映画レビュー0944 『おとなの事情』
今回もネトフリ終了間際シリーズですよ。「それしか書いてない」等のご指摘もありますがそれ以外に書くことがないんですよ?
この日は映画を観るつもりもなかったんですが、ヨーロッパの映画だったので観ることにしました。ネトフリはこういうヨーロッパの映画をもっと増やして欲しい。
おとなの事情
パオロ・ジェノヴェーゼ
フィリッポ・ボローニャ
パオロ・コステッラ
パオロ・ジェノヴェーゼ
パオラ・マンミーニ
ローランド・ラヴェッロ
パオロ・ジェノヴェーゼ
ジュゼッペ・バッティストン
アンナ・フォリエッタ
マルコ・ジャリーニ
エドアルド・レオ
ヴァレリオ・マスタンドレア
アルバ・ロルヴァケル
カシア・スムトゥニアク
ベネデッタ・ポルカローリ
マウリツィオ・フィラルド
『Perfetti sconosciuti』
フィオレッラ・マンノイア
2016年2月11日 イタリア
96分
イタリア
Netflix(PS4・TV)

気まずさ満点の会話劇。
- 親友同士の男たち+その奥さんたちで気楽なパーティ
- 口を揃えて「何も隠し事はない」と言うのであれば、携帯見せても平気でしょ? とゲーム開始
- 最初は他愛もない連絡ばかりだったのが、次第に疑心暗鬼に包まれる内容に…
- 気まずい時間が延々と続くので気楽さよりも辛さが染みる
あらすじ
ほぼワンシチュエーション、会話劇のみのコメディドラマはいかにもヨーロッパ映画らしいアイデア感があり、その辺は大変好みだったんですが…期待しすぎちゃったかなぁ。面白かったんだけど、期待ほどではなかった印象。
エンディングの「え? そういう形にしちゃうの?」という残念感も大きかったんですが、ただ全体的には面白かったし考えさせられるしいかにも現代的な内容のお話だしで悪くなかったです。
舞台はロッコ&エヴァ夫婦の暮らすマンションの一室。おそらく定期的に開かれているっぽいちょっとした夕食会的なパーティが始まりますよと。
ロッコには幼馴染の親友が3人いまして、そのうちの2人、レレとコジモは奥さん同伴でパーティに参加。3人目のペッペはバツイチで独身なんですが、最近彼女ができたとかでそのお披露目も兼ねて…とみんな「どんな彼女捕まえたんだ!?」と楽しみにしていたんですがこの日は熱が出たそうで欠席無念と。
ひとまず集まった7人の男女、美味しいワインに美味しい食事で盛り上がっていい仲間だねと再確認したのち、主催夫婦の奥さんであるエヴァがひょんなことから一つの提案をするわけです。
「みんな隠し事がないのであれば、別に携帯見られても平気なんだよね? だったら携帯をテーブルに置いといて、かかってきた連絡をみんなでシェアするゲームをしない?」と。
そんなんやったらアカンやろ、と誰もが思うゲームですが、とは言え拒否すれば怪しまれるという進むも地獄戻るも地獄の提案、「別に隠すことないし?」とみんな強がり気味に賛同し、かくして地獄のゲームが始まります。
最初は他愛のない連絡ばかりだったこのゲームですが、次第に「既婚者がそれはまずいでしょ」的な連絡が入り始めて…っとあとはご覧ください。
携帯交換の妙
序盤なので書いちゃいますが、実はこのゲーム開始直後、レレがペッペに「携帯を交換してくれないか」と頼みます。同じ機種だしと。
なんでもレレは「毎日22時に写真を送ってくる若い女子」の友達がいる(羨ましすぎるぞ)そうで、当然そのことが奥さんに知られるといろいろと面倒だ…ってことでこの日パートナーが欠席のペッペに“身代わり”を頼むわけです。
まあペッペが「そういう女子がいる」と知られたところで一人参加なので一時の恥で済むからいいじゃないか…と丸め込んで交換が成立するんですが、これがなかなか味のあるフリとなって、最終的にはおそらくこの映画のテーマであろう内容を引き出すための装置になるんですよ。これがなかなか妙案というか、「ただみんなの携帯を晒す」だけの話とはちょっと違った面白さを引き出しているのが良いですね。すごくありそうな展開でもあるし。
ただ交換前にペッペが「いきなり運動しろと強制されるアプリ」によって運動させられるシーンもあったので、交換後にそのアプリが発動したらどうすんねんという余計な心配もするわけですが。まあどうでもいい話です。
