映画レビュー0123 『キサラギ』
ちょっと邦画が続いて(?)ますが、たまたまです。これは前から観たかったので。
ジャンルについては、ちょっとサスペンスっぽかったりコメディっぽかったりして悩みましたが、まあドラマって言っときゃ間違いないだろ、と。※と言いつつ結局サスペンスにしました。
あと余談ですが、この前初めてSafariでこのブログを見たところ、新しいウィンドウがザクザク出来て鬱陶しいこと極まりなかったので、ちょこちょこ同じウィンドウでのリンクに修正していきます。「こうしてくれ!」とかもしあったら遠慮無く言ってくださいませ。
キサラギ
芸達者がお送りする舞台劇。
ほぼ1セットで5人が喋っているだけの映画。
舞台と言い、一人の発言がやがて大きくなっていく設定と言い、原点は「十二人の怒れる男」っぽい感じもして、僕好みの内容でした。
脚本はさすが評価されるだけあって面白かったんですが、ただあまりにも展開の方向性が一緒なだけに、途中からもうパターンが読めてしまい、「ああ(この話は)こいつのことか」ってわかっちゃうのが少し残念でした。が、その残念さをカバーする主演5人の演技がすばらしい。これはキャスティングの勝利でしょう。
もうくどいほど言ってることですが、僕個人の考え方として、映画とテレビドラマには厳然たる壁があって、その壁を超えられない映画は映画として認められないような部分があります。 特に邦画はその傾向が強くて、どうも「映画に見えない」ことが多く、そのために邦画は敬遠傾向にあるんですが、この映画は「ちゃんと映画」していたと思います。どこがどう違うのか具体的に言えないのも問題なんですが、。
邦画なんかは、役者をバラエティなんかでも見る分より近いというか、素が見える部分があって、そこが映画への集中力に悪影響を及ぼしてる面があるのかもしれません。が、この映画はそういう懸念もなく、内容に集中できたし、逆に「映画だぞー斬新だろー」と煽るようなカット割とか演出もあまりなく、演技・セリフ中心の内容だったので、素直に観られたのがよかったな、と。
この前「ただ、君を愛してる」で書いたようなセリフ面での嘘くささも無かったし、その辺りもだいぶ上手な印象でした。
上に書いたような脚本の「読みやすさ」と、ラスト前の各々の回想シーンで少し安っぽく間延びした感じがしたのが残念でしたが、それでも久しぶりに邦画を観て「あー面白かった」と思えた作品でした。
このシーンがイイ!
すごい地味なポイントなんですが、家元がお菓子の「たこやき」の袋を拾い上げたシーン。
なんというか…シュールで良いシーンだったんですよねー。たこやきか! と。小道具でコメディリリーフ的な。
ココが○
まずオープニング。すごくかっこよかった。
やっぱり日本人として、邦画を観るときは「海外で観られたらどう思われるかな」って気にしつつ観るんですが、このオープニングを観たときに、これは海外で観せられるレベルの作品っぽいな! と期待が高まりましたね。
次に過去の映像が印象的でよかった。
ちょっと“狙ってる”映像っぽくはありましたが、「過去ですよ」とわからせる意味でもああいう演出はアリじゃないかと。うまく見せてましたねぇ。
ココが×
上に書いた「読みやすさ」と「ラスト前」を除けば、特には無いかな? 良い映画だと思います。
MVA
やー、これはほんとに悩みましたね。毎度ですが。今回は5人が5人、それぞれ良かったので。結果から言うと、
小出恵介(スネーク役)
にしようかな、と思います。
まずユースケは、イメージと違う役柄で良かったんですが、その分少しだけ他とレベルが落ちたかな、と。良かったですけどね。
塚地はかなり期待してた分、ハードルが上がっちゃったのと、他と比べて「いない時間」が長かったかな、と。その時間を覆すほどではなかったかなぁ。
残りの3人はもっと伯仲してました。香川照之はさすがの演技で文句無しでしたが、安定感ありすぎて除外。小栗旬は初めてちゃんと観ましたが、すごくしっかり演技してたと思います。ポジションに合った演技で。
が、小出恵介(こちらもちゃんと観たのは初)の軽さ、安っぽい人物像には勝てなかったかな、と。若干オーバーではあったものの、「ほんとにいそうだなコイツ」という面では彼が一番よく演技できてたと思います。
でもまあ、本音を言えば5人全員! って言ってもいいぐらい、みんなよかった。
[2017年追記]
そして時が経ち、彼は唯一の逮捕者となってしまったという。もったいないねぇ…。
僕が常々映画を観ては言っている、「男の失敗は必ずチンコから」を地で行く展開になってしまいましたね…。