映画レビュー1437 『キャノンボール』
例の息を吐くようにキラートマトを観る方が激オシしていたのでこれまた影響されて観ることに。
ちなみにその方はMr.Booシリーズが好きでそこも信頼できるんですが、それ故にマイケル・ホイが出ているこの映画をアマプラからおすすめされて観た、という経緯のようです。
キャノンボール
ハル・ニーダム
ブロック・イェーツ
バート・レイノルズ
ファラ・フォーセット
ジャッキー・チェン
サミー・デイヴィスJr.
ロジャー・ムーア
ドム・デルイーズ
ジャック・イーラム
ディーン・マーティン
ジョージ・ファース
マイケル・ホイ
アル・キャップス
1981年7月19日 アメリカ
95分
アメリカ・イギリス領香港
Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)
くだらなすぎて最高なんだけどもう一押しほしい。
- 全員バカで遵法精神ゼロ、終始ひどいドタバタレース
- 今では作れないであろういろいろと無茶苦茶な古き良きコメディ
- 超くだらない映画のくせに超豪華キャスト
- ただどこか物足りなさも
あらすじ
非常に好きなタイプの映画なんですが、しかしもう一つ乗り切れずといったところで…悔しい。好きなんだけどイマイチ。
アメリカ大陸を横断する公道レース「キャノンボール」。
公道かつ非公式レースなので普通に速度違反等で捕まる可能性があり、また警察側もキャノンボールが開催されることを知っているので取り締まりに気合いが入っている模様です。
そんな東海岸から西海岸までの走破時間を争うレースに参戦するのは、「救急車なら捕まらない」と悪知恵を働かせて救急車で参戦する主人公のJ.J(バート・レイノルズ)とビクター(ドム・デルイーズ)のコンビや、なぜか神父に扮してフェラーリに乗るモーリス(サミー・デイヴィスJr.)とジェイミー(ディーン・マーティン)コンビ、ボンドカー的な車に乗るジェームズ・ボンド的な佇まいのナンパ野郎・シーモア(ロジャー・ムーア)、ハイテクを駆使したマシンで優勝を狙うジャッキー・チェンとマイケル・ホイの日本人コンビ等の個性豊かな面々。
ちなみにジャッキー・チェンとマイケル・ホイは俳優の名前がそのまま役名になっており、また実際(役柄上では)日本人コンビとされていますが日本語は喋りません。雑設定…!
そんな面々がお互いに妨害工作したりしつつ、最速でのゴールを目指しますが…果たして。
豪華キャストすぎる
簡単に言えばおバカな人たちが他人を出し抜いていち早くゴールしようとレースを繰り広げる、漫画みたいな実写映画です。もう多分観る前に「なんとなくこんな感じかな?」と思った内容がほぼそのまま展開されるような“愛すべき”くだらない映画と言えるでしょう。
観ていて「クラッシュ・ゾーンっぽいけどなんか関係あるのかな」と思っていたんですが、どうやらクラッシュ・ゾーンの前作であるキャノンレース(未鑑賞)の冒頭でこの映画の監督(ハル・ニーダム)に謝辞が捧げられているらしく、影響を受けていることは間違いなさそう。
もう本当にくだらなくて中身について触れる必要もないぐらいどうでもいい話なんですが、そのどうでもいい内容と反比例するように非常に豪華キャストなのがなんとも笑えます。みんなよく出たよね、って感じ。
特に完全にジェームズ・ボンド俳優の“セルフパロディ”になっているロジャー・ムーアは「これよう受けたな」と呆れるぐらいボンドをバカにしたような役柄で一見の価値アリ。おまけに007辞めた後かと思いきやド現役時代ですよ。ド現役。むしろ007の制作サイドから苦情が来なかったのか気になるところです。
またここ何年かでオープニングに「ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ ファファファファファ~」とゴールデン・ハーベストのロゴが出てくるとワクワクしてしまう体になってしまった身としては、やはり「ただのアメリカ映画」ではなくゴールデン・ハーベスト(香港)との共作という点もより豪華感が増しておりまして、それ故に登場する日本人(じゃない)コンビのマイケル・ホイ&ジャッキー・チェンというアジアからの刺客的な豪華さも見逃せないポイントです。ジャッキーもこんな映画出てるんじゃないよ、って感じ。
途中「ジャッキー出すならやっぱり生身のアクションシーンも無いとダメじゃん?」みたいなファンサなのかジャッキーへのサービスなのかもわからない、あからさまに取ってつけた乱闘シーンが出てくるのも笑いどころです。話の流れとしてはいらんだろ感がすごい。
他にもシナトラ一家のサミー・デイヴィスJr.&ディーン・マーティンコンビだったり、当時のポップアイコンだったファラ・フォーセットが出ていたりと本当にキャストは豪華、ただし内容は本当にくだらない。
この「超豪華メンバーを集めて超くだらない映画を作る」というのはたまに出てくるものではありますが、やっぱり「何やってんだよ」感にはたまらないものがあり、もうそれだけで観る価値はあるなと思います。
反面、期待していたほどの“ひどさ”は若干薄めで、くだらないながらも割とちゃんと作っている(当然なんですが)のが「もう少しバカをやってほしかった」期待を裏切る形となってしまい、全体的には今ひとつ。面白かったんですけどね。
続編もあるよ
もう本当にこれほどまで語る内容のない映画も珍しいぐらい(いい意味で)どうでもいい内容の映画なので、あとはもう観てねでしかありません。ここの意味が実はこうで…! とかあるはずがない。
ちなみに続編も3作目まで作られていますが、メンバーやゴールデン・ハーベストの有無からすると3作目はほぼ別物っぽいですね。
2作目は時期も近く、続投キャストも多いので正当な続編っぽいですが残念ながら我らがマイケル・ホイは降板。(ジャッキーはいる模様)
なのでやっぱり今作が一番“豪華”さを感じる作品のような気がします。
ただ2はシャーリー・マクレーンが出てるからちょっと観たい…気はする。
このシーンがイイ!
本編とはほぼ関係なく謎に車が爆発するシーンがあるんですがあそこが一番笑いました。やっぱり爆発ってバカバカしくて笑っちゃう。
ココが○
まー本当にようこんなメンバーを集めてこんなバカバカしいことやりますよ。スターという資源の無駄遣いにもほどがある。そこが最高。
ココが×
もう一歩、ひどいものが観たかった点。みんな一緒にゴールして優勝者が決められません、みたいなものすごくひどいオチを観たかったような。
MVA
一応主人公はバート・レイノルズになるんでしょうが、主人公であるが故に尖りきらずあまり目立たないのが悲しいところ。この辺キャラ選択できるゲームにおける主人公枠(ストⅡにおけるリュウとか)を彷彿とさせるものがあります。
ということでこの人にしましょう。
ロジャー・ムーア(シーモア・ゴールドファーブJr役)
一応役名はシーモアさんなんですが、劇中はもうあからさまにジェームズ・ボンドです。ジェームズ・ボンドでしかない。
ただすごく抜けてるし、ちんこ野郎でしかないという。本当によく怒られなかったよね、っていう。
ただロジャー・ムーアという人はかなりサービス精神旺盛だったようなので、その人柄を思うと非常に納得できる良いキャスティングだったのは間違いないところだし、本人もきっとすごく楽しかったんじゃないでしょうか。
ぜひ007ファンに観てほしいけど、観せたらすごく怒りそうでもある…。