映画レビュー0522 『鍵泥棒のメソッド』

たまに登場邦画シリーズ。

大変不本意ではありますが、地上波でやっていたものを録画しての鑑賞です。CMとかファックですが、邦画だしノーカットだからまいっか、と。

鍵泥棒のメソッド

Key of Life
監督
脚本
内田けんじ
出演
広末涼子
荒川良々
森口瑶子
音楽
田中ユウスケ
主題歌
『点描のしくみ』
吉井和哉
公開
2012年9月15日 日本
上映時間
128分
製作国
日本

鍵泥棒のメソッド

人生どん底の貧乏役者・桜井は、なけなしのお金を持って銭湯へ。同じ頃、“ひとっ殺し”を終えた男・コンドウもまた、銭湯へ。しかしコンドウは派手にすっ転んで救急搬送、記憶喪失になってしまう。そんなコンドウの羽振りが良さそうな身なりを見ていた桜井は、こっそりコンドウの鍵を自分のものとすり替えて一気にリッチなったのだが…。

内田ワールドは今回もお見事です。

9.0

内田監督の前作「アフタースクール」はひじょーに面白かったので、今回も同じく監督・脚本を手がけたっつーことは期待せざるをえないぜ、と注目しておりました。実際評判も良かったので、それなりに期待して観始めたんですが、まあその期待をしっかりがっぷり四つで受け止めてくれてですね。始終ニヤニヤクスクスゲラゲラと大層楽しませて頂きました。相変わらずお見事な手腕、感服です。

ご存知の通り、今や邦画に限らず、ハリウッド映画なんかでも「原作ありき」の映画だらけの時代にあって、監督・脚本両方を手がけてしかもレベルが高い、というのは個人的にかなりポイントが高く、無条件で尊敬しちゃうんですよね。

ダンカン・ジョーンズ然り、もちろんあのクリストファー・ノーラン然り。アンドリュー・ニコルは「ガタカ」以外は微妙なところですが、「ガタカ」一本で鼻血が出るほど尊敬に値します。そんな系譜に名を連ねる日本人として、世界に誇れる監督さんと言えるのではないでしょうか。内田けんじ監督。ブラボーです。

よくフィンチャーの映画のレビューで書きますが、気を引きやすい要素、衝撃的な内容で惹きつけるのって言うのは自分の中では少し評価が下がるんですが、そういうキワモノ的な要素をまったく使わずにこれだけの魅力を放つ映画を作れる、っていうのはやっぱり天才と言っていいと思うんですよね。

何度か書いていますが、そういう意味で僕は世間的にも評価の高い「ブラック・スワン」が大嫌いなわけですが、ああいう「ウケやすい狙いの見える作り」を排して、老若男女誰が観てもしっかりたっぷり楽しめる、これこそ映画の醍醐味ではないでしょーか。

別にターゲットを絞るのがダメ、って言ってるんじゃないですよ。間口が広いのに深い、全盛期の任天堂かよ! みたいな良さが素晴らしいな、というお話です。

※スプラトゥーンはそんな全盛期の任天堂を感じる名作なのでくどいようですがオススメです。

えー、だいぶ抽象的なお話が膨らんでしまいましたが。

タイトル的に、半沢直樹(観てないけど)コンビが今度は泥棒に挑戦! 的なコメディだと勝手に思っていたわけですが、これが見事に全然違いまして。

記憶喪失を触媒にした、仕事人的な危険な香りのするプロとどん底貧乏役者の入れ替わりに、「この日までに結婚すると決めました。相手いないけど」という謎のキャリアウーマン(古)が絡んでくるという…概要だけではまったく想像の付かない物語です。

事実、僕も観ていて全然先が読めなくて、本当に楽しかった。ラスト近くも「これどういうオチになるのかな~」とワクワクしましたね~。

おまけに基本コメディなので、かなりクスクスニヤニヤ笑わせてくれます。爆笑するわけではないですが、ここまで映画で笑ったのは久しぶり。もーね、“間”が抜群なんですよ。間が。

監督も演者も自信があるからこその間なんでしょうね。僕はセリフがポンポン応酬するのはかなり作り物臭くなるので危険な手法だと思っているんですが、それだけに「いやー、さすがよくわかってらっしゃる!」と嬉しくなるような作りのうまさ。

かと言って当然テンポが悪い感じもなく、サクサクシーンも切り替わって展開も速く、飽きさせません。いやー、本当にお見事の一言。

この手の話の必須条件ではありますが、なかなか“ありそう”な設定も面白いし、観客が「秘密を知っている」からこその笑いとそれに対する裏切りもふんだんに散りばめられていて、本当によく出来ているシナリオだと思います。

果たしてコンドウの記憶は戻るのか、主人公は無事生き長らえるのか、そして結婚の行方は…! と目が離せません。

コメディながらしっかりサスペンスしているのも素晴らしいし、もう本当にお腹いっぱい、大満足。

オススメです。

このシーンがイイ!

桜井が自分の家にお客さんとして入った時の、3人のやりとりはもうたまらなかったですね。特に遺書のくだりはもう笑った笑った。

ココが○

もう散々書いたので、上記参照ということで。いろいろお上手です。

ココが×

一つだけ、某重要人物が最終的に間抜けすぎないか、っていうのがちょっと引っかかりましたが、まあそこまで厳しくやると回らなくなっちゃうので仕方ないところでしょう。その辺はあくまでコメディとして割り切っていいのかな、と。

MVA

さすがなかなかの芸達者たちを揃えているだけあって、皆さん良かったですね。ただ堺雅人はちょーっとオーバーだったかな、という気がします。力が入っていたかな、と。

荒川良々も稀有な存在感が良かったですが、まあこの映画はこの人かなぁと思います。

香川照之(コンドウ役)

当たり前ですが、記憶喪失時と通常時のギャップがイイ。やっぱりこの人は芸達者な気がします。

それと忘れちゃならないのが広末涼子で、まあ30代になってこんないい感じにほのかなエロスを身につけたのか、とたまりませんでしたね。いや、別にエロいシーンは一切ないんですが。なんかエロい。メガネのせいだな! きっと!

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