映画レビュー1484 『パディントン 消えた黄金郷の秘密』
前作は大げさではなく映画史に残る傑作だと思っているんですが、しかし今作は監督も変わり、(当然)悪役はおヒューではないわけで、観に行こうかどうしようか悩むな〜ぐらいのテンションだったんですが、ちょうど公開翌日に都内に出張る用事があり、まあついでだから行ってみるかと初めてTOHOシネマズ日比谷で鑑賞しました。前作は確か日本橋で観たのでパディントンは東京駅近郊エリアと縁があるのかもしれない。
ちなみに当日はなんとパディントンご本熊が劇場まで出張しておりまして、「一緒に写真撮れます〜」と呼び込みしていたのでキッズたちのあとにおっさん1人、満面の笑みで一緒に撮ってもらいました。かわいかった。
パディントン 消えた黄金郷の秘密
ドゥーガル・ウィルソン
マーク・バートン
ジョン・フォスター
ジェームズ・ラモント
ポール・キング
サイモン・ファーナビー
マーク・バートン
2024年11月8日 イギリス
106分
イギリス・フランス・アメリカ・日本
劇場(中規模スクリーン)

前作が良すぎた反動かもしれない。
- ペルーではおばさん行方不明、探しに行く一家
- 当然いろいろありつつ伝説の“黄金郷”を探すことに
- 相変わらず表情豊かな紳士熊パディントンはかわいくほっこりするが…
- 映画としてはもう一歩、ファミリー映画の域を出ていない印象
あらすじ
最終的にはホロリとさせられたし全然悪くないんですが、しかしいかんせん前作があまりにも傑作だったためにその比較で不満が募る…そんな映画でした。
パディントン(ベン・ウィショー)がルーシーおばさん(イメルダ・スタウントン)に拾われた幼少期のエピソードを経て、現在。
変わらずロンドンのブラウン家に居候中のパディントン、家族もいろいろありますが平和に暮らしていますよと。
そんな中ペルーの老グマホームに暮らすルーシーおばさんから手紙が届き、パディントンに会いたいアピール的なものが感じられたためペルーに行きたいと表明するパディントン。
なんやかんや反対するお父さん(ヒュー・ボネヴィル)ですが、仕事の現状(詳細は略・ちなみに上司がファイナル・レコニングを控えたヘイリー・アトウェルでした)と相まって「いや今行くべきだ!」ということで一家揃っての旅行です。
無事老グマホームについた一家ですが、話によるとルーシーおばさんは最近になって失踪してしまったとのこと。
部屋を探索中に行き先のヒントを見つけたパディントンは「探しに行きましょう!」とアマゾンの奥地に向かうことを決め、当然ほうっておくわけにもいかないブラウン一家も一緒に行くことに。
奥地にはボートがないと行けない…ということでたまたま出会ったイケオジ船長・ハンター(アントニオ・バンデラス)にお願いしてボートを貸し切り、ルーシーおばさんが向かったと思われるエリアへ向かいますが…あとはご覧ください。
悪役の魅力不足?
