衝撃を受けただけに、それと比べるとどうしてもインパクトが薄れてしまうのは仕方のないところではあります。
監督もそれがわかっていたからなのか今作は割と込み入った作りになっていて、ループやらマルチバースやらのSF要素が強めなので前作以上に向き不向きはありそう。
世界観構築とその描写に力を注いだ1作目、より世界を広げてテクニカルに物語を展開する2作目、といった感じでしょうか。
今作は全部で4幕構成になっていて、正直第一幕では「前作の方が面白かったな…」と微妙な感じで観ていたんですが、その微妙に感じる作りもおそらくわざとやっていると思われ、後半になって種明かし的な伏線回収によって面白さがわかってくるという映画になっています。だいぶ毛色は違いますが「お嬢さん」みたいな感じ。
なので最初っから「うわすごいなこの世界」とずっと興味をそそられながら観られた前作とは違い、一旦テンションが下がってから「なるほどそういう話なのね」と理解していく形の作品なので、やっぱりこの手の作りが苦手な人はどうしても「前作の方が良かったな」となってしまうのは仕方がないように思われます。
僕はこの手の話が好きなのでかなり楽しめはしましたが、その物語云々関係なくやっぱり前作の方が新鮮だったし、独特の世界観が“わからなすぎて”楽しめた部分があったのかなと改めて感じました。なんというか…知らない世界を知らないまま観ていく楽しさに溢れていた1作目、というか。ずっと知らないものが出てきて新鮮な驚きが繰り返される楽しさというか。
どうしても続編になるとその辺の感覚は失われてしまうので、その分少し評価が落ちたような面はあったかなと。
もう一点、前作が成功した故に当然ではあると思うんですが、今作はより規模が大きくなって贅沢な作りになっているように感じられ、なんならコマ自体増えている気がしたんですよね。例えば1秒間16フレームだったのが24フレームになった、みたいな。(あくまで例えで実際のところはわかりません)
なのですごい滑らかに動く(気がする)んですよ。ストップモーションとわかってなかったら普通のアニメ(CG)のように感じてもおかしくないような感じで。
その方が手間もかかるしすごいのは間違いないんですが、前作よりも手作り感が失われた感じがしてしまってそこがちょっと残念な気がしたんですよね。豪華になっちゃって残念、という謎の感情。好きだった町中華がオサレチャイナバーに変わっちゃった、みたいな。いやそこまでじゃないんだけど。
そもそもこれも感覚の話でまったく前作と変わっていない可能性もあるだけに批評としてどうなんだという気もしますが、自分の中にある前作の衝撃と比べると作りがだいぶハイグレードになったというか、より手間をかけた分リアル志向に近付いている感じがしてそこが引っかかったというか。本当のところはわからないんですけどね。自分の記憶との勝負に負けたというか。
これは近々もう一度前作を観て確認したいと思いますが、いずれにせよ前作が(多分)思いの外強力な評価を受けたためにより気合いを入れた結果、前作が持っていた粗削りな良さが削がれてしまった部分があったような気がして、それ故に僕は前作の方が好きだなと思った次第です。はい。

もう一つ、これはかなりがっかりしたんですが、セリフが全部普通の日本語だったんですよ。
前作の、あの何を言っているのかよくわからない謎の言語がすごく雰囲気づくりに貢献していたのが好きだっただけに、なんでこうしちまったんだよ迎合かよ…とがっかりしながら観たので若干評価が下がった、という側面は間違いなくあります。
ただこれは自分のミスで、実は前作同様謎言語バージョンもあることを鑑賞後に知りました。「ゴニョゴニョ版」って言うらしいんですが。
今回僕は前作同様憎きアマプラで観たんですが、アマプラでは「普通に観ると日本語吹き替え版、『音声による解説』をオンにするとゴニョゴニョ版」になるという仕様になっていました。そんなのわかるかよ…!
なのでこれから観る方はぜひ「ゴニョゴニョ版」で観ることをオススメします。
僕も悔しかったので午前中普通に観たあとお昼ご飯を挟んで即座にゴニョゴニョ版でも観たんですが、お昼を挟んだせいでかなり寝ちゃったことも自白しておきます。生きるの難しい。
ただゴニョゴニョ語(?)もだいぶ日本語でわかるような単語が多く使われ、面白いものの悪ふざけに片足突っ込んでたのがこれまたちょっと引っかかりましたが…。前作はもうちょっと意味がわからない感じでそこが独特で良かったと思うんですけどね…。

なんだかんだ言って最高のカオス映画

ちなみに全然事前情報もなく「続編来た!?」と勇んで観たので知りませんでしたが、今作は時系列上は前作より前の出来事になっています。
なのでぶっちゃけ今作から観てもあんまり問題はないような気がします。HEAD→WORLDの順番で観た人の感想も聞いてみたい。

若干否定的に見えるかもしれないレビューではありますが、オンリーワンであることは変わらずでやはりとんでもない作品であることも間違いありません。
前作同様に出てくるものはすべて独特なキモさ(とかわいさ)を持ってるし、ところどころグロいし突如としてギャグが放り込まれてきたりと相変わらずカオスな作品です。クセになる味わい。
もちろん三作目も期待大なんですが、上記の通りいつ完成になるのかわからない状況だけに心配でもあります。
監督もスタッフも全員いい方向に決着するといいんですけどね…。

このシーンがイイ!

クノコが出てくるシーンがもうアレすぎて一番笑いました。もはや隠そうともしない、っていう。

ココが○

何もかもがオンリーワンなので、このとんがりっぷりは絶対に評価されるべきものでしょう。とんでもないクリエイティビティですよ。

ココが×

上に書いた僕の勘違いかもしれない点を除いたフラットな点で言えば、込み入った分(前作よりも)人を選ぶのと、かなり壮大な物語になって(物語の性質上)時間的な制約が取っ払われた分なんでもアリになってしまった点は少々気になります。
伏線が効いている物語なんですが、とは言えその回収がなんでもアリになってしまうのは少し(物語に)技術的な雑さを感じた面はありました。

MVA

今回も結局一択みたいなものなので…。

堀貴秀(いろいろ役)

相変わらず一人で色々こなしていてとんでもないです。どれだけの時間(と金銭)を捧げているんだか…。
今回は声優さんという意味では女性キャラも多いし別の人の声を聞く時間も長かったので前作以上に賑やかな感じはありましたが、キャラ的に一番好きだったのはオリジナルマリガンのダンテだったので結局声優も堀さんじゃん、っていう。ガッテンショウ。

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