映画レビュー0658 『サイド・エフェクト』

ということでコメディ続きはウンザリ(しかもここまでの2本とも自分の中ではハズレ)なので、1本サスペンスを挟むことにしました。前々から観たかったこちらの映画。

サイド・エフェクト

Side Effects
監督
脚本
音楽
公開
2013年2月8日 アメリカ
上映時間
106分
製作国
アメリカ
視聴環境
Netflix(PS3・TV)

サイド・エフェクト

インサイダー取引のために4年間収監されていた夫が出所、久しぶりに愛する夫と過ごせる日々が帰ってきて幸せ…なはずのエミリーだったが、以前から患っていたうつ病が再発、夫が戻ってきた直後に自殺未遂の事故を起こしてしまう。事故直後に彼女を診察した精神科医のバンクス博士は、彼女自身が希望した新薬を処方、彼女も快方に向かっていたように見えたが…。

予想を裏切りつつ進む後半が見どころ。

8.5

ドッペルゲンガーぐらいの確率で世に存在すると言われる「なんプロマニア」の皆様はご承知の通り、ワタクシ「オーシャンズ」シリーズが大好きなので、スティーブン・ソダーバーグ監督というだけでハードルもテンションも上がってくるわけですが、なぜに監督休業しちゃったのか解せないレベルに面白い、いやはやなかなかしっかりサスペンスした面白い映画でございました。

※その後休業は撤回、2017年に復帰したようです

タイトルの「サイド・エフェクト」とはいわゆる薬の副作用のことで、ルーニー・マーラ演じるうつ病を患っている健気な(そしてかわいい)嫁・エミリーが、新しく自分にフィットすると思われる薬を得て、再び幸せな生活を築けるようになったかと思いきや副作用で夢遊病が出るようになってしまい、その結果旦那を…ああ! というお話です。

が、その旦那どうこうまではまだまだ入り口のお話で、ここからさらにいろいろと…いやー書けない。やっぱり「これ実はこういう話?」みたいな予想の楽しみも奪いたくないので、もうこれ以上あーだこーだ書いちゃうといろいろわかっちゃうだけに書けないという…難しい。

ということでいつも以上に書くことがない(というか書けない)わけですが。

僕はね、最初は「やっぱりかわいくてもメンヘラ女子の相手は大変そうだなー」と思って観てたわけですよ。(メンヘラとうつ病の違いとか細かい部分は置いといて)

結構「かわいいメンヘラ女子」っていうのは、男の中では割と議論になりやすいテーマだったりするんですよね。下半身的には行きたいけど脳味噌はやめろと言っている、みたいな。

※念のためお断りしておきますが、僕の意見ではありません

そんな感じで、「メンヘラ女子と精神科の問題をサスペンスタッチで…」みたいな感じで観ていたわけです。ところが…!

ま、あとは観ていただいて、と。

その重要なメンヘラガール・エミリーを演じるのがルーニー・マーラ。相変わらずめちゃくちゃかわいい。そして演技がベラボーにウマイ。

彼女を診る精神科医のバンクス博士がジュード・ロウ。なんだか久々な気がします。彼も出から真っ当で、「ジュード・ロウ久々に真っ直ぐな良い役じゃねーの?」と思っていたわけですが。わけですが…!

そして彼女を以前診ていたという、これまたキーマンと言える精神科医がシーバード博士。こちらはキャサリン・ゼタ=ジョーンズが演じます。今までとはまったくイメージの違う才女のオバハンという感じでこれまた名演。彼女らしいコメディ感を消してがんばっています。

あとエミリーの旦那がチャニング・テイタムですが、彼だけはもう本当にいつも通りの「なんか良いやつそうなマッチョ」の域から出ていないので特に何か言うこともなく。割と早々にアレしちゃうのでね。ええ。アレはまだまだ導入部分なので匂わせるのはお許しください。

