映画レビュー0779 『ターゲット』
これもう本当に超観たくてTSU●AYAを何件か回ったんですが見つからず、買おうかどうしようか悩んでいたところにネトフリにあるのを知ったけどもう今日で終わるよ! って言うんで仕事から帰ってきて急いで観た木曜日。そんな木曜日。
ターゲット
まさかのダブルヒロインでかわいさほとばしる! 最高だ!
- 殺し屋だけど残酷に見えないビル・ナイがお見事なキャスティング
- エミリー・ブラントが奔放女子を見事に好演
- ルパート・グリントかわいい
1993年のフランス映画「めぐり逢ったが運のつき」の現代イギリス版リメイク作品だそうです。当然ながらリメイク元は未見…ですが調べたら主役があのジャン・ロシュフォールだそうで、こっちはこっちでいつかぜひ観てみたいと思います。
僕がこの映画を観たかった理由は「ビル・ナイの映画もっと観たいなー」で調べた結果だったんですが、ヒロインがこれまた大好きなエミリー・ブラント、さらに巻き込まれ青年があのハリー・ポッターのロン役でおなじみのルパート・グリントという錚々たるメンバー。
おまけにビル・ナイ演じるビクターを追う殺し屋役にマーティン・フリーマン、彼に仕事を依頼する裏の顔的大金持ちがルパート・エヴェレットというイギリス俳優好きにはたまらないメンバーでですね、コレはなかなかだぞと。
ついでにルパート・エヴェレットの部下もどっかで観たことあるよな〜と記憶を辿ったところ「ラブ・アクチュアリー」でビル・ナイ演じるロックスターのマネージャーをやっていたおっさんでした。ここでまさかの再共演とは…!
しかし残念ながら日本では(ハリウッド系と比べれば)ややマニアックな顔ぶれなのもまた事実で、おまけに本国における興行成績も振るわなかったようでDVDスルー作品となったようです。悲しい。こういう映画が売れないとこういう映画が増えてくれないじゃないか…!(そのまま)
ですが「DVDスルーなのに…!」的掘り出し物感丸出しのなかなか面白い映画だと思います。この辺りのメンバーに「おっ?」と思える人はぜひ観てみて欲しい!
主人公のビクターは先祖代々殺し屋という物騒な一族の跡継ぎで、仕事は確実なために評価も高く、またギャラも「最高ランク」だそうです。ただ物騒な一族の割に(だから?)飄々としていて気負いもなく、スマートな殺し屋という感じ。
一方ヒロインであるところのエミリー・ブラント演じるローズ。彼女は知り合い(か友達か同僚かなんか)の美術館に勤める贋作師にレンブラントの自画像を描かせ、本物と一緒に持ち出して売却交渉を行い、気付かれないように本物と贋作をすり替えてまんまと90万ポンドをせしめたところ直後にバレ、売却相手の男・ファーガソン(ルパート・エヴェレット)に殺し屋を差し向けられます。その雇われた殺し屋こそ、ビル・ナイ演じるビクターさんですよと。
ビクターは何度かローズを殺す直前まで追い込むんですが、彼女は狙われていることに気付かないままナチュラルに危機を連続回避、その後ようやく殺すぞ…! というところでローズが別の男から銃口を向けられているのを発見したビクターは「俺の獲物だ」とばかりにその男を射殺、助けたフリしてひとまず車内で殺すか、ということでローズと一緒に車に乗ったところ今度は後部座席に潜んでいたファーガソンの部下に脅され万事休す…! と思いきやたまたまその場に居合わせていてビクターが蹴っ飛ばした銃を拾った男・トニーがファーガソンの部下に発砲、急所は外しますが窮地を脱します。
その部下にとどめを刺しそこねたビクターと他2人はこのままじゃ殺されちゃう! ということで3人の逃亡生活のはじまりはじまり〜というお話。
そんなわけで殺し屋だ発砲だと物騒なお話っぽいんですが、思っていた以上にコメディでした。ものすごい軽いのね。ノリが。でもイギリス映画だからかどこか品がある感じなのが不思議。
超真面目に集中して観る必要はまったくなく、むしろなんなら片手間に観るぐらいがちょうどいいぐらいの超お気楽映画と言って良いと思うんですが、とは言えやっぱり演者が良いのでなんだかんだ惹きつけられました。
いやぁ、良いですよこの映画。もうツッコミどころは山ほどあるんですけどね。ビクターがローズを守ることになった、その取っ掛かりはまだ良いにしても、なんで(情が移る前の段階でも)スキを見て殺そうとせずにずっと守るように行動するの? とか。途中でお母さんが言ってますが、やっぱりターゲットを逃したとなると「一流のプロ」ビクターの名声にもかなりの傷がつくはずなので、それこそ足を洗う覚悟ぐらい無ければこんな行動は取れないはずなんですが、全然そういう悲壮感とか決意とかもなくてですね。なんとなく流れで引っ張られちゃってます、みたいな。全然一流感がない。
が、それが良いんですよ。なんかちょっと頼りないというか、ビル・ナイらしい人の良さみたいなものが垣間見える雰囲気が。これも元はジャン・ロシュフォールが演じていたと聞くとなるほどなんとなく通ずるものがあるなと納得。
