映画レビュー0780 『ビッグ・リボウスキ』

正直なところ僕はあんまりコーエン兄弟の映画は向いてないと思ってはいるんですが…。前々からタイトルは知っていていつかは観たいと思っていたのと、キャストがなかなか良かったので一応観てみました。

例のごとくネトフリ配信終了間際シリーズです。

ビッグ・リボウスキ

The Big Lebowski
自らを“デュード”と名乗るジェフリー・リボウスキは、同姓同名の大金持ちと間違われチンピラたちの襲撃を受ける。敷物に小便をされて怒ったデュードは、間違われた本人のジェフリー・リボウスキの元へ赴き敷物の弁償を訴えるが無下に断られ、腹いせに勝手に屋敷にあった高そうな敷物を持ち帰るが、後日再度ジェフリーから呼び出しを受け…。

酔っ払いながら観るぐらいが良いかもね。

6.0
ダメ人間の巻き込まれ型シニカルコメディ
  • 話はあってないようなもの、雰囲気映画
  • 全体的にシュールで好みが分かれそう
  • きっと酔っ払って観るぐらいがちょうどいい

諸事情ございましてね。

最初はちゃんと2時間観てご飯食べるぞと意気込んでいたんですが…久しぶりにどうにも眠くなり、前半で一旦ストップ。仮眠を取って夕飯タイム、しこたまワインを飲みましてね。ええ。まあ1本空けたぐらいですけども。焼き鳥をつまみつつね。

んで、その後再開したところ、前半の眠さとは打って変わってなんか面白くてですね。酔っ払いテンションにすごく合ってる映画だなと。波長が合いましたね。酔っ払ってから観ると。もうシラフの時とは全然違う感じで。

だからというわけでもないんですが…真面目に「どんな話なんだどんな伏線があってどんなオチを楽しませてくれるんだ!」と構えて観るような映画じゃないですね。これは。酔っ払うなりラリるなり(ラリったことないですが)しながら、言ってみれば登場人物と同じようなダメっぽさで観ると面白くなる映画のような気がします。

別に彼らがバカだ、って言ってるんじゃないですよ。ただあからさまに生活レベルは低く、いかにもアメリカの地方(舞台はロサンゼルスですがイメージ的に)でくすぶりながら日々怠惰な日常を送る人々っぽい感覚で観るとなんか「わかるわぁー」なんつって。シンパシーを感じちゃうような。そんな不思議な雰囲気のある映画でした。

僕は一応は真面目に仕事をして生活していますが、ただ中身は間違いなくダメ人間で怠惰な部分を持っているので、正直ちょっとだけこういう人たちが羨ましいような感覚もあったりもして。

オープニングで「時代と場所と人物がマッチするととんでもないウンチャラカンチャラ」的に大仰な前フリが入るんですが、これがかなりの大風呂敷でいきなりしてやられた感はありました。全然そんな大した話じゃないです。

ジェフ・ブリッジス演じる主人公ジェフリー・リボウスキ(自称デュード)さんは、無職でボウリングと酒とクスリが生きがい的な…まあダメ人間ですよあからさまに。親友のウォルター(ジョン・グッドマン)とドニー(スティーヴ・ブシェミ)の3人でチームを組んで何らかのボウリングのリーグ戦に参加しているようです。

ある日いきなり自分の部屋にチンピラが盗みに入っていたところに帰ってきて、「金を出せ!」と拷問を受けるもご覧の通り金なんてねーよということで、どうやらチンピラが彼と同姓同名の大金持ちと間違えたらしい…というところから物語はスタート。

チンピラが去り際に敷物におしっこしていったことに憤慨、「別人に間違われて小便されたんだからその別人が弁償するのが筋じゃないのか!?」という謎理論で同姓同名の大金持ちの家に乗り込み弁償するように要求しますが当然ながら却下。しかしそれも気にせず適当なことを言って屋敷の敷物を持ち帰ったところ後日リボウスキの秘書から連絡があり、「別件で相談があります」とのことでまた屋敷に行くとある仕事を依頼され、そのことでより大きな事件に巻き込まれていく…というお話です。

最初に抱いていた嫌な予感と言うか…「自分にはコーエン兄弟の映画は合わないんじゃないかなー」と言う予感はものの見事に当たっていて、やっぱりこの映画も…後年ですが「ヘイル、シーザー!」なんかと同じく、「真面目に筋を追ってもしょうがない」ような内容の物語です。

一応話自体は別に破綻することもなく、ある意味ではリアルな展開ではあるんですが…ただぶっちゃけ素直な感想としては「こういう話なら別に見せてくれなくていいよ」的なお話なんですよね。

