映画レビュー1122 『さようなら、コダクローム』

ネトフリでオススメの映画を募ったところ、「好きそう」と言うことでオススメされたこちらの映画。今回もまだまだ配信中の作品です。

ちなみにどうでもいい情報ですが、今回からPS4ではなくプライムセールで購入したFire TV Stick 4Kで観てます。ただTVはまだ4K対応ではないので違いはまったくわかりません。

さようなら、コダクローム

Kodachrome
監督

マーク・ラソ

脚本

ジョナサン・トロッパー

原作

A・G・サルツバーガー

出演
音楽

アガサ・カスパー

公開

2018年4月20日 各国

上映時間

100分

製作国

カナダ・アメリカ

視聴環境

Netflix(Fire TV Stick・TV)

さようなら、コダクローム

素敵なストーリーではあるものの、すべてが読めてしまう悲しさ。

7.0
不仲で会っていない父が末期がんに侵され、最後の願いを叶えるべく共に旅へ
  • 世界的なカメラマンであり家庭を顧みない不仲の父が末期がんに
  • 看護師に請われ、また仕事上の打算もあって父の願いを聞き入れ、共に旅をすることに
  • 何から何まで読めてしまうベタなストーリーが評価の分かれ目
  • 自らの環境によって見え方が変わりそう

あらすじ

絶対好きなやつだと思って観たんですが、好きであるが故に本当にこれ以上無いぐらいに全部先が読めてしまい、「良い話なんだけど…うーん…」という感じであまり盛り上がりませんでした。

類似映画を知らない、初めてこういう映画に触れる状況だったら号泣していたかもしれず、慣れの弊害みたいなものを感じましたね。

ジェイソン・サダイキス演じるマットは音楽プロデューサーなんですが、明らかに時代に取り残されているようで…お抱えの売れっ子バンドとの契約を失い、まさにクビを宣告されるその時に今人気絶頂のとあるバンドを「うちの会社に引っ張って来られるかもしれない」と適当なことを言ってその場をしのぎ、なんとか首一枚つながったところに一人の女性ゾーイ(エリザベス・オルセン)が彼を訪ねてきます。

面識のない彼女をさっさと追い出そうとするマットですが、彼女は世界的なカメラマンであるマットの父・ベン(エド・ハリス)の看護師で、末期がんに侵され余命幾ばくもない彼の願いを伝えるべく彼に会いに来たとのこと。

その願いは、間もなく現像できなくなってしまう「コダクローム」のフィルムを現像するため、最後の現像所まで連れて行って欲しい、というもの。

ベンは家庭を顧みないクソ親父だったため、マットはしばらく会っていないし嫌っているので「他の人に頼め」と断りますが、ベンは他人は信用できないからお前が連れて行けの一点張り。

おまけにベンのマネージャー(デニス・ヘイスバート)から件のバンドに会わせてやるとの条件を出されたことで渋々受諾するのでした。

かくして不仲な親子+看護師の3人でニューヨークからカンザスまでの長いドライブ、どんな旅になるんでしょうか。

ドベタ中のドベタ

と言うことで定番の“不仲親子によるロードムービー”。ここに看護師のエリザベス・オルセンがいる点が少し他とは違うかな、と言うところでしょうか。相変わらずオルセンかわいいのが最高です。

タイトルからも、そして旅の目的からもわかる通り、クソチンコ野郎の父が死の間際に現像したい古いフィルムが何なのか…が一番重要なファクターになるわけですが、これがまあ…誰が観ても予想通りでまったくひねりがありません。

となるとピークはその次、これが終わった後なのでは…と思ったらしっかりこれで幕切れになるため、申し訳ないけどもう少しひねって欲しかったですね…。本当にそのまんま、しかもご丁寧に道中でヒントになるような発言までしてくれるので、「いくらなんでもそのままじゃないでしょ…」と思ったんですがそのままでした。

確かにその写真そのものはとても素敵で良い写真なんですが、とは言え「やっぱりね」のガッカリ感には抗い難く、もう本当にドベタ中のドベタなストーリーですよ。ぶっちゃけ。

そのフィルム云々を除いてもいろいろとベタであり、つい最近の映画でありながらよくこのまま行ったもんだなと思います。それぐらいにあらゆるシーンがおなじみの展開でした。