そんな彼の相手役を務めるヒロイン・ローズですが…こちらはもうとんでもなく奔放な女性でですね。いいわーエミリー・ブラントがこんな奔放なのいいわー出会いたいわーエロいわーとたまりません。僕にもぜひ体重を聞いていただきたい。(詳しくは観てください)
手癖も非常に悪く、すぐに盗みを働くわ奔放だわでなかなかひどいんですよ。かわいいけどイイ女感ゼロ。正直20代後半の女性の言動としてはかなり痛い部類に入る女子なんですが、しかしそこはエミリー・ブラントですからね。常々書いているようにかわいい女子に弱いのは男の特権、そんな特権を見透かすかのように小悪魔的に立ち回るエミリー・ブラントのコメディエンヌっぷりもお見事でした。
そんな二人が殺されそうになったところを成り行きで助ける形となったその辺のフツーの兄ちゃんが、かのロン・ウィーズリーでおなじみのルパート・グリント演じるトニー。彼は素性は不明なんですが本当にその辺のただの兄ちゃんで、当然ながら銃も扱ったことがないんですが成り行き上二人を見逃すことができない好青年ということで事件に巻き込まれます。が、彼も「殺されるー!」とか言いつつなーんかこの二人との逃亡生活を楽しんでいるような…なんていうんですかね、楽天的でちょっぴり天然な感じが漂っていて、その雰囲気がすごくイイんですよ。ルパート君の。エヴェレット君じゃない方のルパート君ですからね。グリント君の方ですから。一応書いておきますけど。
で、まあもう核心に触れちゃいますが、このルパート君演じるトニーがですね…。
カワイイんですよ。
すごく。
もう観てて思ったよね。「あ、この映画実はルパート君がヒロインなのか」って。
ぶっちゃけ映画としてはいらない人物なんですよ。ルパート君。一応見せ場はあるんですが、別にそれは違う人にやらせちゃってもいい気がするし。
でも、この映画はトニーがヒロインなんですよ。ローズじゃないんです。っていうかダブルヒロインなんです。「そんなわけないだろ」とか認めませんからね。もう断言します。ルパート・グリントがヒロインを演じ、なんならエミリー・ブラントを食うレベルでカワイイという謎の映画でした。
いやぁ、ルパート君ハリポタの頃からだいぶ成長したなぁ…とか感慨にふけってたら死の秘宝より前の映画だったっていうね。おなじみの展開ですけども。まさかハリポタの大団円に向けて大事な時期にこんなカワイイヒロイン役()を演じていたとは…!
いやー、こんな良い役を良い演技で魅せてくれたらもうルパート君安泰だねーとか思ったんですが残念ながら興行成績が良くなかったということで…逆にこれ以降この手の役がやりづらくなっちゃった面もあるかもしれません。もったいなさすぎる…。
ということで気軽に観られるゆるい殺し屋コメディという謎のジャンルではありますが、それ以上にカワイイ男子が観たいぞという御仁にはぜひ観て頂きたいですね。残念ながら僕がトップクラスに好きな俳優のビル・ナイも今回ばかりは食われちゃったと思います。それだけルパート君が良かった。
もちろんエミリー・ブラントもとても良いので、ぜひこの一風変わったダブルヒロインの映画をお楽しみください。
このシーンがイイ!
終盤近くですが、ビクターとトニーがローズにサプライズを企む場面が最高でしたね。何がってルパート君が。ワクワクしすぎだろかわいすぎかよっていう。
あと細かいですが後ろを振り向いて銃を構えつつ去っていくエミリー・ブラントのかわいさも最高。
ココが○
イギリスのコメディにしては(?)情に訴えるようなものもなく、もう純粋にコメディなので実はなかなか珍しいような気もしました。ルパート君のかわいさも相まって終始ニヤニヤ観ちゃう感じ。
そういう映画なので本当に超気楽に観られるのが一番良いところじゃないかなと思います。上映時間も短めだしね。
ココが×
上に書いた通り、細かい部分は完全スルーなお話なので、早い話が結構登場人物みんなヌケてる感じがダメな人はダメかもなーという気はしました。
あとはまあ…当然ながら深みゼロなので、面白いけど記憶に残る映画かと言われると微妙なところ。
MVA
これだけ書いて他の人、ってわけには行かないじゃないですかやっぱり。
ルパート・グリント(トニー役)
結構タバコ吸ってるシーンがあるんですよね。ロン現役時代に大丈夫なのかなとか余計なお世話的にハラハラしましたが、かわいいのですべて許された気がします。
本当にこういう役のオファーがもっと来て欲しいなーと思いますね。すごく良かったです。
ビル・ナイはイギリス版高田純次的ないつもの感じ。当然良いです。エミリー・ブラントもとても「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のリタ軍曹と同じ人とは思えない軽さがグッド。かわいい。
あと一つ書いておきたいのが、マーティン・フリーマンが妙な笑顔をちょいちょい挟んでくるんですよ。これがまたレアな感じで面白かったです。この人のこういう役も他で観たことがなかったし、やっぱりイギリス俳優好きの方々にはいろいろたまらない映画じゃないかなと思います。