一応説明しておきますと、タイトルにナンバリングは入っていませんが今作は「パディントン」シリーズの3作目になります。
ほぼ(全部?)ロンドンでのアレコレだった1・2作目と違い、今作の舞台はペルー。「黄金郷を探す」という流れからもわかる通り、だいぶアドベンチャー感の強い作品になっております。さながらインディー・ジョーンズみたいな。パディーントン・ジョーンズです、みたいな。
となると結構好きな方面なのでまた違った楽しさがありそう…と思ったんですがアドベンチャー的な内容は(当然だとは思いますが)全体的にぬるめで物足りず、なんなら中盤ちょっと眠くなるぐらいの中だるみ感もあって少々残念でした。
思うに今作は過去2作と違い、明確に「こいつが悪役です」って感じのキャラクターが出てこないのがまず一点。
このシリーズの場合は悪役っていうより嫌な奴ぐらいの感覚ですが、明確にパディントンと対立する位置にいるキャラクターがいないんですよね。なのでちょっと全体的にぼやけちゃったような雰囲気がありました。
観ていると「こいつが障害になるんだろうな」というのはわかるんですが、ただその立場を明確にしてこないのでなーんかぼんやり進んでいく感じがするんですよ。煽るものがないというか。
あとはもう単純に“密度”の部分で過去2作には敵わないように見えました。
特に前作は小ネタ含めて終始見せ場があって飽きさせない見事さがあったと思うんですが、今作はそのサービス精神みたいなものがあまり感じられず、「ストーリーを進めるために進める」感じで遊びが足りないように見えました。もうちょっと遊んでいいと思うんですけどね。ゆるい映画だし。
で、それも結局悪役に(前と比べて)魅力がないせいなのかなと思います。キャラクターとしての魅力。
まあそりゃあ前作の悪役は僕が最も好きな俳優がやっていた、おまけに当て書きの役だったのでそれと比べるのはかなり酷なのも間違いないんですが、とは言えもうちょっといろいろ盛り込んで楽しませるぞ、みたいな意気込みが見えたほうが良かったように思います。
もう一つ、密かに大きなショックを受けたのが母親役(メアリー・ブラウン)のキャスト変更。
前作まではご存知名女優サリー・ホーキンスで、彼女が出ている映画は基本的にハズレがない(ゴジラKoMは記憶から抹消)と思っているんですが、その彼女が降板し、代わりにエミリー・モーティマーに。
エミリー・モーティマーも好きなので全然いいっちゃいいし、演技自体もまったく問題はない…んですが、やっぱり「キャスト変更」自体あまりいい印象を持てないんですよね。特にサリー・ホーキンスはハマり役だったと思うし。
軽く調べたところ、もちろん本当のところはわかりませんが一応表面上はサリー・ホーキンス自身が交代を希望したとのことで、そうであればやむを得ないことだとは思うんですが…。
年齢的にもう厳しくなってきたと判断したのかなぁ…と思って調べたらエミリー・モーティマーの方が年上だったという。驚き。
ちなみに一家の長男長女もキャスト変わったのか!? と思ったら継続でした。育ちすぎなのよ。
予想通りではある
若干のがっかり感でまとめたレビューではありますが、念のため書いておくと結構いろんな映画のオマージュが込められているそうで、その辺に敏感に反応できなかった自分の愚かさが招いた結果という可能性もあります。(サウンド・オブ・ミュージックぐらいしか気付かなかった)
にしてもやっぱり僕の感覚としては「老若男女誰でも楽しめる傑作から一般的なファミリー映画にランクダウンした」印象が強い映画ではありました。
決して悪くはないんですけどね。そもそもパディントンというキャラクター自体が素晴らしいし。
ただ、まあやっぱり…言ってもしょうがないんですが、前作があまりにも良すぎさのでその印象が足を引っ張った感は否めず、監督交代と合わせて想定の範囲内に落下した、といったところ。
それでも「パディントン」というキャラクター自体に愛着があれば、観て損することはないんじゃないかなと思います。
このシーンがイイ!
これはちょっと反則ではあるんですが…エンドロール前後ですね、やっぱり。
これを観に行ったようなもんですからね。
ココが○
パディントンの造形は本当に素晴らしいです。もふもふで表情豊かで。
3作目ということもあってベン・ウィショーの声もすごくしっくり来るし、優しい紳士っぽい雰囲気も含めてとても良い。
ココが×
上記の通り、結局悪役の使い方かなと。
あとはせっかくアドベンチャー系になったのでもっと謎解き的な要素を盛り込んでも良かったような気もします。いろいろパロディ入れるのも得意なシリーズだし。
ただそれはそれで力量が必要なのできっと難しい面もあるんでしょう。
MVA
うーん、正直これはかなり悩みます。「この人!」って人がいなくて。(ベン・ウィショーは声なので除外)
でも一応消去法的にこの人かな。
オリヴィア・コールマン(クラリッサ役)
ルーシーおばさんが入居する老グマホームの院長。
序盤から登場する(ミュージカルシーンもある)のに全然オリヴィア・コールマンと気付きませんでした。「女王陛下のお気に入り」の人って感じがまったくなくて…。
それだけ役に化けていた、ということでここは一つ。
演技はさすがでしたよ。
それとアントニオ・バンデラス、しょうがないんですが随分と老けちゃったなぁという印象。
調べたらおヒューと同い年なんですね。
おヒューも老けたしまあそりゃあ老けるか…。

