映画レビュー0407『ラルジャン』

三日坊主になると嫌だったので黙っていましたが、実は5月半ばからランニングをしておりまして、半年以上続いたのでそろそろ言っちゃおうかなと。

学生時代、特に小学生の頃なんてマラソン大会というと最下位が定位置だっただけに、徐々に距離を伸ばしつつ、この暑い中自主的に走るようになるとは自分でもビックリ。

もしもこのブログをご覧になっている奥様のお子様が「走るのヤダー」とかダダをこねててもそんなに心配ないぜ、という情報です。

ランニングの何がいい、って心地よい疲労感と「俺がんばった感」ですよね、やっぱり。体型はそれほどではないですが、地味に締まってきているようにも見えます。が、土日はドカ食いするので週末戻しておしまいな感じですね。

ラルジャン

L’Argent
監督
ロベール・ブレッソン
脚本
ロベール・ブレッソン
原作
『にせ利札』
レフ・トルストイ
出演
クリスチャン・パティ
カロリーヌ・ラング
バンサン・リステルッチ
マリアンヌ・キュオー
音楽
公開
1983年5月18日 フランス
上映時間
83分
製作国
フランス

ラルジャン

ある少年が借金をしている友達の元へ返せないと伝えに行くと、一枚の偽札を渡され、「これでお釣りをもらえばいい」と唆される。企ては成功し、騙されたことに気付いたある店の夫婦はそのお札を別の店で使い、その店の従業員だった男・イボンが偽札であることに気付かずに食堂の支払いに使ったところ告発されてしまい、弁解も虚しく解雇されてしまう。

嗚呼、堕落。

7.5

普通に暮らしていた一人の男が、まったく無関係の偽札を掴まされたことで転落していく人生を追った物語。もちろん原作は未読でトルストイ自体まったく詳しくありませんが、「トルストイ原作」と言われればははーんと納得できるような文学的な映画でございました。

こういう「ちょっと歯車が狂ったお陰で取り返せない転落を味わう人間」の話は映画のテーマとしても珍しくないですが、個人的にも嫌いではないです。ご多分に漏れず後味もあまりよろしくはないので、そういう気分じゃない時は観ないことをオススメします。

映画そのものとしては、(そんなに詳しくはないですが印象的に)80年代のフランス映画らしく、まあとにかく地味です。普通の人々を描き、言ってみればお金のかかっていない映画ではありますが、その分リアルでもあるオトナ向けの映画という印象。さらに地味である上に演出(というか編集か)もやや拙い印象で、撮影前後のモーションがチラッと残ってたりするのがちょっと気にはなりました。役者陣もごくごく普通であまり抑揚のない演技のため、正直かなり退屈な映画ではあります。

全体的にテンポよく話は進みますが、いかんせんかなり地味なことと、登場人物が魅力的という話でもないだけに、「クソつまらん」と言っちゃう人が出てもおかしくない、観る人を選ぶ映画と言えるでしょう。

ただ…こういう映画ってやっぱりなーんか引っかかるんですよね。印象に残るというか。少し「懺悔」と似た感覚を覚えました。

決して「面白い! ブラボー!」という映画ではないし、じっと画面を見つめて息が詰まるような思いをする映画でもないんですが、ちょっと嫌な部分に刺さってくるような感じなんですよね。

堕落していくという部分もそうですが、やっぱり誰もが巻き込まれてもおかしくない内容でもあるし、巻き込まれた後になぜ主人公はそうなって行ったのか、どこかで歯止めがきかなかったのか…とかいろいろ考えるとやるせなくなる、その感覚が「刺さる」ような。これは自分がネガティブだからそうなのかもしれません。

ネガティブ代表としては、自分が同じ立場に立った時、自暴自棄に陥って同じように堕落していく可能性を感じなくは無いので、そこに自分を投影しやすかったのかもしれないですね。

底抜けに明るいポジティブ君なら、「アホくさーこんなんさっくり忘れてやり直せばええやん」で終わっちゃうかもしれません。そういうことを考えると、後味の悪い映画っていうのはネガティブな人のほうが、嫌だけど心に残る、思わず観ちゃう映画なのかもしれないですね。

最終的になぜそういう決断をしたのか理解できない部分はありましたが、これはきっとたまたま不幸に見舞われた人物が、普通に暮らしていれば表面化しなかったはずのものを表出させられた、ということなんでしょう。(ややネタバレ気味になるので、曖昧に書いてます)

自分はそういう道を選ばないと思いますが、同じ環境に追い込まれればそうなってしまうかもしれない、という気もするし、そういう「まだ見ぬ自分」を覗きこまれたような気持ちの悪さみたいなものもまた、こういう映画特有のものでしょう。

オススメはしませんが、気になる方は観てみるといいかもしれません。

[2017年追記]

なーんかこの映画、すごく印象に残ってるんですよね。ラストシーン含め、2〜3シーンも鮮明に記憶に残っていて。

今回移転に伴ってレビューをすべて読み直してはいるんですが、すっかり忘れている映画もかなり多い中、これぐらい印象に残っている映画というのは珍しいというぐらい、覚えています。

なんなんだろうな、この映画の残り方って。上に書いている通り、決して面白かったぞって映画ではないんですが…棘のように残るお話でした。

やっぱり普通の人が堕ちていく話、っていうのは「ああなったらまずいぞ」と戒めとして残りやすいのかもしれない。でもどうせならモテ男の立ち居振る舞いを残して欲しい。そんな俺の脳さ。

このシーンがイイ!

このシーンがいい、っていうのは特に無かったんですが、強いて言えば…やっぱり枕元のライトのシーンですかねぇ。やっぱり映像とか演出面では拙い感じがあったんですが、それでも展開を考えるとしんどいな、と。

ココが○

いつものごとく、ですが、上映時間の短さは非常に○。特にこの手の重い映画は長いと本当にしんどくなるので、サクッと進めてささっと言いたいことを見せる、っていうのはヨイです。

ココが×

とにかく地味。

その上映像や演技にやや素人っぽい雰囲気がある映画なので、合わない人はとことん合わないと思います。観ようかな、という人もある程度覚悟を決めてというか、外すかも、というつもりでいた方が良いような気がします。

MVA

役者陣もかなり地味で、はてどうしたもんか、という感じですが…。まあ消去法でこの人かな…。

クリスチャン・パティ(イボン役)

被害者であり、加害者でもある主人公。

しっかり観ると割とキリッとしたイイ男っぽかったりするんですが、でも悪そうな雰囲気もあるという。なかなかのキャスティングじゃないでしょうか。という割と適当なコメント。

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