そんな四者のお送りする、精神病と薬と人間関係のサスペンス。なかなか今までありそうでなかった話でもあるし、大変満足致しました。細かい部分で若干の不満はあるものの、何よりメインの方々の演技力が素晴らしいので、これは一見の価値があると思います。

特にルーニー・マーラは素晴らしい。かわいすぎる。かわいすぎて演技がうますぎて素晴らしい。素晴らしくてかわいすぎる。自分が女優だったらこんな演技観たら女優続けられねっすよ。まじで。

これまた例のごとくタイトル書いちゃうとネタバレになっちゃうのでリンクだけ貼っときますが、最後まで観て僕はアノ映画を思い出しました。あんな感じの怖さを感じた。

(くどいようですが)これまたネタバレ回避で書くのが難しいんですが、この話、この映画通りの結末以外の展開だったと想像しても、どれも結構怖いんですよ。有り得そうで。結末自体は割とスッキリさせてくれるんですが、でも実はいろいろと社会の問題点を内包した懐の深い物語だし、これはなかなか味わいがいのあるサスペンスだと思います。実は社会派の要素もしっかりあるという。

サスペンス好きな方はぜひぜひ。

ネタバレ副作用

僕が予想した展開的にはですね、終盤エミリーを開放したバンクス博士がおチンコ野郎だったおかげでエミリーの罠にハマり、逆にバンクス博士が囚われる鬱エンディングなんじゃないか、って感じだったんですが。

さすがにバンクス博士もその辺は考えていたのか、はたまた過程で「こんな女興味ねーよ」となったのかはわかりませんが、そういう展開にはならなかったですね。

そういうことを考えていたので、悪巧みに長けてそうな割にエミリーもアッサリ引っかかっちゃったな、と思ってちょっと物足りない気もしたんですが。

この映画はいわゆる「一事不再理」の問題もチラッと描いているという意味で、現実に置き換えられる怖さも感じられたわけですが、仮にエミリーがバンクス博士を罠にかけて「アタイの勝利やでぇ」的なエンディングとなった場合、もはや(その罠にかけた方法が違法で無かったと仮定すると)彼女を裁く方法が存在しない、という意味でこれまたもっと怖い話になるな、と思って観ていました。

でも現実的にもそういう話って可視化されていないだけでおそらくあるんですよね…。

そういう意味でも、フィクションながら身近に感じられる恐怖を描いているという点で、なかなか良い映画なんじゃないかなと思います。

このシーンがイイ!

後半の解決部分はどこも印象的でしたが、なんというか…バンクス博士のいやらしさが出てたのが、エミリーの病棟の窓から見える位置でシーバート博士と会話しているシーン。あの辺からはもうノンストップでしたね。気持ち的に。

ココが○

本当に詳細を書けないのが申し訳ないんですが、上に書いた通り、現実にある様々な問題を内包した物語っていうのが良いんですよね。

実はそういう意味では、この終わり方は結末としては一番社会的な問題を感じないお話かもしれません。こういう結末じゃなかった場合の方が社会の問題が見えてくるというか、いろんな構造・システム的な欠陥が露出しちゃうのが怖い。そういう部分を見せてきているのが良いですね。描かない部分で現実社会の危うさを匂わせている懐の深さというか。コワイ。

ただ映像的にはショッキングな部分もあんまりないし、すごく観やすいのもまた素晴らしいと思います。

ココが×

ラストねー、ちょっとスッキリしすぎというか。人間的にもうちょっと何かしらありそうなのに、意外とあっさりで。そこがちょっと不満。

最終的にはアノ人がアノ人とアレしてたらアッー! みたいな展開を読んだんですが全然違いました。それは良かったんだけど。全然わからない書き方でサーセン。

MVA

いやー、3人が3人ともとても良かったですよ。チャニングさんはごめんなさいね。そのままだったので。でもなー。ちょっとこの人が良すぎた。

ルーニー・マーラ(エミリー・テイラー役)

多くは語りませんので観ていただいて。

にしても、演技でここまで精神病っぽい感じができちゃうんじゃ、リアルで演技されたらもうお手上げじゃない?

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