映画レビュー1439 『バッド・バディ! 私と彼の暗殺デート』
またしょうもない映画っぽいな…と不安になりつつ、主演の2人が良さげだったので観てみることにしました。例によってアマプラ終了系です。
バッド・バディ! 私と彼の暗殺デート

2人とも狂ってるのが良い。
- ちょっと狂った一流の殺し屋彼氏と、そんな素性を知ってドン引きする彼女だが…?
- 彼女は彼女で狂ってる、狂った2人の狂ったラブコメアクション
- 何も考えずにただ観るのにオススメなお気楽イコライザー
- 主演どちらもイメージぴったり
あらすじ
「またこのパターンかよ」系かと身構えていたんですがこれが思いの外面白くて良かったです。フツーに楽しめる気楽なコメディ。
自分のいる部屋に浮気相手とイチャイチャしながら入ってきた彼氏を豪快に振ったマーサ(アナ・ケンドリック)は付き合う男がこの手のダメ男ばかりでお悩み中。
そんな彼女に声をかけてきた男、フランシス(サム・ロックウェル)は「今までの男と違う!」ってことで順調に交際を進めることに。
しかし彼の正体は伝説の殺し屋であり、なおかつ「殺しは良くないことだから殺しを依頼してきた依頼人を殺して未然に防ぐ」ことを信条としているというちょっとおかしな殺し屋です。
彼はマーサとのデート中に命を狙ってきた男に対し「一旦外で」と連れ出してサクッと殺害し、マーサに「遅かったけど何をしてたの?」と聞かれれば「男殺してた」と正直に答えるんですが当然信じてもらえずジョークとして受け取られてたりします。
ある日マーサを連れてドライブした後に依頼人と会ったフランシスは「ちょっと待ってて」と彼女を車に待たせたまま交渉へ行き、そしてまた殺したところをマーサが目撃、当然ドン引きで「別れる!」となるわけですが、しかし本気になっていたフランシスは彼女を説得しようとコンタクトを試みまして…あとはご覧くださいませ。
明るいイコライザー
例によって邦題が安っぽくてクソなんですが、その安っぽさで損してるなと思うぐらいにはちゃんと面白い映画で一安心ですね。
この邦題からするとアナケンがメインっぽく見えますが、原題の「Mr.Right」はサム・ロックウェル演じるフランシスのコードネームなのでどちらかと言うと主人公はフランシスの方だと思います。ダブル主演ではありますが。
で、フランシスの方は「超凄腕の殺し屋なものの凄腕すぎて簡単に人を殺しすぎる」(ただし相手は大体同業者で一般人を手に掛ける描写は無し)ような狂人的側面があり、マーサはまーた変な彼氏捕まえちゃったのね…と思いきやマーサの方もなかなかおかしいところが散見され、要はどっちも狂ってるから殺しまくっても悲壮感とか罪悪感が無いよね、といういかにもコメディっぽいお話ではあります。
ちょっと思ったのが、フランシスはあまりにも実力上位すぎて殺しも楽々こなしているだけに「明るいイコライザー」っぽいなということ。言い換えればコメディタッチのマッコールさん、みたいな。
それでも多分直接対決したらマッコールさんが圧勝しそうだけど。
まあこの手の映画のご多分に漏れず、内容はあってないようなものなので特段語ることもないんですが、ポイントとしてはやっぱり「どっちもおかしい」点が大きい気がしますね。
多分フランシスがおかしいだけならそこまで面白くならなかったんじゃないでしょうか。
「殺し屋であることが発覚」した直後こそドン引きして別れようとする一般的な感覚を持った女子のように見えたアナケンも、なんだかんだ惹かれているので諦めきれない感じが「ええ…?」とこっちもちょっと引いちゃうような若干のおバカ感があり、徐々にノリノリになってきてしまう辺りなかなか強烈。
かと言ってそれもまったく説得力が無いのかと言うとそういうわけでもなく、ある種特別な環境に放り込まれちゃったがためにそっちに移行していく感じもなかなか悪くないシナリオで、深さは無いですが全然楽しめる良いシナリオだと思います。
一方でフランシスを追い続けるかつての相棒もなかなかいい設定&キャラではあるもののあまり活かしきれていない印象もあり、そこがちょっと惜しいかなと。
ファンなら観てもいいのでは
上映時間も100分行かない程度の短さで観やすいので、まあ暇つぶしとして観るには全然良い映画でしょう。すぐ内容忘れそうでもあるんだけど。
ただ狂っているとは言え余裕綽々で次々と殺していくサム・ロックウェルは今まで観たサム・ロックウェルの中でもトップクラスにかっこよかったので、サム・ロックウェルファンとしても観ておいた方が良い映画かもしれません。
アナケンはいつものアナケン。でもこういう役はやっぱり似合う。
ということで主演2人が好きであれば観て損はないんじゃないかな、と思いますがどうでしょうか。
このシーンがイイ!
エンディング結構好きですね。続編あってもおかしくなさそう…ですが興行収入が激コケっぽいのでないでしょう。Wikipediaの数字が正しいとすれば回収率5%弱ですよ? ここまでコケてる映画見たこと無い気がする…。
ココが○
何も考えずに楽しめるところ。酔っ払って観るぐらいがちょうどよさそう。
ココが×
何一つ得るものはないところでしょうか。厳しく言えば本当に暇つぶしでしかない。
MVA
いくら激コケしたとは言えさすがに皆さんスターなので文句はなく。しかし選ぶならやっぱりこの人ですかね。
サム・ロックウェル(ミスター・ライト/フランシス役)
主人公の殺し屋。ちょっとおかしい。でも実力ありすぎるとこうなっちゃうのかも。
余裕綽々で本当にかっこいいんですよね。そしてそれがまた似合う。
本当にサム・ロックウェルは芸達者だなーと思います。「スリー・ビルボード」みたいなどうしようもないダメ人間も上手いし。