映画レビュー0724 『ナイト・アンド・ザ・シティ』

今回もBS録画より。

90年代の映画ですが、予告の番宣で「80年代っぽい映画」の雰囲気がプンプンしていたので楽しみにしていたのですが…!

ナイト・アンド・ザ・シティ

Night and the City
監督
アーウィン・ウィンクラー
脚本
リチャード・プライス
出演
クリフ・ゴーマン
アラン・キング
バリー・プリマス
音楽
公開
1992年10月16日 アメリカ
上映時間
105分
製作国
アメリカ
視聴環境
BSプレミアム録画(TV)

ナイト・アンド・ザ・シティ

許認可申請や示談金狙いで日銭を稼ぐ三流弁護士のフェビアンは、興行会社を設立することで“夢のボクシング興行”を開催できると知り、街の興行を一手に担う実力者“ブンブン”の妨害にも屈せず金策に走るのだが…。

えー!! 久々やらかし系にうなだれ度100%。

3.5

元は1950年に公開された「街の野獣」というイギリス映画のリメイクらしいんですが、あちらは未見ながらフィルム・ノワールらしいのでこの映画とはだいぶ違う印象ではないかと思います。こちらはややコメディタッチのヒューマンドラマ…になるのかな。恋愛含みのヒューマンドラマという…まあこの頃に割とよくあるタイプの映画です。

主人公のハリー・フェビアンはイチャモンを付けては賠償金をむしり取るような、いかにも安っぽい仕事を請け負う三流弁護士。ただ彼の事務所に訪れる人たちが軒並みマイノリティっぽいところを見ると、なんだかんだ言っても弱者の味方的な雰囲気もあり、割と良い奴そうな気はします。

その彼はどうも「かつて街で頻繁に行われていたボクシングの興行を復活させる」のが夢らしく、割と手軽に会社を起こして興行主になれるということを知り、「ついに夢が叶うぞ!!」とばかりに会社を起こして興行を開催しようとしますが、かかる費用がバカにならない上にお金もない。そこであらゆるツテを頼って金策に走り、なんとか夢を叶えようと奔走するお話です。

そこにマフィア的な街を仕切る大物“ブンブン”や、フェビアンの友達でバーを経営するフィル、さらにそのフィルの妻でフェビアンと浮気関係にあるヘレンたちが絡みつつ、はてさてフェビアンの夢は叶うのか…! と。

フェビアンが一番頼りにしているのは友人のフィル、でもフィルの奥さんと不倫もしているという不穏な状況に、フェビアンが興行を開催することを良しとしないブンブンと言った面々がうごめく展開はなかなか先が読めず、最後まで引っ張ってくれてそこそこ楽しめる部分はありました。

ですが…!

その決着の付け方、結末がどうしようもなくクソで、まあもう久しぶりにやってくれたなと。ここまでスカッと「うわークソだなこのエンディング!!」って思ったのは久しぶりですね〜。参った参った。

主人公を演じるロバート・デ・ニーロはちょっと楽しそうなぐらいで生き生きと軽快に演じていたので、これはきっと良い映画に違いない…! と期待が膨らんだ面も良くなかったのかもしれません。どうしても「ミッドナイト・ラン」的な良さを期待しちゃう部分があって。

しかしねー、この引っ張って引っ張っての終わり方はヒドイ。さすがに例のクソ映画ディナーラッシュと比べればまだ多少なりとも道中を楽しめたから良かったようなものの、しかし終わりのクソっぷりはなかなかのもので正直驚きました。「名作です」ばりに紹介していたBSの番宣はなんやったんや、と。

どこがクソだったのかを書くとネタバレになるので書きませんが、はっきり言ってオススメはできません。デ・ニーロファンでもそれこそミッドナイト・ランを10回観た方が良いと思う。

相手役のジェシカ・ラングもなかなか良かっただけに…とても残念ではあるんですが。久しぶりにド外しした感じで気持ちがいいぐらいにクソでした。どうもありがとうございます。

ナイト・アンド・ザ・ネタバレ

浮気を知ったフィルが「当日貸す」と言いつつ貸してくれない、ここまではまあ予想通りでしょう。結局街金的な知り合いに借りる、これもまたなるほどそうするしかないよね、と。

アルが死んでしまい、ブンブンから狙われることになる、これもまた前フリ通りでわかります。そして撃たれるフェビアン。「えっ! 死んじゃうってオチ!?」と思ったらその後すぐにベラベラ喋ってエンドロール。えーーーー!!!

結局ボクシングの興行は完全バックレ、借りた金もバラまいて借金だけ残って無一文、そこになぜか寄り添い続けるヘレンがいて良かったね…ってなエンディングなんでしょうか。全然良くねー!!

ここまで綺麗さっぱり(しかも散々自分の夢だと語っておいたものを)開き直ってガン無視を決め込む映画は初めて観ました。ちょっとオチがひどすぎやしませんかね…。何一つ解決していないし、何一つ男として憧れるようなこともしていない。まるで中学生のようにすべてを放り投げてちょっとほっこり感漂う雰囲気のエンディング、ってひどすぎる。

マジで声出しましたからね。「えぇ!? 終わり!?」って。家で。マイルームで。これは参った。

こんな映画に出てたらロバート・デ・ニーロのブランドが傷ついたんじゃないのか、ってちょっと心配になりました。昔だから良いんだけど。とにかくひどかった…。

このシーンがイイ!

デ・ニーロの三流弁護士ぶりはなかなか見どころだとは思います。「全部芝居だよー! ワハハハハー!」みたいなところとか好き。

ココが○

中盤はなかなか先が気になる良い引っ張りっぷりを見せてくれるので、決着の付け方を度外視すれば、そこはまあ悪くなかったと思います。

ココが×

終わりがクソすぎることを除けば、もう一点すごく気になったのは画質。当時の映像をそのままに流したんだろうとは思いますが、それにしてもかなり映像がボケボケでした。段々慣れては来るんですが、オープニングのボケっぷりたるや相当なもので、正直「これ最後まで観る気力が保つんだろうか…」と不安になるぐらいになかなかひどい映像でしたね。

MVA

いつものごとく、評価が低い映画は誰でも良い説はあるわけですが、まあ一応は。

ロバート・デ・ニーロ(ハリー・フェビアン役)

主人公の三流弁護士。

こういう役柄は結構珍しい気がするし、デ・ニーロファンとしては観ておいてもいい…かもしれないけどオススメはしません。久々にこの頃のデ・ニーロが見られて嬉しかったんだけどなぁ…最初は。

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