映画レビュー1485 『ドラゴン×マッハ!』

(パディントン挟まりましたが)引き続き香港映画。

ドラゴン×マッハ!

SPL 2: A Time for Consequences
監督
脚本

ジル・レオン

出演

トニー・ジャー
ウー・ジン
マックス・チャン
ルイス・クー
サイモン・ヤム
ロー・ワイコン
アンダー・クンティーラー・ヨードチャーン

音楽

コンフォート・チャン
ケン・チャン

公開

2015年6月18日 香港・中国

上映時間

120分

製作国

香港・中国

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

ドラゴン×マッハ!

そこそこ込み入った良質なサスペンス・アクション。

9.0
臓器密売組織を巡るそれぞれの正義と戦い
  • 一つの組織を巡って様々な人物が交錯するサスペンス・アクション
  • 一見つながりがなさそうな人たちも次第につながっていく作りがお見事
  • アクションはもちろん素晴らしく、同時にストーリーもまったく負けていない良作
  • 邦題が意味不明なのが悔やまれる

あらすじ

今まで観たアクション系香港映画の中でもことストーリーに関しては一番と言っていいぐらい面白かったですね。かなり良かったです。

ある臓器密売組織に潜入中の捜査官・チーキット(ウー・ジン)は“組織から信頼を得るため”にクスリに手を出してしまい、彼を送り出した同じ警察官で叔父でもあるチャン(サイモン・ヤム)から叱責されつつ潜入続行、しかしいろいろあってタイの刑務所に収監されてしまいます。
ところがそのタイの刑務所は所長のコー(マックス・チャン)が問題の臓器密売組織とつながっていて、臓器売買のための違法行為が行われている現場なのでしたとさ…!
そしてその刑務所には臓器移植を待つ娘を持つ看守のチャイ(トニー・ジャー)がおりまして、それぞれがやがていろいろ絡み合って…っとこれ以上は言えない!…こともないけど言わない!

バトルとシナリオどっちも高レベル

あらすじをご覧の通り非常に説明が難しいんですが、それだけ(特に序盤では)「これなんの関係が?」みたいな話が並行して展開する少し込み入ったお話になっております。そしてそれが最終的にはまとまっていく、と。
個人的に割とそういうお話が好みということもありまして、大変好みの映画でございました。めっちゃ面白かった。
ところどころご都合主義ではあるし、「精緻で完璧なシナリオ」とは口が裂けても言えませんが、ただ間違いなくアクションをメインとした映画でありつつも主要登場人物(これがまた豪華キャスト)それぞれにしっかり“因縁”を持たせて収束していく作りは非常に質が高く、いわゆる「細かい部分に文句があってもそれを忘れさせてくれる」だけの勢いと作りの良さがあり、これはもう完全にやられました。めっちゃ面白かった。(2回目)
監督は「トワイライト・ウォリアーズ」のソイ・チェン。2本観てどっちも最高だったのでこの監督はすでに絶観るリスト(絶対観るぞリスト)に加わりました。
同じく「トワイライト・ウォリアーズ」で観衆を虜にしたルイス・クーも出演しているんですが、誰もが「ルイス・クーどこ?」と思うぐらい他と違う雰囲気でこれまたすごい役者さんだなと思わされます。
彼の役どころは臓器密売組織のボスなんですが、自分自身も心臓に問題を抱えていて余命が短いという設定のためアクションシーンもありません。あくまで“物語上”のヒールに徹している存在です。
逆説的ですが「アクションしないラスボスでも面白さが成立するアクション映画」の時点でもう傑作でしょこれは。
アクション上の最大の敵は刑務所所長役のマックス・チャンなんですが、これがまたすこぶるかっこいい。細身のスーツにキレッキレのアクション。冷たそうな表情も悪役に相応しく、さすがでした。「イップ・マン 外伝」の時とはまた違ったかっこよさ。
主人公は潜入捜査官役のウー・ジンと、看守役を演じるタイのスーパースター、トニー・ジャー。
何気にトニー・ジャーは初めてなんですが、なるほどこれはすげえなと初回のアクション(ウー・ジンとのバトル)でわからされましたね。「ただの看守がこんな強いのおかしくない!?」と思っちゃうぐらいキレッキレ。
ちなみに邦題の「ドラゴン×マッハ!」は、トニー・ジャーの出世作「マッハ!!!!!!!!」に掛けたものと思われます。ドラゴンは誰のことかわかりませんが、なんとなく香港映画のイメージでドラゴンでいいんじゃね? 的なおざなり感を感じますが実際のところどうなんでしょうか。
いずれにしてもこのタイトルから来るアツいバトル映画みたいなイメージとはまるで違い、しっかりスリラーっぽい展開にバトルが付随してくる感じで相変わらずひどい邦題だなと思いますが、しかし「じゃあなんてタイトルがいいんだよ」と言われてもなかなか難しいなとも思うのであんまり責められないのも確か。
原題は「SPL 2: A Time for Consequences」で、一応「SPL/狼よ静かに死ね」の続編というポジションだそうですが話に繋がりはない模様。(なので今作から観ても問題なし)
後半部分を直訳すると「結果が明らかになる時」だそうですが、これまたそれっぽい内容の邦題にしたところで…という気もするだけに難しいですね、タイトル。

