映画レビュー0822 『私が、生きる肌』

ネトフリ大量終了で選んだ2本目。

ずっと観たかった映画ではあったんですが、実は翌日に配信期間延長というまさかの事態で激怒しました。だったら他の映画観たよ!!

私が、生きる肌

La piel que habito
監督
ペドロ・アルモドバル
脚本
ペドロ・アルモドバル
アグスティン・アルモドバル
原作
『蜘蛛の微笑』
ティエリ・ジョンケ
出演
ジャン・コルネット
ロベルト・アラモ
音楽
公開
2011年9月2日 スペイン
上映時間
120分
製作国
スペイン
視聴環境
視聴環境 Netflix(PS3・TV)

私が、生きる肌

世界的に名が知られている形成外科医、ロベル。彼は自宅に一人の女性・ベラを軟禁していて、彼女を実験体に使って“完璧な皮膚”を作ろうと個人的に研究していた。顔までも彼によって変えられたベラは、彼の亡くなった妻と瓜二つなのだが…。

変態の道はかくも険しい。

8.5
天才外科医の“個人的研究”、その動機と結末
  • 皮膚から人間を作り上げようとする狂気の医者
  • 正直ド変態としか言えない
  • この物語考えた人頭おかしい(褒め言葉)
  • グロそうでグロくないので安心

どういう話か特に予備知識もなく観てですね、なんとなく「全身火傷をした女性が人工皮膚を移植させてもらって生き長らえるものの、医者に依存してしまったことで人間関係に〜〜〜〜」みたいなのを想像していたんですがまるで違いましたね。もうこれは衝撃的に違いました。

っていうかこんなの予想できねえよ!! ってレベルでサイコパスな話だったっていう。すごいわ。これは。

主人公はなんらかの学会でも登壇するほど形成外科界隈では有名な世界的な医師、ロベル(アントニオ・バンデラス)。彼は物語冒頭で人工皮膚についての研究成果を発表していて、「ラットを使った実験でも〜〜〜」的なことを言っていたんですが実は実験体はなんと生身の人間で、それが彼の家で軟禁されているベラという女性です。美人さんだなぁと思って観ていたんですがなんとこの前観た「ワンダーウーマン」のドクター・ポイズンだったという。びっくり。

彼女がなぜ彼の実験体として皮膚を移植されているのか、そもそもなぜ彼が彼女を選んだのか…は後々明らかになるんですが、これがまあ…斜め上なんですよ。まっさらな状態で予想できた人はすごいと思う。なので「先読みしたら興を削ぐかも」とか思わないでガンガン予想してもらいたいところ。

彼女はロベル宅で雇っている家政婦さん的なおばちゃんが言うには「亡くなった奥さんにそっくり」だそうで、どうやらロベルは亡き妻を求め、彼女を文字通り“改造”しながら「完璧な人工皮膚」≒妻をもう一度我が手に、みたいな感じなのかな〜と思って観るわけですが…あとはご覧くださいませ。

もう正直これ以上でもこれ以下でもないので特にこの映画について語ることもないんですけどね、まあなんというかね…ド変態なんですよね。もう。このロベルが。

それはそっくりそのままベラがどういう経緯で彼の家に来て“改造”を施されているのかのネタバレになっちゃうのでもちろん書けないんですが、しかし…いやここまでするかと。知識と金と腕、そして引き金となる出来事があるとこういう方に行っちゃう人、実際にいるのかなぁ。すごい話ですよ本当に。

知識としてこういうものがあるというのは当然知っていても、「いやでもそれここで使う!?」みたいな。ある意味ではイっちゃってるし、ある意味ではサイコパスだし、至って優秀で(多少気難しそうではあるものの)ダンディなお医者さんだと思っていたらこんなド変態だったのかよっていうね。

最初は「完璧な人工皮膚を完成させるため」に一人の人間を「医療のために犠牲になってくれ」的に利用している狂気の医師だと思っていたんですが…ちょーっとそういう話でもなくてですね。まあ観てねとしか言えないんですが…頭おかしいんですよこの男。絶対。

正直、ドラマとかサスペンス的に考えれば「それちょっと頭悪すぎない?」みたいな展開もあるんです。詰めが甘いというか。

普通であれば登場人物の詰めの甘さ=物語の詰めの甘さで、「うーん、ちょっと話としてはイマイチだな」みたいに感じるんですが、ところがどっこい主人公がもう世界でも指折りの天才かつ変態のためにその辺が気にならなくなるという不思議。「まあ変態だもんね」でなんか整合が取れちゃうんですよ。これは盲点でした。