舞台を観ているような良質感
所詮作り物なので、当然ながら物語に都合のいいように順序よくいろんな連絡が晒されていき、それによってそれぞれの人間関係に影響が出てくるわけですが、それは結果論として「最初にこれ来てたら話違ってくるじゃん」みたいな思いを鑑賞後に抱いたとしても、観ている間はなかなかうま〜く惹きつけてくれるのでさすがお上手と。さすがヨーロッパらしいエスプリ感と。意味がよくわかってないで言う感じで。
「奇人たちの晩餐会」なんかもそうでしたが、やっぱりワンシチュエーションの会話劇なので(良い意味で)ちょっと舞台を観ているような感じもあり、力技や勢いで振り切る映画のように「あれ? そう言えば気になってたアレ結局どうなったの?」みたいな消化不良感は無く、タイトル通り「おとなの」娯楽として良い脚本なんじゃないかなと思います。
まあなんと言ってもツールが携帯ですからね。劇中でも言われる通り、携帯なんて「誰もが持っている個人用のブラックボックス」みたいなものなので、そりゃあ叩けばいろいろ出てくるし、出てくると思ってるからこそ覗きたくなるのも人のサガってやつですよ。わかりみが深い。だからこそ誰にとってもリアリティがあって興味をもたせるテーマなのがウマいってことなんでしょう。
「他人の不幸は蜜の味」ってわけでもないですが、「どうせなんかいろいろ出てきて揉めるんでしょ〜?」と“揉め事待ち”みたいな感覚で楽しめる、ある意味下品な映画かもしれません。
余談ですが僕だってやましいことはないにせよ、いやらしい画像とかは入ってますからね。いやらしいブックマークとかね。「こいついやらしいな!」って言われますよ。見られたら。そのまま直球で言われますよ。
ただ僕はもう十年以上前に「人の携帯は絶対に見ない」と決めたので、「見たい」方の欲求は無いんですけどね。特に恋人(奥さん)の携帯なんて見たところで良いことなんて何一つ無いですから。絶対に。「今日も彼氏が素敵で濡れちゃった」とかメモる人いるわけないし。バカかよ。
もっともそう誓ってから彼女ができていないという事実のほうが重く、また劇的な悲劇と言えるわけですがそれはまた別の話なので置いておきます。
ちょっと胃が痛くなるようなコメディ
そんな“揉め事待ち”な側面があることもあってか、まー終始気まずい。「あーあ」とか「うわー」とか声に出ちゃう感じで。
やがて当然のように明るみになるクソチンコ野郎的展開によって「なんでこんなチンコ野郎が結婚して幸せそうなわけ!?」といつものように憤懣やるかたない思いに満たされるおなじみのパターンなんですが、これは僕が泥水すすって生きているせいなので多分誰もがそうというわけではないのもまた当然でしょう。
クソチンコ野郎目線で見たらどうなんだろ…。「それ用の携帯も持ってないとかヌルすぎ」とか思うのかな…。
コメディ…というか喜劇なのは間違いないと思いますが、ただそんなわけで終始気まずい展開でもあるので、ゲラゲラ笑ってストレス解消すんぞというような話でもなく、どちらかと言うとちょっと胃が痛くなるような生々しさで惹きつけてくれる映画でしょう。
まあどこで胃が痛くなるって「自分が参加してたら多分一度も連絡来ないで空気だろうな」ってことですよ。連絡来るだけ人間関係が充実してる羨ましさね。
最近、LINEはほぼ「LINEスタンプ」の宣伝しか来ていません。よろしくどうぞ。
このシーンがイイ!
月食をバックに記念撮影のところでしょうか。あそこが一番笑った気がする。タイミング良すぎでしょ。
ココが○
誰にでも身に覚えがある生々しさってあると思うんですよね。その身近な感じは他にないものだと思います。
ココが×
終わらせ方かなぁ。あれはちょっと納得いきませんでした。
MVA
主催者夫婦のロッコ役のダンディなおじさまもよかったんですが、結局は男の特権チョイス。
アルバ・ロルヴァケル(ビアンカ役)
コジモの奥さん。新婚。
この人が一番かわいらしくて素敵だなーというのと、演技的にもなかなか良い見せ場があったので迷わず。
まあでも女性陣は皆さん綺麗でしたね。男性陣は「幼馴染設定無理ないか?」って感じだったけど、まあ気のせいでしょう。