上記と被りますが気にせずざっと主要人物を並べると、まず臓器密売組織のボスとしてルイス・クーがおり、同時に彼自身もドナーを探している状況です。
その臓器密売組織に臓器を提供している(金銭が絡んでいるのか下部組織的なものなのか詳細は不明)のが刑務所所長でもあるマックス・チャンで、マックス・チャンの元で働いている看守がトニー・ジャー。トニー・ジャーの娘もまた臓器移植待ちの患者さんで、(本人は知らずに)その娘ちゃんと適合するドナーであり臓器密売組織に潜入している捜査官がウー・ジンだよと。
娘ちゃんとウー・ジンの臓器、サイズ違いすぎない? とか思うんですがその辺はよくわかりません。まあ気にしないでおきましょう。
そんなわけでこの辺の面々がいろいろ絡み合って結末へ向かっていくストーリーになっております。

スマホの使い方が上手い

あと細かい部分ですが、ご都合主義的な展開ではあるものの、過去観てきた映画の中で最も小道具としてのスマホ(携帯)を有効に使った作品だなと思いましたね。非常に使い方が上手い。
きちんと意味のある使われ方をしているし、トニー・ジャーが主演ということもあってタイと中国(香港)との通訳的にも機能しています。
ちゃんとスマホ時代に即した違和感のない使われ方で、かつ物語を進める意味で活用されているというのは意外と新鮮でした。
そのスマホにしてもそうなんですが、割と細かい部分に目を配ってしっかりストーリーを展開するぞという意識が見えるような映画だったので、それ故なおさら評価したくなったのかな、と。
「アクションだけしっかり見せればいいでしょ」でも「話の足りなさをアクションでごまかすよ」でもない、きちんと面白い話を作った上でアクションもしっかり見せる、という。
これはやっぱり香港映画でないとなかなかできないものだと思うので、それだけオンリーワンな価値のある映画ではないかなと思った次第です。
おすすめ!

このシーンがイイ!

やっぱりバトルシーンが最高なんですが、特に最後のバトルはすごかったですね。落とし所もしっかりしていて。
特にマックス・チャンのかっこよさは一見の価値あり。

それとワンカットで見せる200人の大乱闘シーンがものすごい。これは他にない凄さだと思います。

ココが○

アクションとストーリーが高レベルに融合している点。これやられちゃうとどっちかだけの映画は物足りなくなりそう…。

ココが×

細かい部分で「さすがにそれは」みたいな点はちょこちょこありました。が、全体が面白いのでOKです。

MVA

皆さん良くて非常に悩ましいところですが…この人にします。

ロー・ワイコン(コン役)

トニー・ジャーの同僚のおじさん。
もうね、めちゃくちゃいい人なんですよ。マジで。この人が一番泣かせる。
普通のおじさんだしアクション的な見せ場も特にないんですが、いちいち取る行動が利他的でものすごくいい人で最高の脇役でした。

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