映画レビュー0146 『ラースと、その彼女』

周りで割と評価の高い映画だったので借りてみました。設定的に他人事とは思えません。

ラースと、その彼女

Lars and the Real Girl
監督
クレイグ・ガレスピー
脚本
ナンシー・オリバー
出演
ポール・シュナイダー
ケリ・ガーナー
音楽
デヴィッド・トーン
公開
2007年10月12日 アメリカ
上映時間
106分
製作国
アメリカ

ラースと、その彼女

優しくて街のみんなに好かれている青年・ラース。ある日、シャイな彼が兄夫婦に紹介したいと女性を連れてくるが、その女性は“リアル・ドール”だった。

リアル・ドールよりリアル・ガール。

6.0

ジャケットからしてインパクト抜群(それがわかる画力がない悲しさ)の映画ですが、悪ふざけではなく、割とちゃんとしたドラマです。

いい男なのに、好意を寄せてくれる女性とうまくコミュニケーションが取れず、周りに心配されるラース。やがて彼が“リアル・ドール”を彼女として紹介することで、周りから病気だと認識されるわけですが、その病気の彼を見守っていく周囲の優しさで精神的に成長していく、という物語です。

まずこの設定が悲しい。何が悲しい、って他人事じゃない。

「またどうせネタで書いてんだろ」と思われそうですが、冗談抜きで自分の中では結構深刻なので、(自分がいい男かどうかは別として)彼女がいない=ゲイなのかと疑われるシーンなんかはもう(オープニングなのに)泣きそう。

最近(2017年現在)だと「恋人作らないのはアイドルだからなの?」みたいな。うるせーよと。

でもあの「言われる側の悲しさ」が理解できる自分がまた悲しいというか。僕もいつ、こんな妄想に囚われないか、本気で自分が心配です。

ただ変な話ですが、観賞後にちょっと調べてみたところ、“リアル・ドール”って日本では60万とかするらしいです。これじゃあ妄想にとりつかれたとしても買えません。それもまたある意味悲しいけど。

僕の勝手なイメージでは、こういうやつは風船的なもので、タバコの灰が落ちたらしぼんじゃったよ、みたいなやつなのかと思ってましたが、どうもラースが買ったものは高級志向で肌の質感とか本当にリアルらしいです。にしても60万って…。まあ、あんまりちゃんと調べると欲しくなりそうなのでやめましたが。

無駄話が長引きました。

総評としては、正直なところ、耳に入ってくる周りの評価ほどのものではなかったです。これはもう、テーマ勝ちというか、すごい素材でドラマを作った企画の勝利という感じがします。

物語全般を辿っていくと、テーマの一つとして「女性とはなんぞや」、ひいては「母性とはなんぞや」という話が中心で、さりげなく「女性っていいでしょ」という物語になってると思うので、ある意味では女性向きの映画な気がします。

ラースのことを一番気にかけてくれる理解者は、兄の奥さん。病院の先生も女医さんで、すごく優しい。ラースにアタックしてくる女の子もかわいくて優しい。ビアンカの髪を切ったり、働いて欲しいと頼んだりする人たちも女性。喧嘩直後にラースを慰めに来た人たちもみんな女性。

「ラースと、その彼女」を見守る人たちはほとんどが女性で、みんな理解があって、優しい。「ラースにリアルガールの良さに気付いてもらうため」に(演出上)世話を焼いてくれる人たちを女性にすることで、「女性っていいよね」という女性賛美の内容になっていたように思いました。

ただ、前に観た「チャンス!」のような、「女性は男性よりも種として優れている」というような、ある意味で女尊男卑的な女性賛美が根底に流れているというわけではなく、役割として女性はこういう部分があって、その良さがあるからこそ男性も成長できるんですよ、というような、まさに母性を語るような女性賛美と言いますか、男女の根元的な違いに根付いたものだったと思うので、鼻につくようなあざとさもなく、価値観として素直に受け入れられるものだったと思います。

「男はみんなマザコン」なんて言いますが、そう言う意味では男性向きかも。

アレ? 結局どっち向き?

どっちにしろ、実はキワモノ的な内容ではなくて、とっかかりを特殊なものにした至って真面目な人間成長物語かな、と思います。

ただ、僕個人としては、さすがにここまでみんな親切ではないでしょう、という悪い意味での醒めた目線が前に来ちゃったので、ベタ褒めするような映画ではないかなー、と感じました。

このシーンがイイ!

割と序盤ですが、カリン(兄嫁)がビアンカのスカートを覗くところ。あっちのこういうのは本当にリアルらしいです。

ココが○

特に何が良かった、というのもないんですが、素材の割に非常に真面目な映画なので、ある意味では見やすいし、「お決まりの成長物語」みたいな映画(どんなのか浮かばないけど)がダメな人でもしっかり観られるんじゃないかと思います。

ココが×

これも特に何がダメ、っていうのはないので、割と万人が観られる映画だと思いますが、さすがに小さい子に「リアル・ドールってなに?」って聞かれると困るぜ、っていうのもあると思うので、その辺のファミリーは家族的にどうしようか考えつつ自己責任で観てください、ということで。

MVA

みんな優しい感じですごくよかったと思いますが、一人挙げるなら

エミリー・モーティマー(カリン役)

ですね。

兄嫁なんですが、優しくてかわいらしい感じがすごくよかった。

今回は最初に観て気付きましたが、見た目一緒でも内容が全然違うだけに、あのシャッター アイランドの怪しい失踪女性とは全然違った印象で。日本人で言うとYouっぽかったですね。どうでもいいですが。

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