ただ、とは言えやっぱりグッと来る話ではあるんですよ。人生の最後になってようやく関係修復に乗り出す父親の姿と、少しずつ歩み寄る息子の図と言うのはほっといてもそれなりに良いものになるのは自明です。だからこそもうちょっとがんばれよとは思ったんですが。

そこにこの映画のオリジナリティを感じさせる看護師の存在をどう使うのかがセンスかなと思うんですが、これまたお決まりの展開になってしまい…いやはや残念。良い映画なんだけど。

ちょっと安直すぎると言うか、5割の力で書いた脚本に見えました。8割の力を出せばもうちょっと良いフックが出てきたんじゃないかと。

細かな部分は置いといて、プロットだけで言えば自分でも書けそうなぐらいに本当に超が付くほどのベタなので、「アナログへの懐古」的なフィルムカメラの持つ佇まいを除けば何も残らないぐらいにひねりがないんですよね…。

くどいようですが良い映画なんですよ?

良い映画なんだけど、でも実話でもない限りは「こうすれば良い映画になる」のは当然の要素ばっかりを配置しているので、そこを超える何かがないと想像以上の感情移入は難しいです。

すぐ泣くでお馴染みの僕でさえ、まったく泣けませんでした。「良いよね」とは思うけど涙は出ない、みたいな。やっぱりちょっと予定調和がすぎるかな…。

ただキャスティングは良いです。もうエド・ハリスがエド・ハリスっぽい役すぎてピッタリだし、ジェイソン・サダイキスもいつものコメディ感は少し引いて若干青さの残る中年役が見事でした。オルセンはかわいいからもうそこにいるだけでいいし。かわいいし。

読めても良いなら

ちなみに観た後に軽く調べたら映画評論家の町山さんが自らの父親と重なって号泣した、と言っていたので、やっぱりこれは自分と親、もしくは自分と子どもの関係性でだいぶ見え方が変わってくるのかもしれませんね。

逆に言えばそうでもない限りは予想通り過ぎてなかなか大きな感動にはたどり着きにくい気もするし、「親子で最後の旅に出るロードムービー」という外しようがない舞台にそのまますっぽり収まっちゃう“だけ”の物語だったのが本当にもったいない。

しかもフィルムにこだわった話なのにネトフリでしか観られない(劇場公開が無い)のも微妙な影を落とすとか落とさないとか言う話ですよ。完全デジタルやないか!

まあ散々腐しましたが、それでも良い映画であることには違いはなく、「読めたけどすごく良かった」と言っている人も多いようなので気になる方は観てみると良いかもしれません。読めるけどね。本当に。あらゆる流れが読めるけど。

最近インド映画付いているだけに、「これでもかとサービス精神を浴びせてくる」あの熱量とは対極とも言える予定調和映画は少し厳しかったのかもしれません。タイミング的に。困ったもんだ。

IMDbでは6.8、一方勝手に最高のインド映画の一つと思っている「ハッピー・ニュー・イヤー」は5.0。おかしいだろ!!

このシーンがイイ!

道中、フィルムカメラについて語るベンのシーンが良かったですね。

「デジタルで山ほど撮るけど現像しない、そんなものはデジタルの塵だ」みたいなことを言うんですが、確かにそうだよな、現像する写真はやっぱり別物だよな…と。

あとはドライブ中に少女を撮るシーンも(これまたベタなんだけど)すごく良い。笑顔で手を振るエド・ハリス。

ココが○

設定からしてズルいしロードムービー好きであれば一定の価値が感じられるのは間違いないでしょう。最近ロードムービー少ないし、そう言う意味でも作ってくれてありがたい。

ココが×

これはもう散々書いたように、すべてにおいて読める、予定通りの展開。ここまで全部が全部予想通りの映画は記憶にないぐらいに驚きがナッシング。驚きの驚きナッシングっぷり。

MVA

お三方皆さん良かったわけですが、この映画はもうこの人しか無いでしょうね。

エド・ハリス(ベン役)

末期がんの世界的に著名なカメラマンで、家族を顧みない父親。

激ヤセして余命幾ばくもない感じもすごく見事で、エド・ハリス歳取ったなぁ…って感じがピッタリ。役作りなら良いんだけど本当に余命短いんじゃないかと心配になるぐらい。

ただ快活で口達者な感じもいかにもだし、ファインダーを覗いた瞬間の“それっぽさ”も本当に見事。さすがですよね。

内容はとりあえず置いといたとしても、遺書代わりになるぐらいに素晴らしい演技だったと思います。

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