映画レビュー1040 『サウスポー』
今回も例によってネトフリ終了シリーズなんですが、実は鑑賞方法がおニューです。
「疑似大画面鑑賞ができる」ことからずっと欲しかったOculus Goの入荷待ちメールをだいぶ前に登録していたもののなかなかメールが来ず、久しぶりに公式サイトを覗きに行ったら「販売終了しました」とあって衝撃を受けたため、今度こそ逃すまいと先日新発売となったOculus Quest2をゲットしまして、きちんと実名登録したにもかかわらず凍結されるFacebookマジクソだなと文句を言いながらついに初のVRゴーグルによる映画鑑賞と相成りましたよと。
ということで今回より特に問題がなければ当分の間はOculus Quest2で鑑賞しようと思います。BS録画だけは持っていくのがハードル高いのでTVのままですが。
ちなみにOculusでのネトフリ(アマプラもほぼ同様ですが)鑑賞の感想を軽くまとめると、
- 大画面感はしっかり味わえ、余計なものが目に入らないので映画館に近い集中力が保てる
- 解像度は(改善されているらしいものの)それなり。フルハイビジョンのTVより若干粗く、そこまで気にならないもののシーンによっては気になる
- 視野角が狭い。正面以外の横の人物程度でもぼやけ、右端に出る縦の字幕もかなりモヤっとする。ちゃんと見たければ(目だけではなく)顔ごと見たい方向に向ける必要がある
- 思った以上に重く、寝ながら天井に向けて観る形だとおでこの辺りが痛くなる
- TVよりも焦点を合わせる作業がシビアなためか、疲れやすい。映画1本分が限界
といったところ。割とネガティブな評価が多いですが、「それでも使う価値」を感じるぐらいに“余計なものが目に入らない”のは大きいと思いますね。家鑑賞は気が散りやすいタイプなのでなおさら。
ただまだまだ技術的に向上の余地を感じるのも確かなので、なんだかんだやっぱり大画面の有機EL欲しいよねとさらに物欲が増しました。
ちなみに普段から4K画質以上で観ている人は、おそらく画質の粗さが耐えられないと思います。以上、ご参考になれば。
サウスポー
カート・サッター
ジェイク・ジレンホール
フォレスト・ウィテカー
ナオミ・ハリス
カーティス・“50セント”・ジャクソン
ウーナ・ローレンス
レイチェル・マクアダムス
2015年7月24日 アメリカ
123分
アメリカ・中国
Netflix(OculusQuest2)

お決まりではあるものの…本物感が素晴らしい。
- 人気絶頂のチャンピオンが一つの事件をきっかけに転落
- 最愛の娘とも引き離されたことで再起を誓う
- おなじみの展開ながら、ボクシングシーンの迫力やジェイクの体つき、フォームの綺麗さで素晴らしい本物感
- おれもレイチェル・マクアダムスと延長2回戦したい
あらすじ
意外とレイチェル・マクアダムスの出番が少なくてびっくりガッカリでしたが、しかしおなじみの展開とは言え「わかってても良い」仕立ての良さが光る良作と言っていいでしょう。
オープニングで追い込まれつつも王座を防衛した世界ライトヘビー級チャンピオン、ビリー・ホープ(ジェイク・ジレンホール)。ノーガード戦法の打ち合いがウリのファイトで絶大な人気を誇っております。そしてその危うい戦法とは裏腹に、なんとここまで無敗。当然唸るファイトマネーで潤いまくりの生活でございます。
彼には(金策的な意味で)優秀なプロモーター・ジョーダン(カーティス・“50セント”・ジャクソン)がついていて、まあ早い話がうまいこと“勝てる相手”をマッチメイクして無敗を築いているフシがあり、しかしその現状に不満を持っているビリー本人は、“本物”の強敵であるミゲルからの挑発を受け、ジョーダンに「やつと戦わせてくれ!」と懇願しているような状況。
ある日のチャリティ・パーティでまたもミゲルと鉢合わせ、最愛の妻モーリーン(レイチェル・マクアダムス)から「無視するのよ」と散々止められたにも関わらず我慢できずに乱闘騒ぎを起こしてしまい、挙げ句その騒動の最中に何者かが発砲、流れ弾を受けたモーリーンは帰らぬ人に。
この事件を契機に階段を転げ落ちるように転落していくビリーは、無敗記録も破られ、さらに残った最愛の娘・レイラを「養える状況にない」と見なされついに一人になってしまいます。
