映画レビュー0621 『アウトブレイク』

BS録画より。

それ以外に書くことがなくなってきました昨今。お元気ですか。

アウトブレイク

Outbreak
監督
脚本
ローレンス・ドゥウォレット
ロバート・ロイ・プール
音楽
公開
1995年3月10日 アメリカ
上映時間
127分
製作国
アメリカ
視聴環境
BSプレミアム録画(TV)

アウトブレイク

アメリカ陸軍でウイルス研究を担当するダニエルズ大佐の元に、「ザイールのモターバ川流域の村で発生した出血熱を調査しろ」という司令が下る。現地調査の結果、危険性が高いと判断した彼は、軍上層部に警戒令の発令を進言する。「病原体がアメリカに来ることはない」と彼の進言を聞き入れなかった上層部だが、その裏では病原体を持つ猿がアフリカから密輸入されていた…。

帰結の仕方は若干残念なものの、テーマは古くならず、まあまあ。

5.5

約20年前の、文字通り「アウトブレイク」を描いた、致死率の高い(100%)伝染病と戦う人たちの映画。ウイルスは架空の「モターバ・ウイルス」と言われるものでしたが、実際はほぼエボラ出血熱をモデルにしていると思われ、記憶に新しい、一昨年から去年ぐらいに流行したアフリカのエボラ出血熱が、まさにアメリカ本土に上陸した恐怖を描いているようなストーリーになっています。おそらく、この映画の時代と現代とでは病気の広がり方もスピード感がまるで違うと思うんですが、しかし何せ最近そういうことがあっただけに物語のベースとしては非常にリアルで、古くならない怖さを持った物語と言えるでしょう。

主人公は陸軍でウイルス研究を行う医師、サム・ダニエルズ大佐。印象としては医師というよりは研究者に近い感じでしょうか。そして彼と最近別れたばかりの同職の元妻・ロビーと、ダニエルズの部下のケイシー&ソルト、そしてダニエルズの上司であるビリー、さらにビリーの上司であるドナルドが中心となって展開します。

この物語の前日譚というか、伏線としてこの舞台から30年近く前に同様のウイルスを同様の場所で発見、感染したアメリカ軍兵士たちを血液採集の後に皆殺しにしたというエピソードがあり、後はネタバレ回避でごっそりと以下略しますが、そういう前日譚絡みで後半は軍内部のアレコレに焦点が移っていくため、タイトル通りの「伝染病との戦い」を期待するとやや肩透かしを食らうかな、と。

序盤はなかなか面白くなりそうだなと観ていたんですが、生きるか死ぬか、助けることが出来るのか…という焦点から、次第に人間関係とかしがらみとか命令系統とか、結構観ている側としてはどうでもいい戦いに突入していくので、後半はかなりもったいないなぁという気がしました。

もっと言えば、序盤で思いっきりわかりやすくフラグ立てをしてくれた夫婦関係についてもお決まりの展開を決め込んでくれるので、結果最後まで観ると「ああ、この頃よくあるパターンだね…」と一気にお腹いっぱい感に襲われる、という“残念ハリウッド”のお決まりのような映画で終わっていってしまったのが非常に残念。

ワタクシ、エンディングを観てすぐに「ツイスター」を思い出しました。ホントあんな感じ。今調べたらあれは1996年の映画。ほんとーにこの頃のハリウッドってこういう展開ばっかりだった気がしますね。統計を取ったわけでもないんで超印象論なんですが。オープニングにうまく行っていない夫婦が出てきて、危機を乗り越えてヨリ戻ったで、みたいな。もうほんとこういうのいらない。

まあ、時代が求めていたような側面もあったんだと思います。「シン・ゴジラ」よろしく、今はそういう余計なドラマが求められてない時代で、その立脚点から観るとうんざりしちゃう、っていうのもあるのかなぁとは思いますが。

しかしテーマが古くならないものなだけに、夫婦のアレコレやら軍内部のアレコレやら、ちょっと時代に迎合する内容のせいで逆に古くさせちゃってるのがもったいないな、と今観ると思います。ちなみに軍内部の話に関しては「クリムゾン・タイド」をちょっと思い出したんですが、調べたらこれも1995年の映画。ほんっとこの時期ってこういう映画が多かったんでしょうね。(ただ「クリムゾン・タイド」は名作だと思ってます)

最も、一時代を切り取れば「この頃アメリカン・ニューシネマばっかだな」みたいな時代もあったはずで、結局はその時代に流行っていた物語のパターンが好きか嫌いかの違いでしか無い、のかもしれません。ただもうほんとにこの90年代のフォーマットは、もうあらゆる創作物にフラグとして取り入れられすぎているので、そういう面でまったく目新しさがないし、「ああこのパターンね、はいはい」と飽き飽きとしちゃう、絶妙に「よく知っている古さ」を纏ってしまっている点が、この2010年代から観るとしんどいところなんでしょう。

この辺はもしかしたら、僕の年代的な問題で「これ(昔から)よく観るパターンだなー」と思いがちなのが1990年代の物語、という見方もできるかもしれません。多感な時期によく見た展開がこの頃の話に多かった、みたいな。だから年代によってはベタに感じる展開が違うのかもしれないですね。

そんなわけで、今観てもなかなか豪華キャストだったりもするし、素地は良かっただけに「もう少し」と欲が出ちゃう感じで、まあまあ面白かったんですが、やっぱりもったいないなぁという思いが強く残りました。

ネタバレイク

大した話じゃないんですが、この映画でのケヴィン・スペイシー

彼にしては珍しく普通の人で、ちょっと軽口を叩く若手研究者的なポジション。そしてまさかのヌルプレイにより途中でお亡くなりになる…というケヴィンウォッチャーからすればかなりレアな姿を観ることができます。

ちなみに「ケヴィン・スペイシーらしい怖さ」で言えば、Netflixオリジナルドラマの「ハウス・オブ・カード」シリーズがなかなか強烈なので、もし機会があったらぜひ。

このシーンがイイ!

強いて言えば、大統領補佐官が出てきた1シーン。懐かしのJ・T・ウォルシュさんが熱弁を振るっています。いいですね~。ノンクレジットみたいですが、あのアツい演技。最高じゃないですか。

ココが○

キャスティングは良かったと思います。ダスティン・ホフマンも乗ってる時期だし。ドナルド・サザーランドは相変わらずイイし。モーガン・フリーマンも出てるし。ケヴィン・スペイシーが珍しく軽口普通人の役でした。これが一番目新しかったという噂。

ココが×

ヘリのチェイスとか絶対いらないと思うんですよ。アクション映画じゃないんだから。そこで端的に盛り込もうとしすぎなのがよくわかるかな、と。

MVA

レネ・ルッソ、今はもう60代ですが今のほうが綺麗な気がするのは気のせいでしょうかと思いつつ、ん~、この人かな。

ドナルド・サザーランド(ドナルド・マクリントック少将役)

なんでもジャックになっちゃう息子さんとは違い、さすがに主役を食っちゃう名脇役。

髪が短かったせいか、「ああやっぱりキーファー似てるな~」と思ったりしつつ観てましたが、まあ嫌なお偉いさん感がさすがの演技で。今はもう80代ですが、この方もまだまだ元気に頑張って欲しいものです。

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