僕もそれなりに自分は変態だぜと自負していたんですが、この映画を観て変態の頂の高さに身震いしましたね。まだまだ一合目、登山開始して間もないレベルでしか無かったですよ。ただこうはなりたくないけど。

一応家族の話とかも出ては来るんですが、あまりにも主人公の価値観が強烈過ぎてそれ以外はもう箸休めにもならないというなかなかすごい映画でした。

それなりに性的な要素は出てくるし、割と受け止める側にそれなりの度量と言うか…突飛な話すぎて理解できなくならない程度には大人じゃないと難しい映画じゃないかなーという気はしましたが、しかしまさに唯一無二のお話で面白かったです。ホントこの話考えた人頭おかしいわ。

私が、ネタバレる肌

ベラの由来を知って衝撃を受けたあと、「でもそのあと何らかの理由で記憶無くしたんでしょ?」と思ってたら記憶は普通に残ってた、っていうのがまた驚きました。ロベルバカじゃないの!? そりゃそうなるでしょ!? って。

でも変態だともうそういうところまで頭回らないんだよねわかる、みたいな謎の納得感。

真面目に考えると、やっぱりごくごく単純な話ですが「見た目の影響は大きい」ということなんでしょうね。

中身が別人(ビセンテ)なのはわかってるし、深入りすると危険なのもわかりつつ…でも見た目が美人、しかもそれはかつて(裏切られつつも献身的に介護した)愛する妻であると。その上ベラは「一緒に普通に暮らそう?」なんて過去の経緯も水に流してあなたのために生きますよ的なフリも効かせてるわけじゃないですか。

となると「ダメだ」と思いつつ油断しちゃう、っていうのもまた人間の性なのかなと。

多分ロベルは撃たれた時は「チキショーやっちゃったーそうだよねそうだよね」ってわかってたと思うんですよね。でも自分が望む、期待する方に現実を合わせようとするのもまた人間じゃないですか。

傍から見てればフラグ満載のギャンブルとかでも、本人はやっぱり「今までの負けをこれで取り戻すんだ!」って信じて突っ込んじゃうじゃないですか。でもそんなの絶対負けるじゃないですか。

パッと見(観客からすれば)ロベルはかなりお粗末な手順を踏んでいるように見えるんですが、実際はそういう当事者と他人の認識の違いみたいなものがこの結末を生んだのかな、という気がします。本人も半分はわかりつつ、もう後戻りができないレベルに自分の感情が“奥さん”に向かっちゃったんでしょう。

そういう人間の性的な意味でも面白かったですね。変態過ぎるが故に可視化される性みたいな。

このシーンがイイ!

そうですねぇ…ちんこ的なアレを並べるシーンですかね。シュール過ぎてもう。

ココが○

オリジナリティという意味ではかなりのものだと思います。こんな話聞いたこと無いし、強烈過ぎてもう似たようなのも作れないし。一見の価値アリでは。

それと少し「皮膚移植」とかサスペンス的な雰囲気から、「この後グロいのいきなり来ないかなぁ…嫌だなぁ…」と思いつつ観ていたんですが、グロいシーンは皆無でした。なのでそっちの方が心配な方もご安心。ただちょっとエロい部分はあります。ベラのおっぱい綺麗だし。

ココが×

少し詰めが甘いように見えるお話ではあります。ただ変態だから許せちゃうのと、ネタバレ項に書いたようにある程度納得の行く部分ではあったんですけどね。

それと話として本当に突飛なものなので、もしかしたら嫌悪するような人もいるかもしれません。割と人を選ぶ映画のような気はします。

MVA

いやぁ久しぶりに観ましたがアントニオ・バンデラス、すっかりおっさんになりつつもさすがのイケオジっぷりでなかなか変態が似合ってましたね。っていうかアントニオ・バンデラス自身も絶対変態だろ!!(風評被害)

皆さん問題なくとても良かったんですが、となると自動的に目の保養チョイスになります。

エレナ・アナヤ(ベラ・クルス役)

ロベルに監禁されている人工皮膚の女性。

時々ハッとするぐらい美人なんですよね。そしておっぱいが綺麗なんですよ。これだいじ。

でも「いえーいおぱーい」なんて喜んでいられない罪な映画でした。その辺のミステリアス感含めて良かったんじゃないでしょうか。

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