何が言いたいのかもよくわからず、何を一番見せたいのかもよくわからず。「最後は何かありそう」に物語をふくらませるんだけどでっかくなったまま転がっていってエンド、みたいな。爆発するポイントがないから消化不良になっちゃう感じで。ただ話自体はそれなりに結論が出るので、「結局なんだったんだ的エンドのパターンじゃないのか」という嫌な予感から逃れてくれたのは良かったです。

公開当時は微妙な評価だったようですが、今となってはカルト的な人気が高い映画だそうで…なるほどそう言われればそんな感じはするなという印象。こういうのが好きな人は本当に好きだろうし、コーエン兄弟ってこういう映画好きだよねというイメージそのままのシュールなお話でした。

僕個人の印象としては「インヒアレント・ヴァイス」にかなり近い。あんな感じの雰囲気映画。ただあの映画よりもコメディよりなお話なので、その笑いに近い分少し楽しめたかなーという気はしました。あと酔っ払ってたからなんか良かった

あとはもうね、やっぱりキャストですよ。よくぞまあこんな個性的なメンツを集めたなぁというメンバーで。

ブシェミさん久しぶりに観たなー。一時期ものすごくいろんな映画で観たような気がしてたんですが…最近あんまり観なくなっていただけに、久しぶりでなんか嬉しかったです。ちょっとかわいい役どころだったし。

「やっぱりこの人はカウボーイ役にさせられるのか」でおなじみのサム・エリオットもちょっとした見どころだし、今は亡きフィリップ・シーモア・ホフマンが劇中最も常識人っぽい役を演じているのも今となっては趣があるような気もします。

そんなわけで映画好きとしてはキャストだけでも観る価値があるかもしれない映画なので、ここはぜひ観る側も寝ない程度に良い感じに酔っ払って頂いてですね、特に展開に気を揉むこともなく適当にダラダラ観るには良いんじゃないかなと。

しかし酔っ払う前のほうが眠い、っていう自分も何なんですかね。

ビッグ・ネタバレスキ

特にネタバレとして書くほどのことでもないんですが、最初に書いた通り、オープニングで「時代が噛み合うとデカイことをやってのける男がいる」みたいに結構ふっかけてくるじゃないですか。あんまりちゃんと覚えてないんですけど。

ただ、実際デュードはただ流されるだけでデカイことに引っ張っていったのはお前(ナレーションのジョン・グッドマン演じるウォルター)やんけ、っていうね。ただひたすらウォルターが迷惑をかけてただけのお話な気がしましたが…。まあそういう悪友感がイイ、っていうのもなんかわかるけど。ただいきなり死んじゃったドニーは気の毒。

結局奥さんは戻ってこないままなんですかね、あれはやっぱり。リボウスキさん的には金もないし縁切りの良いタイミングだった、って話なんでしょうね。

このシーンがイイ!

デュードとウォルターが海岸で会話するシーンかなー。デュードがまともなツッコミしてて、ダメなようで意外とまともな感じのシュールさがなんか面白かった。

デュードはあれですね、水曜どうでしょうで言うところの大泉洋のような。正論を言うんだけど、必ず負ける側にいる感じ。

ココが○

やっぱり他にない雰囲気の映画ではあると思うんですよ。こういう世界観を作れる人ってあんまりいないし、そこがコーエン兄弟の良さなのかなと思います。あとは好き嫌いの問題。

ココが×

で、僕はあんまり好きじゃないなっていう。

結局答えを求めるタイプの人には向いてないのかもしれない。ただそういうタイプってつまんねー人間だなと自分でも思うので、こういう映画が心底楽しめる人はそれはそれでちょっと羨ましくもあります。

MVA

そんなわけで渋い豪華キャスト、どの人も良いなぁと思うんですが、結局ベタにこの人なのかなー。

ジェフ・ブリッジス(ジェフリー・“デュード”・リボウスキ役)

なんでも脚本を読んだ時点で「俺はこの役のために生まれてきた」的なことを思ったそうですが、確かにもうまんまそのままというか、「ジェフ・ブリッジスって普段こうなんじゃね?」ぐらいの説得力を持った佇まいが素晴らしい。

なかなかこの絶妙に痛く、絶妙に(喜劇的な)悲しみのある雰囲気って出せないと思うんですよね。ここまで自然体な演技が観られる役も珍しいと思うので、ジェフマニア(いるのか)は必見でしょう。

あとまあジョン・グッドマンもさすがでしたね。安息日をことさら強調する辺りもう笑っちゃって笑っちゃって。絶対こんな友達嫌だけど。

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