映画レビュー0490 『ザ・シューター/極大射程』
「テッド」前のマーク・ウォールバーグ主演、相棒に最近よく見かけるパッとしないマイケル・ペーニャ、そしてあからさまな微エロ担当としてルーニー・マーラの姉、ケイト・マーラがヒロインというなんとも微妙そうな映画ですが…。
ザ・シューター/極大射程
面白かったのは最初だけ。
見事なまでの死亡フラグで早々に舞台を去る相方に爆笑必至なオープニングはさておき、大統領暗殺計画を阻止するために行動していた男が容疑者として追われながらも、自分の容疑を晴らそうと奮闘し、さらに陰謀を企てた奴らに復讐するぜ、というような映画です。
マーク・ウォールバーグ演じる元軍人、ボブ・リー・スワガーは凄腕のスナイパーで、遠距離射撃もお手の物、サクサク標的を撃ち抜いていく様はゴルゴマニア的にもニンマリ…ではあるんですが、あんまり狙撃のシーンは出て来ません。いわゆる巻き込まれ型サスペンス風アクション映画と言った風情で、陰謀に巻き込まれるところまではそれなりに面白かったものの、以降は正直イマイチな内容でした。
軍で培ったサバイバルの技術を活かして生きながらえつつ、事件当時に唯一コンタクトを取った新米FBI捜査官を巻き込みながら、徐々に敵へと近付いて行く主人公。
こう見るとそんなに筋は悪くない気がするんですが、でもなんでしょうね。どうもイマイチなんですよね。
全体通して非常にアメリカンな感じがするというか、結構大事なところでは「殺しちゃえよ」、と雑にゴリゴリ進めちゃうところもあるし、陰謀自体もイマイチ説明不足で惹かれないし、なんというか「スゴイ奴を騙そうとしたお前たちは大変なことになるぜ」みたいな割とわかりやすいヒーローものっぽい展開を中途半端にサスペンス色で味付けし、でも結局最後はめんどくさくなったからオレツエーするぜ! イエー!! みたいな。なんだかなー。
ネタバレになるので詳細は書けませんが、ラストそうしたいがための餌巻きとしてやってるのはわかりつつも、終盤の展開が非常に中途半端でモヤモヤするんですよね。けっこー途中まではしっかり観てたんですが、終盤まさかの眠気ですっ飛ばす場面が少々出て来てしまいました。なかなかこの手の映画で終盤に寝るっていうのはあんまり記憶に無いので、それだけ尻すぼみな映画だったのかなぁという気がします。
なお、監督のアントワーン・フークアは「イコライザー」の監督でもあるんですが、なるほどあれを観た後だとだいぶかぶっているところがあって、でもあの映画ほど振り切ってないので微妙になっている、という残念な映画だと思います。
主人公が超強いのは同じですが、バックグラウンドとかやり方とかが「イコライザー」ほど美味しくないというか。でも爆発をバックに振り返らずに立ち去る主人公、っていう絵はまったく一緒で笑っちゃう、みたいな。
ま、取り立てて今観る意味のある映画という気はしません。が、世間的にはソコソコ評判もいいようなので、もしかしたらアクション好きならそれなりに楽しめるのかもしれません。
僕は最近アクションはイマイチ乗れないのと、どうしてもサスペンス目線で観てしまうくせがあるので、これぐらいの評価かな、というところ。
このシーンがイイ!
ううむ…。
射撃のシーンは良かったと思うんですよね。音と動きの一体感が結構リアルで、生々しい感じが。もっと狙撃して欲しかったというのが正直なところ。
ココが○
物語の導入に関してはいいと思います。FBIの絡め方も悪くないし。でも全体的には…イマイチなんだよなぁ。
ココが×
もーちょっと「オレツエー映画」として振り切っちゃうか、それか「バディムービー」としてマイケル・ペーニャをうまく使うかして欲しかったですね。
あとはあれかな。主人公にもっと葛藤があったら良かったのかも。クール野郎故にその辺が表に出てこないので、「イコライザー」みたいな味わいが無かった気がします。
MVA
どうしても評価がイマイチだと選びにくいわけですが、この人かなぁ。
ネッド・ビーティ(チャールズ・ミーチャム上院議員役)
腹立つお偉いさん。いかにもなキャラがお見事。
実写版でFF7を作るなら、ぜひこの方にパルマーをやって欲しい。そしてトラックに跳ねられて欲しい。そんなキャラ。