もはやこれ以上落ちることのないほど落ちぶれてしまったビリーは、再起を賭け一人の男の元へ向かいますが…あとは観てドーゾ。
ジェイクすげぇ
ということでおなじみの転落からの復活劇系。
まーなんせヒロインと思しきレイチェル・マクアダムスの退場の早さですよ。これには本当にびっくり。レイチェル・マクアダムスの贅沢使い…だけどそういや「シャドウ ゲーム」もそうだったな。
ただまあ役割的にとても大きな存在ではあるので、それなりの女優さんを使って退場させないといけない…となるとこの扱いも納得ではありました。
そりゃあね、あんなミニスカのレイチェル・マクアダムスを亡くしたら自暴自棄にもなるってもんですよ。観客の(男の)誰もが「おれとも延長2回戦してくれよ!」って願ってたらこのザマ。
僕は例によってボクシングに詳しいわけではないんですが、ただいくらなんでもオープニングの防衛戦を見る限りでは「さすがにこのノーガード戦法で無敗はファンタジーがすぎるだろ」と思うぐらい設定がかなり盛っている印象で、だからこそ後半の再起を賭けた戦いが盛り上がるとは言え…ちょっとやりすぎな気はします。もうちょっと「攻撃重視のパワーファイターでガードは下手だけど一応やる」ぐらいにしておいた方がね…まあ些末なことかもしれませんけどね…。
トップボクサーのお金の唸りっぷりやそれを作る(裏の)アレコレが少しだけとは言え触れられているのは興味深くもあり、もっとこっち方面の話も観たかったぜという気はしますが、まあ綺麗すぎないボクサーのお話としては“ノーガード無敗”を除けばそれなりにしっかりした内容なのではないでしょうか。
んでもってなんと言ってもこの映画の良さの大半はジェイクの役作りなのではないかと思います。
体つきは完全にボクサーのそれだし、構えにしてもフォームにしてもマジボクサー感がすごい。ボクシングの映画なんだから当たり前なんですが、とは言えここまで違和感なく作り上げられるのはさすがとしか言いようがありません。「ナイトクローラー」の翌年ですよ!? 撮影期間がどれだけ離れてるのかはわかりませんが、よくあの怪しい痩せ型からここまで体作ったもんだ…。パンチングボールを叩く姿も素晴らしく、こりゃーかなり練習したんでしょうね。
この手の映画は「昔ちょっとボクシングやってました」みたいな人が演じるならわかるんですが、ジェイクは(多分)経験者ではないだろうし、それでいてあのリアルさ(これは撮影と編集のうまさもあると思います)と体つき、その努力たるや相当なものでしょう。
「レイジング・ブル(未見です)」のデ・ニーロと並び称されるであろう本物感はそれだけでも観る価値があると思います。
予想通りではあるものの良作
とは言えお話としてはやっぱり予想通りではあるので、その辺をどう感じるか…というか観る前に「大体こういう話なんでしょ」と予想した上でそれでも観たいと思うかどうかで観るか決めれば良いんじゃない感。
確か漫画でもこんな話あったよな…というぐらいにはもうコッテコテのストーリーなので、「それでも良かったからそれだけ良くできている」とも言えるんですが…ただ意外性を求めるのであればこの映画は期待に応えられないと思います。
でもやっぱり良い。すべてを失ってから立ち上がる男の話の熱さはいつの時代も変わらない、ってところでしょうか。割と僕は絶頂から落ちて戻ってきた人が好き、っていうのもあるんですけどね。
ということでなかなかに熱さを感じる良作でした。ボクシングシーンのデキの良さだけでも一見の価値はあるかもしれません。
このシーンがイイ!
何度も書いている通り、ボクシングシーンはどれもかなりの迫力で素晴らしいです。特に最後の試合かな、やっぱり。
あとは飲んだくれるフォレスト・ウィテカーが最高ですね。
ココが○
非常に実直というか、ありきたりな展開とは言えしっかり丁寧に積み上げる映画という感じ。若いジムの子のエピソードも地味にいい。
ココが×
やっぱり予想通りなところでしょうかね。そこぐらい。
MVA
まあこれは…事実上の一択でしょう。
ジェイク・ジレンホール(ビリー・“ザ・グレート”・ホープ役)
主人公。元無敗の王者、転落してどうなるか系。
上に散々書いた通りです。演技力は言うまでもなく、その上体つきにボクサーらしい動きに全部ひっくるめて完璧。やっぱりこの人はすげーわ…。